2014年7月3日木曜日

iPS細胞を応用した世界初の臨床試験について 

5月に開かれた第26回日本アレルギー学会春季臨床大会(5月9日ー5月11日,京都国際会館)で,もっとも感銘を受けたのは理化学研究所 高橋先生の講演だった.(招請講演10 「iPS細胞の臨床応用」)
加齢黄斑変性症に対する世界初のiPS細胞を利用した網膜色素細胞移植の臨床試験が,今年の夏にも始まるとのこと.現在は「手作りのF1カーをつくっているような状況」であり,今後iPSを臨床治療として使えるようにするためには,安全性,細胞の品質管理などの問題をクリアしなければならない.そのためのシステム作りも同時に行い成功させていることに驚いた.
他でほぼ同じような内容の講演をされており,youtubeにupされているのでリンクを張り付けておく.
https://www.youtube.com/watch?v=Rv1boFxc1nE

昨日,STAP細胞関連の問題がこの臨床研究に影響を及ぼしかねないかのような報道があった.静かな環境で着実に臨床研究が進むことを期待したい.

2014年6月6日金曜日

6月5日第11回熊本喘息・咳嗽研究会

ANAクラウンプラザ熊本ニュースカイ

教育講演:喘息の診断における呼気ガスNO、パルスオキシメータ、血液ガス分析の有用性
熊本大学大学院呼吸器内科学  藤井先生
特別講演:成人喘息患者の自覚症状と気道炎症の関係
福井大学医学部病態制御医学講座内科学 石塚全先生

eNO測定の意義
・ICSの用量調節,アドヒアランスを判断する上での参考
・慢性咳嗽に対してステロイドを使用するか否かの判断材料
・COPDにおいてICS(/LABA)を使用するか否かの判断材料

ICSを使用してもeNOが高い症例があり,eNO guidedの治療は,ステロイドを多く使用してしまう可能性がある.

大学生にeNOを測定.夜間の咳嗽を訴える女性の20%程度がNO上昇.⇒若い女性の場合の咳嗽は(咳)喘息でない可能性が高い.

好酸球性副鼻腔炎の特徴
両側篩骨洞優位の病変,鼻茸など
eNOが高い.

Lebrikizumab(ヒト化抗IL-13抗体)
periostin high症例で効果あり.
Mepolizumab(ヒト化抗IL-5抗体)
アトピー型,鼻茸,末梢血好酸球増多,肺機能がそこそこ悪い症例に効果

顆粒球・単球吸着療法
UCの寛解導入に用いられる治療.喘息患者で行った.⇒効果あり?それともプラセボ効果?

 

第305回日本内科学会九州地方会・第50回九州支部主催生涯教育講演会

531日熊本森都心プラザホールで開催.駅前で立地条件抜群なのだが,プラザホールを除いて会場がショボい(狭い,入り口が1か所しかない).産業文化会館もショボかったけど(おまけに職員の融通が利かない役所仕事に閉口).熊本は地方会レベルの学会を開く会場がいまだにない残念な都市である.長崎,大分を多少は見習うべきだろう.

日本内科学会九州地方会
50回九州支部主催生涯教育講演会
関節炎の鑑別の実際
長崎大学第一内科 川上 純先生

実臨床に役立つ講演で興味深く拝聴した.以下の内容はメモからおこしたもの+αなので間違いもあると思う.

 
関節炎か?関節痛か?
関節炎:腫れ,圧痛がある.大きな関節では熱感,発赤がわからないことがある.

 

   関節痛
単~小関節痛                                                             多関節痛
   ↓                    ↓

変形性関節症               狭義の膠原病(RA以外)
へバーデン DIP
ブシャール PIP
拇指    CMC

膠原病
SLEの臨床症状:89%が関節痛.SLEは特に関節症状が多い.
MCTD:手指の腫脹(レイノー現象とともに多い).腫れているが圧痛はない.
RA以外の疾患の関節症状:頻度は多いがRAほど痛みは強くない.

関節超音波の診断における有用性.

