2012年11月8日木曜日

reversed halo signとKyary Pamyu Pamyu

当然何の関連もございません.
「ぎりぎりセーフ」の歌詞に
♪混み始めた竹下通りを 駆けて駆けて駆け抜けきって 更に信号渡った先 みんながいるから・・・♪ ってあるんですけど,そこはどこなのでしょうか.

で前回の続き

感染症に伴う器質化肺炎を調べていたら,NEJMのMGH CPCを見つけたのですが,この画像reversed halo sign (RHS)を示しています.と言ってもRHSはCOP/BOOPにspecificな画像ではないのはご存知の通りです.他に疾患があるかについては,79例と比較的多くのRHSを呈する症例を報告した論文があります.

Reversed halo sign: high-resolution CT findings in 79 patients
Chest 2012; 141(5):1260–1266.
Edson Marchioriらの報告
Abstruct
79例のreversed halo sign (RHS)を有する患者のHRCT所見を評価し,様々な病因による特徴の違いを検討した.形態学的特徴,病変の数,RHSに伴う特徴の存在を検討した. 40例は感染症(paracoccidioidomycosis, tuberculosis, zygomycosis, invasive pulmonary aspergillosis, Pneumocystis jiroveci pneumonia, histoplasmosis, cryptococcosis),39例は非感染症患者(cryptogenic organizing pneumonia, pulmonary embolism, sarcoidosis, edema, lepidic predominant adenocarcinoma (formerly bronchioloalveolar carcinoma), Wegener granulomatosis)であった. RHS の壁は58例(73.4%)でsmooth,21例(26.6%) で結節状であった. 44例(55.7%)の病変は多発性であり, 35例(44.3%)は単発性であった.結節状の壁の存在,またはRHSのhalo内の結節は肉芽種性疾患を強く疑う所見である.

この研究におけるRHSの定義は
最初に
GGOがありその周囲にdenseなconsolidationが半月状(円周の3/4を形成),またはリング状(完全な円を形成)の形態を示し,少なくとも厚さが2mmある.
その後
中心にGGOを有し,その周囲は完全,またはほぼ完全なリング状のconsolidationを形成する

結果について
smooth RHSは58例(73.4%),nodular wall RHSは21例(26.6%)に認めた.TB (n=12), Sa症(n=21)はいずれも全例でnodular RHS wallを伴っていた.Paracoccidioidomycosisでも14例中3例(21.4%)にnodular RHS wallが認められ,クリプトコッカス症の症例にも同所見が認められた.非感染症の中でnodular RHS wallが認められた症例はサルコイドーシスの症例のみであった.
中心のGGO内にsmall noduleが認められた症例はTBの10/12,サ症の3/5,Paracoccidioidomycosisの1/14,そしてクリプトコッカス症であった.→肉芽種性疾患にのみ認められた.
病変の数:Paracoccidioidomycosisは全例多発性病変を示した.それに対して侵襲性肺アスペルギルス症, PE, lepidic predominant adenocarcinomaの全病変は単発性であった.

結論
RHSは様々な疾患に伴う画像所見であり,比較的特異的な所見と考えるべきである.RHSの壁内,GGO内の小結節影の存在は活動性肉芽腫性疾患(感染性肉芽種疾患またはサ症)を示している.原因疾患の鑑別に有用なそれ以外の形態的特徴はない.臨床所見と合わせてRHSの解釈を行うべきである.

誤嚥性肺炎と器質化肺炎

近くの急性期病院から誤嚥性肺炎+器質化肺炎にて転院となったcaseがあった.ご高齢で全身状態が悪いときBALはできない.ステロイドが効いたので器質化肺炎→主治医の気持ちは十分わかるが,減量を依頼される側からするとなんだかなー.何とかならんか診断が.
ということで,

BOOP due to gastroesophageal reflux and occult aspirationの症例がNEJMのMGH case recordsに報告されているので紹介したい.ちなみに画像は典型的なreversed halo singを示している.

Case 15-2003: A 47-year-old man with waxing and waning pulmonary nodules five years after treatment for testicular seminomaN Engl J Med 2003;348:2019-27.

