2013年6月25日火曜日

6月14日(金) 第6回熊本呼吸器感染症セミナー

614日(金)
6回熊本呼吸器感染症セミナー

①症例提示
左腹痛を主訴に救急搬送された69歳,男性.
S2に結節影,右胸水貯留.胸水は浸出液.好酸球比率は7%
猪肉生食歴有.
寄生虫抗体スクリーニングにてウェステルマン肺吸虫,宮崎肺吸虫陽性(両者は交差性あり).→ウェステルマン肺吸虫と診断した.
S2の結節影は肺腺癌と鑑別できない画像.

②寄生虫肺感染症のまとめ
2倍体=両性生殖型
3倍体=単為生殖型

ウエステルマン肺吸虫(3倍体)
ヒト感染例ではほとんどが3倍体

終宿主 ヒトなど(寄生部位は肺)
⇒感染初期には腹痛、胸痛症状.

第一中間宿主 カワニナ
第二中間宿主 モズクガニ
主な感染源  モズクガニ,猪

喀痰や糞便より虫卵を検出すると診断.しかし虫卵は認められず,血清学的診断となる場合が多い.

③新・敗血症ガイドライン 2012
日本集中治療学会 日本版敗血症ガイドライン 
http://www.jsicm.org/pdf/SepsisJapan2013.pdf

●敗血症とは
SIRS+感染
1)体温>38℃または<36
2)心拍数>90/
3)呼吸数>20/分またはPaCO232Torr
4)末梢血白血球数>12,000/mm3または<4,000/mm3,あるいは未熟型顆粒球(band)>10%


●敗血症の初期対応
・早期発見・診断,早期治療
・血液培養2セット以上+広域抗菌薬の早期投与
・低血圧なら細胞外液(生食)輸液
・それでも血圧の反応がない時NAD0.1γよりスタート

●経験的抗菌薬治療
・緑膿菌のリスク,MRSAのリスクを考慮
・真菌のリスクを考慮
・原則カルバペネム系抗菌薬は温存すべき
・速やかにde-escalation