 多関節痛(腫脹なし) 

                           
単~小関節炎                  多関節炎
2-3か所
 ↓            ↓             ↓     ↓
急性(発症日がわかる)  慢性            急性    慢性

 

 
    単~小関節炎
                 ↓
               急性だったら
                 ↓

痛風              偽痛風         化膿性関節炎

青壮年男性           高齢者          悪寒・発熱
発作中UA低値も        膝に圧倒的に多い     膝に多い
・・・・・           (手関節,股関節)   黄ブ菌多い
足関節にもおこることあり    CPPD結晶

 

単~小関節炎
   ↓
慢性だったら
                                ↓

SpA               RA           結核性
(Seronegative Spondyloarthropathy)                       
脊椎関節炎
l  強直性脊椎炎
l  乾癬性
l  若年性
l  反応性 (かつてReiter症候群と言われた)
UCやクローン病に伴う         
l  SAHO症候群

早期診断
腱付着部炎の早期診断:エコーの重要性.
Ann Rheum Dis 2011;70:1433-1440

SpA
関節リウマチで認められるリウマトイド因子や抗CCP抗体が陰性.
付着部炎(たとえばアキレス腱が付着するところの痛み)の症状が主となる関節症である。
HLA-B2790%陽性(日本人では保有率0.2%). HLA-B39陽性例が増えている.
男女比 31で男性に多い.
体軸関節:仙腸関節,脊椎.
末梢は下肢中心に非対称の関節炎.
本疾患概念には強直性脊椎炎(68%)、乾癬性関節炎(13%)、反応性関節炎(4%),SAPHO症候群(5%),腸炎関連関節炎(2%)などを含む。
(一部大阪大学免疫アレルギー内科ホームページより)
 

  多関節炎
                 ↓
             急性だったら
                ↓
 
ウイルス性       成人発症スティル病   RS3PE synd.   

パルボウイルスなど                                                        高齢(50歳以上)
                       RA陰性
                       1-2ヶ月で症状完成
                       両側手背・足背に圧痕性浮腫
                       Maligの合併30%
VEGFの上昇

                       10mg/day程度のPDN effective

 
PMR  :(Arthritis Rheum 2012; 64:943-954.)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/art.34356/pdf

                                              

 

関節リウマチ
2010年分類基準 ACR/EULAR
6/10点    http://www.ryumachi-jp.com/info/120115_table3.pdf
RA強陽性とは正常上限の3倍以上
ACPAの感度,特異度
PIPは冒されない.
手関節.PIPMCP 発赤は少ない.
回帰熱リウマチの1/3RAになる.RAに移行する患者はPIP関節,ACPA陽性

喫煙と歯周病はRAの発症に関連
PMRの診断感度が高い所見は,上腕の圧痛


【一般演題】
M abscessus症例の検討
迅速発育菌できわめて予後不良かというとそうでもない症例もある.
M.massilienseの話が出た.

以下の文献はCAM+MFLXが奏功した Mycobacterium massilienseの症例を報告しており,こんな記載がある.
Recently, M. abscessus was split into M. abscessus sensu stricto, Mycobacterium massiliense, and Mycobacterium bolletii.
http://aac.asm.org/content/57/2/1098.full
また以下の文章では「M. abscessus とされている中に一群の比較的化学療法反応性が良く総合的な予後も良好な一群があることが知られており最近 M.massiliense として独立した菌種として認め
られてきているようです。」との記載がある.
http://medical.radionikkei.jp/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-120208.pdf

Fitz-Hugh-Curtis syndrome
若い女性,右季肋部痛.生殖器感染に伴う肝周囲炎
造影CTにて肝被膜がenhanceされる.膣分泌物液C trachomatis DNA陽性

糞線虫過剰感染症候群によりARDSを発症した1例
62歳,子宮頸がんに対するchemoradi後.
気管支洗浄にて多数の虫体を認めた.イベルメクチン+MEPM+VCM(糞線虫は腸内細菌を散布する).
経皮感染
生活史
http://medical.radionikkei.jp/medical/suzuken/final/030109html/
小児期に感染,免疫力低下で発症.HTLV-I,ステロイドは発症の強いリスクファクター.戦前,戦後(直後)を過ごした人,沖縄地方出身.

 

 

5月31日 江津湖のホタル

旭志のホタルフェスタは中止なのだそうだ.ホタル観賞も自粛してくださいとのこと.家畜伝染病の流行で,畜産の盛んな旭志はかなりナーバスになっているようだ.
夕食をすませて家族でホタルを見に行った.道に「落ちている」ホタルもいて,時期が少し遅かったかなと思った.でもホタルの舞う姿は幻想的で,江津湖の素晴らしい自然に感謝.

2014年5月28日水曜日

第386回熊本チェストカンファレンス

2014年5月22日熊本大学医学部附属病院にて

症例①自然退縮を認めた肺がん症例
症例②43歳,男性.
左S1+2に壁の厚い空洞.周囲に散布性陰影.
REC療法やAMKの使用などを行い一時的に空洞も消退傾向にあったが,再燃しopeを行った.
腎がんの既往,UCに対しリンデロン坐薬使用中.
画像は抗酸菌感染症として矛盾しない.
⇒診断はM. terraeによる肺病変.治療レジメンは確立していない.CPFXやnew macroride,ST合剤,LZDは効果的.,

教育講演
水前寺公園クリニック
田中先生

自由の利かない主夫業の身故途中で退席.

