ミニレクチャー
胸部レントゲン写真診断:見落とさないための読影ポイント
熊本中央病院 牛島 淳先生
呼吸器感染症―恩師からの継承
川崎医科大学 総合内科学1 准教授 宮下修行先生
成人肺炎 クラミジア肺炎 2-4%(これまでいわれているより頻度は低い)
マイコプラスマ肺炎 10-15%
レジオネラ肺炎 3-4% (新しい診断法が使えるようになるとこの割合が変わる可能性あり)
クラミジア
細胞内でのみ増殖
細胞内に取り込まれたクラミジア
基本小体(EB)―感染性を持っているが増殖能力なし
網様体(RB)―感染性はないが増殖能力を持つ
基本小体から網様体への変換により増殖
肺炎クラミジア感染のあるDPB症例.剖検を行うと肺以外の臓器にもクラミジアが見つかった.動脈硬化病変にも.
フロアからの質問:
クラミジアIgM抗体陽性の解釈について
肺炎クラミジア感染に関する適切な検査方法がない.LAMP法copy数少ない.IgM抗体は再感染時に上昇しない.高齢者で陽性になることが多い(疑陽性が多い).chronic(持続感染)なのかacuteなのか.鑑別が困難.IgGのペア血清診断が必要?
Tip構造を介して健康な繊毛に付着,滑走→気道繊毛上皮,気道壁の炎症→娘枝領域に入る→気管支壁の肥厚,細気管支・肺胞病変
マイコプラスマ肺炎は,胸部単純X線にて指摘できないcaseがあることを知っておく.
胸部CTはMycoとS pneumoniae肺炎との比較は有効,H
influenzae S aureusとの比較は困難か.
クラミジア肺炎(肺炎クラミジアによる) 比較的区域性の分布をとる浸潤影→画像的特徴はない.
イムノカード 24例(35.2%)
胸部CT 48例(70.5%)
JRS scoring system 57例(83.8%)
感染して10日程度でIgM抗体が上昇するので,いつ測定したかが重要.また最長陽性期間は512日という報告→follow upに使用してはいけない.
Macroride耐性Myco
2063, 2064のpoint mutationMLs, MINO, TFLXの治療効果の比較
→治癒するまでの期間は3者とも同じ.MLs治療で重症化したものもない.しかし解熱までの期間がMLsで長かった.
フロアからの質問:
耐性なのか,複数菌感染によりMLsが効かないように見えるのかという問題.* JRS scoring system
細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別(レジオネラ肺炎はのぞく)
鑑別に用いる項目
1. 年齢60歳未満
2. 基礎疾患がない,あるいは,軽微
3. 頑固な咳がある
4. 胸部聴診上所見が乏しい
5. 痰がない,あるいは,迅速診断法で原因菌が証明されない
6. 末梢血白血球数が10,000/μL未満である
鑑別基準
上記6項目を使用した場合;
6項目中4項目以上合致した場合 非定型肺炎疑い
6項目中3項目以下の合致 細菌性肺炎疑い
この場合の非定型肺炎の感度は77.9%,特異度は93.0%
上記1から5までの5項目を使用した場合;
5項目中3項目以上合致した場合 非定型肺炎疑い
5項目中2項目以下の合致 細菌性肺炎疑い
この場合の非定型肺炎の感度は83.9%,特異度は87.0%