2016年9月9日金曜日

CO2ナルコーシスを考える 神話と事実 I

Oxygen-induced hypercapnia in COPD: myths and facts
Critical Care 2012,16:323
 
要約
医療研修を受けている間,我々はCOPD患者に酸素を投与すると「低酸素ドライブ」の機序を介して高炭酸ガス血症が誘発され危険であると教えられた.この考え方によって臨床家は,低酸血症を有するCOPD患者に酸素を投与することを躊躇させられる. しかしこの恐怖は,文献的なevidenceに基づいていない.
ここでは,COPD急性増悪の患者における酸素誘発性高炭酸ガス血症の影響と病態生理を検討し,段階的酸素投与法を推奨する.
1949年,DavisMackinnonは,慢性肺性心と肺気腫によるチアノーゼを伴った患者において,酸素投与によって誘発された神経症状を報告した[1]
著者らは,致命的な昏睡をきたした症例を含む2例を経験した後に,同様の患者で頭蓋内圧(腰椎穿刺を行い,脳脊髄液圧を測定)に及ぼす酸素の影響を調べる研究を行った.
著者らは,4例のチアノーゼを有する肺気腫症患者において,酸素療法は脳脊髄液圧の上昇をきたし,酸素を停止するとベースライン値に戻ることを発見した.
DavisMackinnonは,酸素中毒が体内の二酸化炭素(CO2)の蓄積を引き起こすという仮説を立て,これらの患者における酸素の使用に警告を発した.
この論文に反応して,ドナルドは,酸素療法中に高炭酸ガス血症(16キロパスカル=120mmHg)による昏睡をきたし,酸素療法を中止した後急速に臨床的症状の改善があった肺気腫の患者を報告した[2]
著者は,このような患者に言及しながら,以下の理論を発表した:「彼らの呼吸活動性は,主に大動脈洞域の低酸素刺激に依存しているので,低酸素刺激を除去すると彼らは低換気状態になり,二酸化炭素の更なる貯留を引き起こす.」
COPDの患者における酸素誘発性の高炭酸ガス血症に関するこれらの初期の報告を読むと,長年にわたってほとんど変わっていないと思うかもしれない.
COPD患者における換気ドライブに対する酸素の効果を説明し,低酸素ドライブの定理を反証したその後の研究とレビュー[3]にもかかわらず,多くの臨床医はなお,医療研修期間中にCOPD患者における酸素の投与は,「低酸素ドライブ」メカニズムを介して高炭酸ガス血症が誘発されるので危険だと教えられている.すなわち増加したPaO2が,呼吸ドライブを減少させ,(危険な)高炭酸ガス血症を引き起こすということである.
この誤解は臨床医や看護師が,低酸素を有するCOPD患者に酸素を投与することを躊躇させる.
しかしほとんどの場合,これはCOPD急性増悪の患者を危険にさらす愚かな決定である.
この論文では,COPD急性増悪患者における酸素誘発性高炭酸ガス血症の影響と病態生理について説明したい.
酸素誘発性高炭酸ガス血症
1980年,Aubierらは,COPD急性増悪の患者(GOLDグレードIV)において,高流量の酸素(15 L /分)がPaCO2に及ぼす影響を検討した[4]
PaCO28.463.0mmHg)から11.4 kPa85.5mmHg)に上昇し,PaO24.936.8mmHg)から29kPa217.5mmHg)に増加した.
二十年以上後になって,この研究が再検された[5]
