①ガイドラインセッション3 特発性間質性肺炎の新ガイドライン・手引きを巡って
IPFの予後規定因子.初診時MMRC,FVC, DLcoなど.6-12か月でFVCが10%の低下=予後不良,最近5%以下の低下でも予後不良の報告あり.
画像
蜂巣肺ー北米と,日本とで蜂巣肺のとらえ方が異なる.
UIPの病理組織学的特徴は①temporal or spatial heterogeneity,②perilobular pattern,③honeycombである.honeycombの形成:細気管支周囲の肺胞隔壁の肥厚(画像はすりガラス影)→細気管支拡張→蜂巣肺(拡張した気管支周囲),末梢気腔は拡張→細葉辺縁に線維化→→複数の肺胞の線維化による畳み込み→蜂巣肺
画像でtemporal heterogeneityをとらえられないか?:試みとして①陰影の左右差,②小葉内に正常を含む4つ以上の所見の混在をtemporal heterogeneityの所見として考えられないか.
そのほか真のhoneycombとtractionbronchiectasisのCT鑑別方法として,再構成画像をとってみる(coronal sectionなど).
病理から
emphysemaによる気腫化病変とhoneycomb所見の鑑別として
emphysemaの場合は,気腫性病変の中にvascular remnantと呼ばれる血管(肺動脈)の断端が見える
②ガイドラインセッション4 薬剤性肺障害の手引きについて
Erlotinibは膵癌にも適応取得.GEM+Erloによる治療というのがあるらしい.肺障害起きそうなレジメンだな.
今回のガイドライン 画像上DADパターン(広範なすりガラス影+牽引性気管支拡張などの構造改築所見)と非DADパターンに分けている.
DAD(+) KL-6, SP-A, SP-Dが上昇.
EP/OPパターン SP-A, SP-D上昇するがKL-6は上昇しない.
注意:PCP,CMV,レジオネラ肺炎でSP-A, D, KL-6の上昇することあり.
抗リウマチ薬
薬剤性肺障害の頻度:アザルフィジンEN 0.03%,リマチル0.06%
MTXはRA患者の約8割に使用されている.発症率は0.4%程度.75%が服用して半年以内発症.数年から十数年経て発症のこともある.容量依存性なし.WBC上昇(時にEos上昇),画像はすりガラス影,しばしばモザイクパターン(PCPとの鑑別は困難:おそらく肺病変はPCPもMTXも宿主の免疫応答に依存するため,画像所見が類似するのでは?).BALFではCD8優位.組織所見はDAD, OP, granulomaなど特異的なものなし.
③ランチョンセミナー10 肺癌化学療法Ver.3.0
④教育講演12 石綿関連疾患を含めた職業性呼吸器疾患
⑤教育講演13 各種疾患(脳,神経,呼吸器疾患)の呼吸異常
⑥症例検討会1
case 1
77歳 男性
relapsing polychondritis
単純写真でparatracheal lineの肥厚あり.CT上気管・気管支の壁肥厚があり,膜様部はspareされている.内腔の不整像はない.
硝子軟骨のみが炎症の場となった症例.
ちなみに硝子軟骨ー肋軟骨,気道軟骨,弾性軟骨ー耳介,喉頭蓋の軟骨
case 2
NTM+肺アスペルギルス症
右上葉に浸潤影があり,気管支鏡検査にてNTM症と診断.治療を行うも増悪.その後A fumigatusが分離され,抗真菌薬を開始するも増悪.CTガイド下生検にてinvasive mucinous adenocarcinomaと診断.
case 3
IgA腎症がbaseにある患者.発熱,全身倦怠感,体重減少,肺内多発結節影.肺門縦隔リンパ節の有意な腫大なし.sIL-2Rの上昇と,ポリクローナルなIgの上昇.肺内にはすりガラス影もある.さらに結節には一部石灰化あり.
結節影の石灰化からはamyloidosisも考慮されるが,病理組織上アミロイドの沈着なし.画像上の鑑別診断としてhyalinizing granulomaが上がっていたが,知りませんでした.
病理診断:hyalinizing granulomaを呈したmulticentric Castleman's disease,臨床診断:Castleman's disease plasma cell varinat+pulmonary hyalinizing granuloma
司会の先生からは多発結節影の鑑別診断に,無症状か,有症状か,結節の硬さを考慮とのコメントあり.
case 4
75歳,女性
low grade fever,労作性呼吸困難.CT上小葉中心性粒状影とすりガラス影.BALにて総細胞数増加,リンパ球分画80%,CD4/8=4.78と上昇.TBLBは肺胞内腔の非特異的炎症.経過観察としたところ,9か月の経過で跡形もなく陰影消失.しかしその10か月後に同様の臨床症状と,画像所見出現.病理所見では「弱弱しい」肉芽 があり,胞隔炎がない.→HPとは言い難い.
答えはHTLV-I関連肺疾患.Radiology 2006; 240: 559-564.ではHTLV-Iキャリアの30.1%に肺病変があった.一般にDPB様の肺病変が有名だが,HP様の画像所見を呈した症例報告は2例あるとのこと.
初めて症例検討会に出席したが,有意義であった.
我々が毎月やっているチェストカンファレンスのレベルもこの検討会と変わらないことを認識.
⑦イブニングシンポジウム8 Molecular Target Therapy Update in advanced NSCLC