第26回日本アレルギー学会①

小児喘息に関して吸入ステロイドと身長に関する話題があった.セッション名は忘れた.
少し勉強してみた.

JPGL 2012
2歳未満 「乳児喘息」→海外では「wheezer」としている.
小児喘息の60%2歳までに発症.
呼気喘鳴3エピソード以上を乳児喘息と診断.

Long-Term Inhaled Corticosteroids in Preschool Children at High Risk for Asthma
NEJM 2006, 354:1985-97.
2-3歳児285例を2群に割り付けた.
2年間の治療期間(FP  vs. Placebo)→1年間の観察期間(それらを中止)
Primary outcome
各群における観察期間のepisode-free days
episode-free とはno asthma-like symptoms, no unscheduled medical visits for respiratory symptoms, and no use of any supplementary asthma medications, including albuterol before exercise.
Secondary outcomes
治療期間中のepisode-free days
Other outcomes
治療期間,観察期間中の好酸球比率,全身性コルチコステロイド,コントローラー治療薬の投与コースの数,それを使用するまでの時間.肺機能,身長への影響など
【結論】
2-3歳児の喘息ハイリスク群へのICS投与は長期予後を改善しない.
治療期間中,FP群は有意にepisode free daysが多く,増悪率が低く,コントローラーの追加使用が少ない.
身長の伸び:base lineから治療期間終了の2年間で,FP群はプラセボ群と比較し1.1cm伸びが少ない.観察期間終了時その差は0.7cmになる.→FPは身長の伸びを抑制した.しかし一時的で進行性ではない.
primary outcome


ICSの身長に対する影響

2000CAMP study
LONG-TERM EFFECTS OF BUDESONIDE OR NEDOCROMIL IN CHILDREN WITH ASTHMA
NEJM 2000, 343:1054-1063
1041例の児を3群に割り付け4年間吸入.
    BUD:400μg/日吸入群
    Nedocromil吸入
    プラセボ吸入
Primary outcome
肺の成長をSABA吸入後FEV1% of predicted)の変化で評価
Secondary outcomes
気道反応性,合併症,身長,精神発育
【結果】
身長の伸び:
開始後1年間で12cm程度抑制されたが、4年間での合計身長には有意差が観察されなかった.
BUD群において平均の身長の伸びはプラセボ群に比べて1.1cm低かった(22.7 vs. 23.8 cm, P=0.005).
本文考察より(我々の4-6年のトライアルでは,成長速度に対するBUDの効果は持続せず,1年の研究からその後の身長低下を推論することは適切でない.見積もられた最終身長は,最終的にどの群も同じ高さに達する.)
ICSの身長への影響はsmall transient



ところが
2011年に発表されたPEAK studyfollow up report
JACI 2011,128:956-963
繰り返す喘鳴とAPIAsthma Predictive Index)陽性の23歳小児204人を2群に分けた.
    CFCfluticasone176μg/日)吸入群
    プラセボ群
2年間投与、中止した後さらに2年間身長の伸びを観察.
【結果】
全対象における有意差を認めていないが,2歳で体重が15kg未満であった子どもの場合,ICS中止後2年経過の段階で,プラセボ群に対し-1.6cmの低身長が確認.
【結論】
ICSを使用すべきでないということではなく(2006年のPEAK studyの報告では幼児であっても喘息のリスクが高い児はICSが有効と報告)、低年齢、低体重の小児ではリスクが高いこと,そして,そうしたケースであるほど相対的使用量が増大する可能性が高くなることから,十分にBenefit/Risk ratioを考慮したうえで治療すべき.

2012年に発表されたCAMP studyfollow up report
Effect of Inhaled Glucocorticoids in Childhood on Adult Height
NEJM 2012, 367:904-912
513歳の小児を対象.
ブデソニド400μg/日を46年間使用した群が、成人年齢に達した時の身長をnedocromil群、コントロール群で比較調査.
【結果】
ICS使用群では,コントロール群に比べ平均-1.2cm(男子-0.8,女子-1.8cm)低かった.
思春期前の小児における最初の数年間のICSが、成人時の身長に影響を残していることを示し,リスクを指摘したうえで,ICSの最小有効量を使用することが望ましいと結論付けている.



小児アレルギー学会20142月「会員のみなさまへのお知らせ」
http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=69