・Seminomaの治療の数年後増悪,消退を繰り返す肺病変にて病院を受診.
・5年前にtesticular seminomaにてope.再発の所見なし.1ヶ月にわたってiliac, para-aortic, paracaval LNに対して2970cGyのradiation治療を行った.
・中等量のアルコール摂取.喫煙歴なし.自覚症状はsevere, recurrent heart burn
・体重は102.7 kg
・heart burnに対して制酸剤が処方された.

Differential diagnosis
鑑別診断は多様.
LYG (lymphomatoid granulomatosis):low gradeのnon-Hodgkin’s granulomaで,EB virusとの関連がある.陰影の消退を繰り返す肺の結節影を示すことがある.
BOOP:肺実質を傷害する様々な疾患と関連してみられる(Table 2).ほとんどの症例は特発性であるが,先行する気道感染の後に出現した症例もある.
 胸部CT画像:90%が斑状のconsolidationで,一般に分布は胸膜直下,気管支周囲,またはその両者に存在する.結節影と不整の線状陰影も40%ほどの患者に認められる.すりガラス陰影は60%の患者に認められ,ふつうはランダムな分布をとる.浸潤影は移動性で,wasing and waning characterを呈する.胸水やリンパ節腫大はまれである.末梢の結節影またはmass様陰影を示した報告もある.

 本症例は誤嚥の明らかな証拠はなかったが,臨床症状より誤嚥の可能性があった.誤嚥により2次的に発症したBOOPの報告は文献的にない.「びまん性誤嚥性細気管支炎」はforeign particlesの繰り返す誤嚥により引き起こされる細気管支の慢性炎症と定義されるが,4880例のautopsyのうち31例で認められた.しかしその多くは明らかな誤嚥の証拠がなかった.胃食道逆流の治療を行った5例中4例でBOOPが改善した報告がある.更に心肺移植を行った患者において,胃からの逆流はBOの原因になることが考えられている.
まとめると,BOOPの原因として慢性的に繰り返す誤嚥が考えられる.しかし本症例の肺病変の原因は臨床,画像所見より決めることはできない.確定診断と他の原因の鑑別にVATSが推奨される.

Pathological discussion
VATS下生検施行.触診および,CT画像から2か所のわずかなnodular areasを見つけ,wedge excision施行.
顕微鏡所見
Fig3A  境界不明瞭なリンパ組織球による炎症性結節を認めた.
Fig3B  結節内の細気管支および肺胞管は粘液性線維組織の分岐した房で満たされていた.すなわちこの分岐状のパターンは,線維化が気道内に存在することを示していた.この所見はBOの所見を構成する.
Fig3C 組織球は疎な集簇を形成し,foreign-body typeの多くの多核球性組織球が存在した.肺胞内のリンパ組織球性炎症はOPの所見を示した.以上の所見を合わせると,BOOPの存在が示される.
Fig3D 多核球性組織球を伴う2,3のcompact granulomaが主要な炎症性結節から離れて存在している.

この症例で認められたcompact granulomaは,BOOPにおいて,それが過敏性反応による時にのみ認められる.BOOPの所見としてはまれである.本症例で認められる多核球性組織球は誤嚥性物質に対する異物反応(foreign-body reactions)を示唆している.→診断としてもっとも考えやすい.誤嚥は動物モデルにおいて細気管支炎の原因となることが知られている.Case reportはまれであるがBOOPの原因として考慮される疾患である(文献21, 31, 32).

Table 3
Aspiration material
①oropharyngeal bacteria
②gastric acid
③food particles
④foreign bodies

Aspirationによる肺疾患
Aspiration materialの種類と量により
①acute
②subacute
③chronic
に分類される.
Subacuteな経過をたどるものとして,
Miliary granulomatosis, Diffuse aspiration bronchiolitis, BOOPがある.
Miliary granulomatosisはfocalな肉芽種性炎症のパターンで,X線画像およびマクロ所見が結核に類似した肉芽種病変である.そしてそれはvegitable particleの誤嚥による.
Diffuse aspiration bronchiolitisは病理学的に細気管支における異物反応を伴う気道壁の慢性炎症と定義される(文献26).その発症は誤嚥性肺炎よりもincidiousなため,臨床的に誤嚥と認識されないことがある.