非常に重度のCOPDFEV1が予測値おいて30%前後)患者では, 100%酸素を20分間投与すると,PaO27.657.0mmHg)から53kPa397.5mmHg)に増加し,PaCO2は有意な増加を認めなかった(6.9から7.3 kPaの増加)(51.8mmHg54.8mmHg).
その後,患者をCO2貯留群と非貯留群に分けた.
2つのグループの肺機能は変わりなかったが,CO2貯留群は酸素投与前,低酸素血症の程度が有意に顕著であった.
これらの研究や,以前の研究は,非常に重度のCOPD急性増悪患者へ,制御のない酸素投与を行うと,高炭酸ガス血症を誘導することを確認し,低酸素血症の程度は,高炭酸ガス血症への進展の予測因子であることを明らかにした.
従って特に,COPD患者における酸素誘発性高炭酸ガス血症のメカニズム,特に酸素誘発性低換気の役割をレビューすることが重要である.
低換気の役割
1は,制御のない酸素投与はPaCO2の上昇と,分時換気量の初期低下を引き起こすことを示している[4]
酸素療法を継続して15分行った後,分時換気量は初期の減少から回復し,ベースライン値と比較してわずかに減少していた.
しかし,PaCO2は,分時換気量の回復にもかかわらず,更に増加した.酸素誘発性PaCO2の増加と分時換気量の減少との間に有意な相関は見られなかった.
1(下記)は,この例では,分時換気量の変化は,PaCO2が(全体の上昇が3.0 kPa=22.5mmHgの中の)0.65kPa4.9mmHg)という非常にわずかな増加しかもたらさないことを示している.
その後の研究は,本質的にこれらの観​​察を証明してきた[5]
1PaCO2 =K xVCO2/VE1 - VD / VT, 定数K=0.863VCO2CO2の生産で,VEは,分時換気量で,VD / VTは,死腔換気量/1回換気量.
 別の研究では,Aubierらは[6] COPDで急性呼吸不全の患者20名において,呼吸ドライブを検討した.酸素投与により,PaCO28.160.8mmHg)から9.1kPa68.3mmHg)へ分換気はわずかに減少(14%)した[6]
呼吸ドライブは,mouth occlusion pressure(最初の100msの吸気努力=P0.1)を用いて決定した.
酸素投与によりP0.18.3±0.8から4.9±0.7cmH2Oへ減少した.
後者の値は,まだ正常より高い値,即ち高い呼吸ドライブを示していた.
また,酸素投与後のPaCO2の変化と分時換気量の変化の間には相関関係がないことが示された.
この研究は,COPD増悪患者において,酸素投与後PaCO2の上昇にもかかわらず,換気ドライブが著明に増加していることを強調している.
著者らは,呼吸ドライブの低下がCOPD急性増悪患者における酸素誘発性の高炭酸ガス症の主要な原因ではないと結論付けた.
結論として,重度のCOPD患者が急性増悪をきたした場合,制御のない酸素投与は,分時換気量に限られた効果しか及ぼさず,PaCO2の増加のすべてを説明することはできない.
まれに,高炭酸ガス血症にて昏睡状態に近い状態にある非代償性COPD患者において,無呼吸に遭遇するかもしれない.
換気血流ミスマッチの役割
生理学的には,肺胞の換気と血流はよく一致している.
両極端な換気血流比(Va/Q)不均衡について考える:(a)全く肺胞換気がないが,十分な血流がある.=シャント,および(b)十分な換気があるが,血流がない=死腔換気.
身体にはVa/Q比を最適化するための保護機構を有している.
