第376回熊本チェストカンファレンス定例会
症例1
60歳代,女性.胸部異常陰影精査目的に胸部CT施行し,前縦隔腫瘍を指摘.
内部は不均一な円形の腫瘤.造影すると周囲が非常にenhanceされるのが特徴.内部はlow.液体が存在しているようにも見えるが・・・.
前縦隔腫瘍の鑑別診断
thymoma, thymic cancer, germ cell tumor, malignant lymphoma(discussionには出てこなかったが・・),mediastinal goiter
造影効果が高い腫瘍は何か?が重要になる.
⇒血流が豊富な腫瘍と考え,生検は行わず切除術を行った.
答えは迷入性甲状腺腫aberrant mediastinal goiter
(参考)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jacsurg/24/2/24_2_195/_pdf
甲状腺と連続性のない迷入性甲状腺腫は非常にまれ.甲状腺機能異常をきたすことも少ない.本症例も正常.
症例2
毛包性ムチン沈着症の診断にてステロイド内服中(PSL10mg/day)の20歳代,女性.dry cough, 頸部リンパ節腫脹,微熱出現.
顔面,上背,上肢に丘疹,結節散在.
採血データ Eosの増加 4260/μL,LDH 634U/Lと上昇.
全肺野にすりガラス影,粒状影を認める.小葉間隔壁肥厚あり.⇒呼吸不全となる.すりガラス影(geographic appearence),右下肺野に強いdense consolidation,粒状影
画像はperilymphatic distributionと思うが・・
鑑別診断
感染
viral, 非定型,結核(⇒ARDS),PCP
非感染
Lymphoproliferative disorders
Sa症,Castleman`s disease
ML,
HTLV-I associated
その後の検査
sIL-2R 12000 U/mLと著増.HTLV-I陰性.BALF; Ly 80.5%(異型Ly 60.5%),CD4/8= 25.93, TBLB; 細気管支周囲にTリンパ球浸潤.TCR Cβ1/Jγ再構成あり.
診断はmycosis fungoides (MF)
皮膚原発のT cell由来ML,肺病変は通常terminal stageで出現.本症例のようなcaseはまれ.
ステロイド投与⇒EPOCH療法開始.
肺病変はMFの(直接)肺浸潤と考えられた.
ステロイド投与が経過や,症状,画像所見を修飾していた可能性がある.
(参考)
http://www.derm-hokudai.jp/textbook/pdf/22-09.pdf
熊大呼吸器外科,森都総合病院