Aspiration pneumoniaとして典型的でない点
本症例の病変の多くはanterior upper lung lobeに存在している.Tree-in-bud opacificationが見られない,など.

本症例は24時間pHモニターにて重症の胃食道逆流症を示した.肺生検の11か月後に腹腔鏡下Nissen噴門形成術を行い,肺病変の再発は見られなくなった.

⇒
誤嚥があるかどうかの証明はできなかったが,多核球性組織球の存在と,compact granulomaの存在が誤嚥を支持した.
ステロイド投与の記載はなく,GERDに対する外科治療にてBOOPの再燃がなくなったようである.
本症例のBOOPが誤嚥による2次的な病変(誤嚥に対する反応)であるとすれば,誤嚥がコントロール可能ならCOPのような長期のステロイド投与は必要ない?.
 

2012年11月6日火曜日

熊本北バイパスの街路樹

名前は知らないが,紅葉がとてもきれいだった.
前に勤務していた病院に向かいEBUS-TBNAを行う.BF検査の機会も減ったが,昔を思い出してすこし元気が出てきた.

2012年11月2日金曜日

過換気症候群に対するpaper bag breathingの是非

少し前になるが,NHKでpaper bag breathingが禁忌のように報道されたそうで,某掲示板にもいろいろな意見が投稿されている.
UpToDateには以下のような記載がある.この問題の適切な回答であろう.

Asking the patient to rebreathe into a paper bag may be tried so long as it is clear that the patient is not experiencing an acute hypoxic or cardiac event;・・・・
患者が急性低酸素血症やまたは心イベントを経験していないことが明らかであれば、患者にpaper bag breathingをさせてもよい.可能ならこの手技を行っている間はパルスオキシメーターを使用するべきである.

と記載しつつ

この手技はPaCO2レベルを正常化する目的で長く行われてきたにもかかわらず、この伝統的治療の有効性を示した研究はない。
 
としている.

手技が適切に行なわれてきたなら問題ないのでは.
 
 
 

asthmatic granulomatosisー新しい疾患なのだろうか?

先日旧清和村の道の駅で購入した新米はうまかった..食べ物ネタはそのくらいにして

Asthmatic Granulomatosis
A Novel Disease with Asthmatic and Granulomatous Features
AJRCCM 2012;186:501-507.

 Sally E. Wenzelらの報告である.

Abstruct
重症喘息は,気管支喘息患者全体の5-10%を占めるが,十分に理解されていない.
喘息は多くのヘテロなフェノタイプから成り立っているという理解が強くなっているが,その免疫病理,特に末梢気道,間質における免疫病理は十分に理解されていない.
目的
非典型的な難治性喘息の病態生物学を同定すること.
方法
重症喘息の定義を満たす19例(17例が女性,2例が男性)から10例を報告する.19例の患者は,連日全身性ステロイド(CS)が必要であり,胸部のCTにて矛盾した異常があり,更なる診断と管理のためVATSを行った患者である.
測定と主要な結果
19例のうち10例の病理で,喘息に一致した細気道変化(好肉芽種の酸球増多,杯細胞過形成)を伴っていたが,同時に喘息としては説明のつかない間質の非壊死性肉芽種の所見を伴っていた.これらの患者に過敏性肺炎の所見はなかったが,70%の症例が自己免疫性疾患を伴っていたり,家族歴を有していた.10例はアザチオプリン,ミコフェノール酸,メソトレキセート,インフリキシマブによる治療を受けた.10例中9例はCSの必要性が低下し,より低いCS投与量にもかかわらずFEV1の改善,または維持が得られた.残り9例のうち6例は喘息の細気道病変を示していた.または肺胞隔壁の単核細胞浸潤を伴っていた.しかし肉芽腫は認めず,更に3例は他の病理所見(誤嚥,肺炎,または血栓塞栓)を示していた.

結論
これらのデータは重症「喘息」の一つのサブセットとして肉芽種病理を示すものがあり,それを我々は「asthmatic granulomatosis」と命名する.この疾患の同定は現在のところ胸腔鏡下生検が必要であるが,治療のための他のアプローチがアウトカムの改善をもたらす.