(例えば,気管支収縮などで)PAO2が減少すると,局所のメディエーターは,起こり得るシャントに抗して肺胞毛細血管の血管収縮を誘導する.これは低酸素性肺血管収縮と呼ばれるメカニズムである(図2).
低酸素性肺血管収縮に対抗する最強のメディエーターは,PAO2である.
したがって,FiO2が高いと,換気の悪い肺胞でPAO2が増加し低酸素性肺血管収縮が阻害される.
その結果,相対的に換気の障害された肺胞は,十分な血流を得ることによりVa/Qミスマッチが増加する.
実際,Aubierらによる研究では,高FiO2Va/Qミスマッチを障害し,死腔換気を77%から82%上昇させることを明らかにした [4]
Robinsonらはまた,酸素療法中のVa/Qミスマッチを検討した[5]Va/Qミスマッチは,CO2貯留群,非貯留群の両者で増加した.これは両群で低酸素性肺血管収縮が少なかったためと結論付けた.
しかし全体の換気はCO2貯留群で減少するが,より高いVa/Qミスマッチを有した肺ユニットに対する換気は増加し,結果的にCO2貯留群で肺胞死腔換気の増加を引き起こされた.
肺循環を予測したコンピューターモデルを使った初期の報告では,増悪したVa/Qを通して生じた生理学的死腔の増大は,酸素誘発性高炭酸ガス血症を十分に説明することができる[7]
The Haldane effect,ホールデン効果
蛋白のamine group,特にヘモグロビンはCO2と結合してcarbamino compoundsを形成する.
しかし酸素の解離したヘモグロビンがCO2に結合する能力は,酸素化されたヘモグロビンのそれより,非常に高い.(式2に示す.)
即ち酸素はCO2解離曲線を右方にシフトさせることによりPaCO2を上昇させる.正常ではそのPaCO2の上昇は,分時換気量の増加により低下し,PaCO2が正常化される.
しかし重症COPD患者では,分時換気量を増加させることができず, PaCO2が上昇する.
確かに,Aubierらの研究では,Haldane effectO2投与によってもたらされるPaCO2上昇全体の25%程度を説明できる.
2
HbCO2 O2 × HbO2 + PaCO2, HbCO2carbaminohemoglobin HbO2 oxyhemoglobinである.
安全な酸素投与
酸素誘発性高炭酸ガス血症をきたしやすい患者は,最も重篤な低酸素血症をきたしている患者である.しかし,低酸素血症にある患者において,如何にして酸素投与を中止することなく,酸素誘発性高炭酸ガス血症を避けることができるだろうか?
高流量酸素濃度の投与は,より繊細な酸素投与と比較して高い死亡率と関連がある[8-10]
RCTを含むいくつかのデータは,COPD急性増悪患者への最良の戦略に関するエビデンスを示している[11]
これらのデータでは,段階的酸素投与法によって,酸素飽和度を88-92%に維持すると,それよりも高い酸素飽和度に維持する群と比較して,呼吸性アシドーシスがより軽減され,より良好なアウトカムが得られている.
これは,COPD患者の酸素治療に対するBTSガイドラインに一致している[12]
結論
COPD患者において低酸素性肺血管収縮は,ガス交換を改善するために,Va/Q比を変化させるもっとも効果的な方法である.
この生理学的なメカニズムは酸素治療により障害され,酸素誘発性高炭酸ガス血症の最も大きな増加の理由となる.
COPD急性増悪患者において低酸素血症を避け酸素誘発性高炭酸ガス血症のリスクを減らすためには,段階的投与法によって酸素飽和度を88-92%に維持することが推奨される.
 
