2019年3月19日火曜日

第428回熊本チェストカンファレン

2019228


症例 68歳、女性
29年前 乳がん術後 小学校2年生時に叔父が結核発症。
食思不振、全身倦怠感、腹水。右胸水も少量あり。利尿薬にて腹水は減少したが、徐々に右胸水が増加。

左上葉に陳旧性炎症?、縦隔条件でaorta周囲のリンパ節腫大。
T-SPOT TB陽性、sIL-2R 2600
胸水:TP 7.3LDH 110、糖126ADA 53.3,Ly 58%Neu 4%
腹水:TP 5.6LDH 216Glucose 79Amy 15Neu 8.1%Ly 90%、一般細菌(-)、抗酸菌塗抹(-),ADAは未測定。
PET/CT aorta周囲、頸部LNなどにuptake  →頸部リンパ節生検施行、TBの診断。

腹水は何故減ったか?

TBsIL-2R  1507±151188%が基準値以上であった。

LymphomaADA>35の症例あり。

症例
79歳、女性
胸部異常陰影を指摘。Follow up中に陰影の変化を認めた。
肺病変:perolymphatic distribution、縦隔リンパ節#4R腫大?→2年後肺内病変は↓、#4Rのサイズもやや↓
「陰影の変化とは?」 実は気管支内にCTで確認できる隆起性病変があり、2年後増大。
この病変の鑑別疾患:malignancyならadenoid cystic carcinoma、扁平上皮癌、mucoepidermoid carcinomacartinoid
診断はMALT lymphoma CD20陽性、Bcl-2陽性、多数のリンパ球にκ-chain陽性。
MALT lymphoma
B cellが腫瘍化する。肺内病変の消褪はMALT lymphomaではありうる。
CD20陽性、CD22陽性、CD5陰性、CD10陰性、IgMを発現することが多い。κまたはλ chainの一方のみを発現し、単クローン性。
本症例では経過followとした。

気管支病変を伴う肺MALTリンパ腫の症例報告は多数認められる。気管支病変のみの症例は少ない。(追記)