2020年2月10日月曜日

第34回熊本県気管支鏡研修会

2010年1月25日 熊本中央病院

〇膵癌肺転移症例
①69歳男性、呼吸器症状あり。胸部CTで多発結節影、気管支鏡検査では気管支粘膜下に多発白色隆起性病変あり。生検で膵癌の診断。
②49歳男性、胸部X線にて多発微細粒状影。VATS下生検にて粘液産生性腺癌(血行性転移なのか、リンパ行性転移なのか?)。腹部CTで膵頭部腫瘤、PET/CTで異常集積。

膵癌 肝転移71%、肺転移49%
lepidic growthの進展形式をとることが多い。

〇免疫抑制薬関連リンパ増殖性肺疾患
71歳、女性。RA(20年以上前)に対しPSL、MTX、TAC長期内服。長引く咳。胸部異常陰影あり。両側中下肺野中心に大小さまざまな結節影あり。FDG以上集積あり。EBUS-GS 組織はlymphoid hyperpasia of the lung。確定診断が得られずCT下肺生検施行。組織は病変が多彩。リンパ球の増殖した組織。凝固壊死あり。MTX、TAC中止したところ2週後にすべての結節影が縮小傾向を認めた。臨床経過より免疫抑制薬関連LPDと診断。

なぜRAに多いのか。RAの患者数が多いからなのか?

〇MTX関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)を合併したRA患者4例の検討
症例1  組織はCD20陽性60%、EBER-ISH20%陽性、B細胞系リンパ腫 MTX-LPDと診断。MTX中止。4か月の経過で消退。sIL-2Rも正常化へ。
症例2 EBER-ISH陽性。肺野は3か月の経過で縮小。しかし縦隔、腹腔内のLN増大、sIL-2Rも増大。Lymphomaを疑ったが、自然に縮小した。
MTXの治療期間中央値は6.5年。全例呼吸器症状なし。2例でEBER-ISH陽性。sIL-2Rの中央値は3000 U/ml (1880-4180)。
4例とも病変の縮小が観察された。
MTX治療中央値 6.5年
MTXによる免疫抑制がEBVの再活性化を引き起こし、それがlymphomaの発症につながったのではないかという仮説。
https://www.ryumachi-jp.com/publish/guide/news171013/

〇てんかん発作後の神経原性肺水腫
24歳女性
てんかん発作後徐々に悪化する呼吸困難あり。胸部CTにて両側びまん性にすりガラス陰影と浸潤影を認めた(肺水腫様)。炎症所見あり。抗菌薬投与。BALで徐々に濃くなる淡血性の回収液。

陰圧性肺水腫と神経原性肺水腫の違いは?

〇広範な無気肺を呈したスエヒロタケによるABPM
73歳女性。右中葉完全無気肺、SUVmax 8.0。粘液栓から糸状菌。千葉大でスエヒロタケと同定された。

高吸収粘液栓(high-attenuation mucus:HAM)
アスペルギルス 40%、スエヒロタケ 71%




2019 ABPMの診断基準







日呼吸誌 6(3),2017  p220-223
HAM は骨格筋より高い CT 値を呈する粘液栓と定義 され5),最近では CT 密度 70 Hounsfield units(HU)が 適正なカットオフ値であると報告されている6).同様の 高吸収域はアレルギー性真菌性副鼻腔炎の単純 CT でも 認められ,鉄やマンガンなどの重金属,カルシウム,濃 縮された分泌物などの併存によるものと報告されてお り7),真菌アレルギーに特徴的な所見であるのかもしれ ない.粘液栓は気管支内病変,異物の吸入,気管支閉鎖 症,および種々の原因の気管支拡張症で認められるが, HAM は ABPA に特有な所見であるとされている8). ABPA の粘液栓は,一般的には低吸収で HAM を認める 症例は20%以下とされていたが2),2013年の喘息患者372 名を対象にした研究では,ABPA に対する HAM の感度 は 39.7%,特異度は 100%と報告されている9)