 

2016年8月30日火曜日

アスピリン喘息(AERD or N-ERD) 福岡にて講演会

製薬メーカーの講演会.AERDをテーマにしたものではないが・・
呼吸器フォーラム in 九州
2016年8月27日ソラリア西鉄ホテルにて

谷口正美先生

ICSを使用していない症例で重症喘息に関連する因子
IgEが高い
真菌に感作されている

ICSを使用している症例で重症喘息に関連する因子
女性
BMIが高い
痰のからむ咳(⇒好酸球性気道炎症が強い)

ENFUMOSA, SARP,相模原病院 いずれのデータも,難治化に関連するものは,長期の罹病期間,女性の肥満者,アスピリン喘息 (肥満の基準⇒日本ではBMI 25以上でもよい?)

難治性喘息は,AERDとATAで分けて考える.
難治化の最重要因子はNSAIDS過敏(AERD)である.

AERDという名称は米国からの提唱.
アスピリンという言葉を入れると誤解が生まれる.ヨーロッパ,日本はN-ERD(ナード)を提唱.ただしこの用語は他疾患との誤解を招くかも.米国からの返事待ち.
N-ERD; NSAIDS-exacerbated respiratory disease

AERDに対するNSAIDS投与の実際
アセトアミノフェン 500mg以上はリスクがある.300mg以下だと発作を誘発しない.
セレコックスはもっとも安全(ハイペンなどはselectivityがやや低い).
セレコックスは世界で3例発作が悪化(喘息症状がありコントロールが悪い症例).
ただセレコックスにて悪化といえるのか?全く大丈夫という専門家の声もある.
ソランタールは効果が乏しくあまり使われない傾向.
湿布について.MS冷湿布,温湿布は安全.

アスピリン喘息は,30歳代で鼻症状にて発症.喘息,NSAIDs過敏性が数年以内に生じる.
鼻症状.好酸球性鼻茸,副鼻腔炎は篩骨洞周辺.したがって嗅神経の障害.匂いがわからないなど.
気管支以外の症状が問題.中耳炎,胃腸炎.異型狭心症の症状もある.胃腸炎は急性腹症のよう.腸管に浮腫.PPIやブスコパンは効かない.ボスミンやステロイドが効く.

アスピリン喘息の病態
2013年日本内科学会誌のシェーマ
COX-2の抑制⇒PGE2(抗炎症作用)の低下

尿中LTE4 非常に高い症例のsourceは鼻茸

○少量のASA(100mg以下)にて誘発される.
○アスピリン誘発後に不応期が数日間生じる.
ウイルス感染を疑いこれまで様々調べてきたが,明らかなものは見つからなかった.
⇒血小板仮説

アスピリン喘息は血小板の活性化が特徴的.
AERDでは血小板とEosの付着が増加(⇒循環血漿中に)
AERDにおいて血小板活性化と尿中LTE4は相関.
血小板はLT産生経路の後半が存在.CyLTRもある.
P2y12のblockerの治験中. パナルジン

ゾレアはアスピリン喘息に良く効く.ほぼ100%.最もゾレアが効くgroupはアスピリン喘息と言い切ってもいい.肺機能の改善効果は乏しいが,自覚症状(鼻症状も含めて)が著明に改善する.
効果の発現が速い,投与したその日に発現することもある.
尿中LTE4,尿中PGD2M(肥満細胞の活性化を示す)のいずれも著明に低下する,ゾレアを投与してもEosは減らない.mast cellに作用している?

特発性蕁麻疹にゾレアが著効する.喘息に対してより効く.非常にquickに効く.投与して翌日に蕁麻疹が消えることが多い.
⇒アスピリン喘息と効果がよく似ている.アスピリンと共通の機序を介しているのではないか?

難治化に関するアレルゲン.1000名以上の患者の解析を相模原病院で行った.
ダニは重症化しにくい.アスペルギルス・レストリクタスは重症化に関与.

ABPAについて
アスペルギルスはプロテアーゼ活性を有する抗原を多種有する.体温で発育しやすい性質.水回りにはいない.換気の悪いところ.喘息症状よりもリモデリングの症状(咳,痰)が大きい.ゼーゼーあまりいわない.ABPAはAsp喘息に比べて気道可逆性が不良.
アスペルギルス陽性率は西高東低.
「線維化期」⇒実際は線維化ではなく末梢の嚢胞性変化が特徴.
ABPAはAsp1,2に対するIgE抗体の特異性が高い.⇒まだ保険適応なし.
中高用量ICS吸入中のBAで新規にアスペルギルスに感作されるcaseが2000年以降にある.

EGPA
好酸球性細気管支炎をきたしやすい.
過敏性は軽度で,可逆性が低い,咳,痰,息切れの症状が主.
Mepolizumabが非常によく効くだろう.Eos低下,ANCAも低下.国際治験中.

最近,大発作症例は減っているが,女性,ペット飼育,喫煙のある人の割合が増加.
アドヒアランス不良,軽症例.これらの症例は(SABAのみを使って増悪する可能性があるので)あえてSABAを使用せずレリーバーの機能を持ったICA/LABAを処方するのが良いだろう.



