事情でERJの本文が読めず,Medscapeを読ませていただきました.
Clinical Characteristics and Corticosteroid Treatment of Acute Eosinophilic Pneumonia
Eur Respir J. Published online May 17,
2012.
■2007年5月と2010年10月の間に軍Capital病院にてAEPと診断されたすべての連続した患者の医療記録を後ろ向きに検討した.
■熱,気道症状とびまん性肺浸潤影があり,AEPの疑いがあったすべての連続した患者を,前向きに登録した.
■AEP診断は,以下の基準に基づいた:(1) 1ヵ月未満の発熱を伴う呼吸症状の急性発症;(2)胸部X線の両面のびまん性浸潤影;(3) BALにおいて25%以上の好酸球を認める,または肺生検において好酸球性肺炎を認める.そして,(4)肺好酸球増加の既知の原因が認められない.
■Demographic data; 詳細な喫煙履歴; 症状と徴候; 検査成績(PF比を含む)は,記録された.
■肺の胸部X線とHRCTは,すべての患者で行われた.
■BALによる気管支鏡検査は,臨床および放射線学的所見にしたがって来院(入院)時に実行された.BALは,標準的手法によって行われた.
■AEPの確定診断がなされたあと,コルチコステロイド治療を標準化されたプロトコルに従って開始した.
■主治医は呼吸不全によって治療法を選択した.呼吸不全の定義はPF比が300以下,および/または呼吸促迫(呼吸数> 30呼吸/分).
■患者が呼吸不全を呈したとき,60mgのメチルプレドニゾロンを3日間,6時間毎に静脈内投与し,そののち1日2回,1回30mgの経口プレドニゾロンに変更し投与した.
■患者が呼吸不全を示さなかったときは,30mgの経口プレドニゾロンを1日に2回投与した.
■酸素化の悪化が著明でなく(PF比>350),そして,呼吸困難症状が軽度だったとき,コルチコステロイドは投与されなかった.
■その後,2週間と4週間のコルチコステロイド治療を行った.
■臨床症状と徴候は毎日評価された,臨床検査と胸部X線は毎週実行された,そして,HRCTはコルチコステロイド開始の14日後に行われた.
■胸部X線にて肺陰影と胸水の存在についてチェックした.HRCT像は,GGO,air-space consolidation, 結節影, 小葉間隔壁肥厚, bronchovascular bundleの肥厚,胸水についてチェックした.
■160例の患者のうち,22例(14%)はBALにおける好酸球比率が25%未満だったので除外した.そして2009のインフルエンザA型(H1N1)ウイルスに関連したAEPの1例も除外した.これらの除外の後,137例の患者が解析の対象となった.
■平均年齢は20歳.全て男性. 99%は喫煙者.
■AEP発症の前月に,喫煙歴のない71例の患者は喫煙を開始した. 41例は少なくとも1年間喫煙停止した後喫煙を再開した. 13例は1日当たりの喫煙本数を増加させた.
■16例(12%)には,アレルギー疾患の既往歴があった.
■最も頻度が高い症状は,咳(95%),呼吸困難(92%)と熱(88%)であった.熱のレベルは,悪寒をともなう患者でより高かった.
■患者の79%は,一般病棟に,21%は集中治療室に入室した.
■患者の58%は酸素化の低下があり呼吸不全を呈した(PF比率<300),しかし,機械的人工換気を必要とした患者はわずか2%であった.
■BAL液の好酸球のパーセンテージの中央値は,40%であった.
■HRCT上最も頻度が高い所見はGGO (97%)であった.そして胸水(88%),小葉間隔壁肥厚(68%),小葉中心性粒状影(52%)が続いた.すべての症例が,境界不明瞭な小葉中心性粒状影を有しているわけではなかった.
■患者のうちの127例(92%)は,コルチコステロイドを用いた治療を受けた:42例が4週間, 85例が2週間の治療を受けた.
■解熱までの時間,呼吸困難の消失とすべての症状の消滅までの時間の補正平均の違い(日数)はそれぞれ,0.11(95%信頼区間[CI],0.26 - 0.49),0.57(95%CI,0.71 - 1.86)と-0.04(95%CI,1.91 - 1.83)であった.有意差はなかった.
■肺浸潤影がday 14にHRCTにて認められた患者の,補正された割合の差は,6.92%(95%CI,8.19 - 22.02)であった.有意差はなかった.
■副作用の頻度は,2週間群と4週間群で同程度だった(18%対24%;P = .411).
■著者は結論の中で, AEPの原因が喫煙と関係しているかもしれない,そして,呼吸不全を呈していてもAEPのコルチコステロイド療法は4から2週まで短縮することができるであろうと述べている.
(Medscapeより)