19例の重症喘息患者
CT scanでは肺実質の異常なし.非典型的な喘息(DLco低値),成人発症,持続性好酸球増多,またはforced expiratory flow midexpiratory phase (FEF25–75% predicted)が非常に低下した患者で,経過中改善しないかまたは増悪した患者に対してVATSを勧めた.

Follow up
19例中17例がほかの抗炎症治療,または細胞障害性薬剤による治療をおこなった.すなわちアザチオプリン,メソトレキセート,または抗TNF-α製剤(レミケード)を使用した.これらの薬剤をまず3か月間投与し,反応があれば12-48ヶ月続けた.効果がなかったり,つづけられない場合は中止した.「responder」は,①プレドニゾロンを5mg以下に減らすことができる,②経口CSの量が少ないにも関わらず,%FEV1が維持できるか,または改善,③follow upの1年間に経口CSを必要する増悪が1回以下である場合である.

Table1
Demographics and clinical characteristicsをTable 1に示す.19例中この10例は重症喘息と診断され,VATS生検を行った患者で,病理学的に喘息性の細気道病変があり,間質および気道中心性の非壊死性肉芽種を認めた.全患者は紹介医により重症喘息と診断されており,経口CS dependentで5-60mg/day服用していた.1例omalizumabを使用していたが,MTXを使用したものはいなかった.全例白人,9/10が女性,8/10が中年.ほとんどが成人発症で,全例副鼻腔疾患を有していた.患者は現在症状があり,咳,喘鳴,chest tightness,息切れの症状があった.GERDを疑う症状なし.1/10はアスピリンにより増悪する呼吸器疾患があった.全例ICS, LABA, LTRAの典型的気管支喘治療を受けていた.夜間覚醒は一般的でなく,過去1年間に3回以上の増悪が多く,増悪した副鼻腔疾患によりそれは誘発された.全例10 pack-yearsの喫煙歴があったが,過去1年間喫煙したものはいなかった.Wheezingは一般的であったが,cracklesは認めなかった.

 胸部CT 5例は正常,残り5例は非特異的細気管支拡張,細気管支壁肥厚,pacthyな亜区域のair trapping,亜区域の無気肺,tree-in-bud opacities,中枢気道の小粘膜結節の所見があった.

末梢血Eosの増加はほとんどの症例で存在.全身性CSsの投与にも関わらず,FENOは上昇していた.IgEは全例高いわけではなかった.過敏性肺炎の沈降抗体スクリーニングは陰性.アトピーは6/10例で認めた. CTスキャンにて副鼻腔疾患を9/10例で認めた.5/10例で副鼻腔疾患の手術歴があった.10例中60%に自己免疫疾患の家族歴があった:RA, Crohn病,MCTD,CRST症候群,DM.2例の患者は自己免疫疾患の病歴があった(乾癬,非活動性のCrohn病).

病理学的なコントロール群:十分に喘息がコントロールされ肺疾患以外の疾患で死亡した17例の喘息患者の剖検所見.喘息性の気管支炎,細気管支炎の所見が認められたが,肉芽種は認めなかった.単核細胞のpatchyで目立たない間質への浸潤が35%の患者に認められた.

Autoimmune diseaseとの関連
アスピリンにより増悪する呼吸器疾患や最近では鼻ポリープは自己抗体の形成と関連している.
クローン病と喘息との関連
など

治療に対する反応
全10例中が経口CSsによる治療が行われ,投与量は5-60mg/dayであった.治療期間は20年にわたる症例もあった.10例中6例でアザチオプリンが投与され,1例でMTX,1例でinfliximab,1例でミコフェノール酸が投与され,CS投与量を5mg/day1に減量することができた.

 結論として,この新しい疾患は喘息,自己免疫疾患,肉芽種性疾患の特徴がオーバーラップしており,高容量のCSよりも細胞障害性薬剤や,抗炎症薬により反応しやすい.特に女性で,成人発症,自己免疫疾患の家族歴があり,DLcoが低く, FEF25-75%が予測値よりも不均一に低い値を示し,末梢血好酸球増多があり(≧200/ml),全身性のCS使用にもかかわらず FENOが30 ppb以上と高い値を示すCS依存性の非典型的重症喘息患者においてVATS生検を考慮すること提案する.関与する免疫pathwayの解明と,より容易にこの疾患を診断し,治療するためのバイオマーカーの開発が必要である.