2016年8月22日月曜日

KRCCMセミナー特別講演(肺癌)

2016819
KRCCMセミナー特別講演
ホテルニューオータニ熊本

講演1(熊大呼吸器内科)
タグリッソ(osimertinib)の使用経験
本年3月承認
Rebiopsy 9例中3例 T790M
exon19 del 2例,exon21 L858R 1

exon21 L858Rの症例で,EGFR mutation (-)に変化した症例あり.
組織は多形性に富む悪性細胞に形質転換
他にもrebiopsyにてadeno→多形癌の症例あり.

その説明
EMT (Epithelial-Mesenchymal Transition /or Transformation) 上皮間葉転換

 講演2(熊大放射線科)
CTガイド下生検
CTガイド下生検+core needle biopsy 正診率>95%
適応
サイズは肺で≧6mm(最少4mm,その他で≧10mm10-15mm
血小板>5万,PT-INR <1.2
薬剤溶出性ステントは原則禁忌

Needleを進める「道」がない時はhydrodissection technique 生食,ヒアルロン酸

4000例以上の症例があるが,播種は2例.空気塞栓は2例.
骨生検は合併症がないので,外来で行うこともある.

フロアより空気塞栓の症例が非常に少ないのはなぜか?
腹臥位で行う,呼気で行うか,自然の呼吸をさせながらbiopsy,空気が見えたらO2を吸入させて4-5分安静にする(動かさない!).などの工夫.

 講演3
産業医大第二外科
田中文啓教授

6割がT790M4割がその他の耐性メカニズム
T790M陽性は,陰性よりも予後が良い.
T790M陰性の場合は,small cell ca.への形質転換や,EMTが起こるので予後不良.
exon21よりもexon 19delの方がafatinibの効果が強い.

EGFRの構造について
チロシンキナーゼドメイン 18-21ATP結合部位.
第一世代EGFR-TKI (gefetinib, erlotinib)はリン酸結合部位への競合阻害.

第二世代のafatinibATP binding site797番目のシステインに共有結合する.afatinibは正常細胞のATP binding siteにも結合するので副作用が出る.

EGFR mutation (+) → PD →二次変異 T790M (TM)
第三世代にEGFR-TKIは正常細胞への障害が少ない.

タグリッソ耐性のメカニズム
797 C (Cys)S (Ser)  C797S耐性変異
その他 HGF-Met系,down stream signal,形質転換など

タグリッソの登場→first lineの第1,第2世代のEGFR-TKIのどれを選ぶか?
afatinib どれほどT790M変異が出るかあまりわかっていないが,gefetiniberlotinibより少ない.従ってfirst lineは第1世代が良いのでは.

そのあとはliquid biopsyのお話.(最後まで拝聴できなかった)
EGFR mutationの検出:exon19 delexon21 L858Rは陽性的中率が高い.T790M変異の陽性的中率はやや劣る.

T790M変異の検索:
FDAexon19 delexon21 L858R mutationのコンパニオン診断テストである血漿を検体としたcobas EGFR mutation Test v2を承認.このテストで陰性ならルーチンの組織生検を行うべき.

