2012年10月22日月曜日

第4回熊本呼吸器感染症セミナー

10月4日
熊本大学医学部にて

セッションI
抗菌薬概説シリーズその4  テトラサイクリン系抗菌薬
熊本労災病院 安道先生
人畜共通感染症に効果的,TYGACIL点滴静注が日本で承認された.MINOやDOXYとは抗菌スペクトラムがかなり異なっている.有効性が期待できるもの:MRSA, VRE, PRSP, ESBL(+)のE. coliやKlebsiella,NTMの迅速発育菌であるM. abscessus, chelonae, fortuitum,嫌気性菌,ただしB fragilisは効かないものもある.緑膿菌には効かない  など.

セッションII
日本紅斑熱とその鑑別すべき疾患
上天草総合病院 和田先生
Rickettsia japonica を有するマダニに刺されて起こる疾患.潜伏期間1-5日の後,頭痛,高熱,悪寒戦慄を伴い急激に発症する.アルブミンの低下,Na, Clの低下,CPKの上昇,肝障害,血小板の低下,など.皮疹はかゆみを伴わない.ダニの刺し口は早期ではわからないことがある.ツツガムシ病の皮疹は躯幹に出ることが多く,日本紅斑熱は四肢に多く,手のひらにも認められる.診断はペア血清で.最近刺し口の痂皮をはがして,PCRで診断する方法がある.発症より5日程度経過すると重症化する.CPKが重症化の指標と考えられる.MINOが有効.キノロンも効果的.キノロン単剤治療は危険.軽症であればMINO単剤,そうでなければMINO+キノロン併用を行う.広島県は重症例が多く,ほとんど併用.熊本は軽症が多い?リケッチアの毒性に地域差がある?
ツツガムシ病は阿蘇に多い.日本紅斑熱は天草に多い.

セッションIII
結核の院内感染対策 採用時検診についての考察
NHO熊本南病院 山中先生
採用時ツ反

若い年齢の多い雇い入れ時検診,罹患率が低いため結核感染検査としてのツ反の感度は著しく低下する.

雇い入れ時のツ反を行うか否かdiscussionあり.行わないとする施設,行っている施設さまざまである.今後は行わない施設が増えるのではないか.Base lineQFT検査ができればbetterなのだがコスト的に難しいので,何かあればQFT測定ということになるのか.