以下の文章はFDAより
http://www.fda.gov/drugs/informationondrugs/approveddrugs/ucm504540.htm
On June 1, 2016, the U. S. Food and Drug Administration approved cobas EGFR Mutation Test v2 (Roche Molecular Systems, Inc.) using plasma specimens as a companion diagnostic test for the detection of exon 19 deletions or exon 21 (L858R) substitution mutations in the epidermal growth factor recptor (EGFR) gene to identify patients with metastatic non-small cell lung cancer (NSCLC) eligible for treatment with Tarceva® (erlotinib).  The cobas EGFR Mutation Test v2 is already approved for this indication using formalin-fixed paraffin-embedded (FFPE) tissue specimens.  The new use is for detection of these specific mutations in circulating-free tumor DNA (cfDNA) isolated from plasma specimens, also called liquid biopsy specimens, to aid physicians in identifying patients who may be treated first with TARCEVA (erlotinib).  This is the first “liquid biopsy test” approved for use by FDA. This new test may benefit patients who may be too ill or are otherwise unable to provide a tumor specimen for EGFR testing.  Patients positive by cobas EGFR Mutation Test v2 using plasma specimens for the presence of EGFR exon 19 deletions or L858R mutations are candidates for treatment with Tarceva (erlotinib). Patients who are negative by this test should undergo routine biopsy and testing for EGFR mutations with the FFPE tissue sample type.

2016年8月9日火曜日

FEV1と胸鎖乳突筋

第21回熊本呼吸器疾患ネット研究会
2016年6月9日
山崎記念会館

簡単な身体所見でここまで分かる呼吸器診療
長坂行雄先生

FEV1<1L 胸鎖乳突筋の発達 (発達=くぼみができる)
IPでは何故胸鎖乳突筋が発達しない?
COPDは横隔膜が働かない⇒胸鎖乳突筋が働く。
IP斜角筋群が踏ん張る
努力呼吸 鎖骨の上下の動きを見よ

Petty 1985
COPDの呼吸機能低下のグラフ
健常者 -28ml/yr    日本では-25ml/yr
COPD    -80ml/yr           最近では50-55ml/yrずつ減るといわれている。

FEV1<1.5L   HJ II°  坂道や階段で息切れ
    <1.0    HJ III°  呼吸補助筋の発達
    <0.7                         屋内歩行でも息切れ
          <0.4                         ベッドから動けない。 

去痰困難    VC<15ml/kg

COPDで-50ml/yrの減少とすると,1.5L→1.0Lになるまで10年。
1.0→0.7Lになるまで6年.

 

呼吸数x (4~) 5 =脈拍
相対的に呼吸数が多い→呼吸器疾患を疑う。
        脈拍が多い  →循環器疾患を疑う。

 体温が1℃上昇すると脈拍は8-10 /minの上昇?

 
高齢者は血管内浮腫と脱水を同時に伴うことが多い。
肝の叩打痛(右季肋下で痛みを訴えることが多い)や頸静脈の怒張がなければ利尿薬は不要。

 Staring曲線

 チアノーゼは自分の爪の色をコントロールとすべし。

 右心不全の症状
頸静脈怒張、肝叩打痛、浮腫
活動量の多い人は下肢ではなく顔面に浮腫がでる(顔が大きくなる)

咳について
オーストラリアの咳ガイドラインが有用
Med J Aust 2010; 192: 262

聴診所見
モノフォニック(単音)なwheeze   一本の笛を吹いたよう。気管支拡張薬のみでよくなる。
ポリフォニック(多音性)なwheeze  いくつもの笛を吹いたよう。ステロイドdivなどを行わないとよくならない。

呼気のみ、呼気+吸気のwheeze →比較的太い気道

吸気のみ           →局所的なflow limitation

Fine crackleとcoarse crackle  完全に区別することができない場合もある。どの場所で聞こえるか?どのような疾患で?などが大切

 
呼吸リハビリの効果
握力が増える。患者さんと握手をして効果をみる。

目力が大切。
患者さんが医師を見る→大丈夫
患者さんが医師を見ない、無関心⇒意識障害など状態が悪い時

フロアからの質問
心臓喘息と気管支喘息を区別できるか?
区別は難しい。心不全⇒気道過敏性亢進と考えると説明がつきやすい。

2016年7月29日金曜日

咳を主訴とする呼吸器感染症の診断と治療(講演メモより)

平成261030日(木)
ホテルニューオータニ熊本
特別講演:咳を主訴とする呼吸器感染症の診断と治療
琉球大学 藤田次郎教授

Irwin RS NEJM 2000;343:1715-1721.
We propose that cough be divided into three categories: acute, defined as lasting less than three weeks; subacute, lasting three to eight weeks; and chronic, lasting more than eight weeks.

Subacute 日本では遷延性咳嗽という.

気管分岐部 角度は右25°,左35°.胸骨角の高さに存在.
気管は20分岐し肺胞へ至る.
終末細気管支⇒呼吸細気管支(1719分岐).呼吸細気管支には繊毛がない(重要).

繊毛大好き病原体
百日咳
Mycopalasma pneumoniae
Chlamydophila pneumoniae
いずれも繊毛にくっついたり,繊毛の間にはまり込んで,繊毛の動きを止める.
これらの病原体による肺炎は繊毛のあるところに陰影が出る.

肺容積の減少を呈する肺炎のときはマイコプラズマ肺炎を疑う.(繊毛の動きが止まる⇒粘液が貯留する⇒無気肺になる)
(容積の増加する肺炎:大葉性肺炎 K. pneumoniaeS. pneumonia, X線所見はBulging fissure sign

マクロファージ大好き病原体
Legionella
Chlamydophila pneumoniae

レジオネラは自然界ではアメーバーを自然宿主としてその中で増殖する.人体では同様のメカニズムにより,マクロファージ内で増殖する.
クラミドフィラもマクロファージ内で盛んに増殖.
マクロファージは1つの肺胞内に1つ存在する.したがってマクロファージ内で増殖するこれらの病原体による肺炎は肺胞領域主体⇒胸膜に接した陰影.

<イムノクロマトグラフィー法を用いたMycoplasmaの迅速診断キット>
プライムチェック・マイコプラズマ抗原(マイコプラズマのP1蛋白を検出)⇒false positiveが多く回収となった.

リポテスト・マイコプラズマ(旭化成)(マイコプラズマのリボソーム蛋白であるL7/L12蛋白を標的)⇒現在も使用可能.

 非定型肺炎(呼吸器学会 市中肺炎ガイドライン)
比較的除脈について
通常体温39℃の時の脈拍は110/min40℃の時は130/min

 CAPについて最近の詳細な検討ではChlamydophila肺炎がほとんどないとする報告が多い.
咳⇒そのあとに発熱の経過をたどり肺炎と診断された症例を提示.血清学的にChlamydophila pneumoniae陽性,喀痰からH influenzaeが分離された.血清診断は気管支炎を反映?Chlamydophilaによる気管支炎からH influenzaeによる二次性細菌性肺炎をきたしたのではないか?そうするとChlamydophilaは肺胞領域より,気道領域に病変をおこすと考えるべきか.

CT画像
二次小葉内に細葉が存在.細葉の直径は5mm程度.したがって細葉中心は胸膜から2.5mm離れて存在する.細葉中心には呼吸細気管支が存在.

非常に面白い講演でした.いつものことだが2030分までしか拝聴できなかったのはとても残念.

 

Aschoffの細葉について

http://journal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0800020070.pdf

Mycoplasma肺炎

今年の呼吸器学会総会講演より

<マクロライド耐性> 小児 2000年 成人 2007年   耐性はpoint mutationでおこる.
EM, CAM vitroでは全く効かない

小児 60-70% 耐性率  2013年以降減少.TFLXを使い始めたためか.
小児 48時間以内の解熱の割合

MLs MINO TFLXの順番に  44%  87%  69%
成人 48時間以内の解熱の割合

MLs MINO TFLXの順番に  28%  85%  77%
解熱するまでの平均     4.15 1.83  1.91

最終的にはMLsで解熱しており,更に耐性株だから重症というわけではない.また合併症が多いわけではない(日本において).耐性なのになぜ効くのか.CAMの抗炎症作用?

Mycoの気道感染症ではどうか?

咳,痰などの症状はMLs投与にて7-14日間で効果あり.

日本の治療指針参照
http://square.umin.ac.jp/jsm/shisin.pdf