2013年5月2日木曜日

第53回日本呼吸器学会学術講演会

53回日本呼吸器学会学術講演会
東京国際フォーラム
メモより
419日(金)
ランチョンセミナー1
慢性線維化性特発性間質性肺炎をめぐる最新知見
CAPACITY試験
PANTHER試験:NEJM triple therapyの効果なし
ピレスパ 58% appetite loss, nausea
PPI投与中の患者は消化器症状少ない?
TOMORROW試験:BIBF1120NEJM 2011;22:365, 1079-87
INSIP 2008 AJRCCM statement 67例のreport 独立疾患として確立
CPFE 約半数にPHあり
Flaherty KRの報告は面白い
外科的肺生検にて1か所でもUIPがあれば,すべてがUIPと同じく予後不良.
UCTD,Kinder

2013     
Travis
2002update
Rare IIPs
Idiopathic LIP
Idiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis
Unclassifiable IIPs
Variant of OP with supervening fibrosis
Rare histologic pattern
AFOP
Bronchicentric pattens of IP

教育講演5
iPSと呼吸器再生医療の現状
幹細胞
   間葉系細胞      → 前駆細胞 → 成熟細胞
     iPS
細胞数   確保しやすい           多くの確保困難

細胞種   少なくてすむ           多くの細胞種必要

奇形腫   危険大              危険小

Schweitzer 2010
肺気腫モデルに対する治療
Andrade 2007  肺の鋳型を作って・・
Petersen 2010  脱細胞肺組織を用いる方法
LAM, BHD synd.

教育講演6
肺の小葉,細葉からみた間質性肺炎の画像診断

教育講演7
特発性上葉限局性肺線維症

1992年「呼吸」にて報告.報告例は,肺尖部の非特異的線維化像のみ.IPの所見なし.85102165歳,女性の症例.その後家族内発症の症例(4兄弟―1名女性).体型,胸が薄い,気胸を発症した例は少なくとも2例.

画像:胸膜から胸膜直下にかけて帯状に広がる病変.病変は突然正常の領域に移行する.

病理:肺胞構造が折りたたまれた様.気腔内器質化所見.

17例をまとめると,①やせ型が多い,②HLA-B27 (-),③%VC低い,④pneumothorax 1/2以上の症例で繰り返す,⑤かなり進行しないとPaO2は低下せず,⑥蜂窩肺は認めない,⑦1020年で死亡するcase多い,⑧アスペルギルス感染2

イブニングシンポジウム5
慢性呼吸不全に対するNPPV~新しい治療戦略~
iVAPS
目標肺胞換気量設定 (肺胞換気量→死腔換気量を除く)
iBR バックアップ回数
PSが変動
iBR2/3以下になるとバックアップ回数まで徐々に上がる
設定は,①目標肺胞換気量,②PSmin,③PSmax
呼気CO2モニター 60-70万円
欠点:PaCO2>60では信頼性に欠ける
経皮CO2モニター
信頼性はあるが高価.200万円程度.携帯性に欠ける.測定が煩雑.
更にCO2モニターはコストが取れない.

4月20日(土)
教育講演9
神経筋疾患の呼吸管理
重症肺胞低換気,NPPV使用患者など
EtCO2よりTcCO2PaCO2を反映
デュシャンヌ型 呼吸器なしでは20歳代で死亡.NPPVの登場により40歳代まで生きられるようになった.
カフアシスト(咳介助)の有用性
MI-E    2013年には新しい機器が使用可能となる

教育講演10
ARDS病態解明・治療の最前線
東北大学 久保先生
Ware LB NEJM 2000; 342: 1334-1349.
1994 AECC
ALI        P/F 300
ARDS P/F 200
→ 臨床試験が行われる
Intervention
死亡率の低下に関して Vt 6 ml/kg vs. 12 ml/kg, Lower tidal volumeの有用性
ALVEOLI PEEP圧 →ダメ
ARDSの治療ターゲット
・どこが障害されているか
・診断能力
ARDS? Aex of IP?
・原疾患がコントロールされているか?
・肺傷害はどの段階にあるのか?
 II型肺胞上皮細胞の修復段階?線維化の進行期?
Berline definition
1w以内の発症+両側性浸潤影
             P/F with minimal PEEP    死亡率(%)   DAD(%)
Mild         200-300                     27            12
Moderate    100-200                      32           40
Severe       100                       45            58
(JAMA 2012, AJRCCM 2013)
診断基準はARDSの枠組みを示すのみで,治療方針を示すわけではない.
Steroidの使用について.効果あり,なしの報告.見ている病態が異なるから?

ARDS
遺伝子多型
バイオマーカー:
内皮細胞 VWF-Ag
上皮細胞 SP-D
炎症性サイトカイン
凝固系
→炎症なのか,上皮の傷害なのか,内皮の傷害なのか,線維化が起きているのか,などがわかる可能性あり.
Traumaの症例で,ARDSと他の疾患との鑑別(J Trauma・・・)
RAGE
PCPIII
LNG2
L-8
TNFα
BNP
バイオマーカーで発症の予測できないか?
Agrawal A   AJRCCM 2013; 187: 736-742.
Angiopoetin
IL-6      6hr後にARDSをおこすか否かの予測可能.
LIPS (lung injury predictor score) 5点以上はALIhigh risk  AJRCCM 2011; 183: 462.
発症予防
2011 AJRCCM
10万人当たり83.4/年→38.9/

ARDSの予防
・低容量換気
・血漿輸血(male donor - only FFP) 女性は抗白血球抗体が含まれる割合が多い.男性はない.
・人的資源の投入
4時間以内の抗菌薬
hosopital acquired ARDSが減少

Post-ARDSについて
長期予後は?
5年 
1.呼吸機能障害(拡散能低下)
2.神経・筋障害
3.認知機能低下,精神的障害
QOLに影響.
その他
診断基準にて病態の把握ができない.従って
ARDS netでは今後fineなデーターは出ないのではないか.

教育講演11
悪性胸水の病態と治療―state of the art
Malignant cellが胸腔内に移行する機序
VEGF
CD44-HA(ヒアルロン酸)を介する機序
多くのmalignant cellCD44を発現

2010 BTS guideline
体位変換は意味なし

Implantationの機序
PDGF-BBが増加.肺がん細胞はレセプターがないのでimplantationおきにくい.
胸腔の慢性炎症→壁側胸膜下脂肪織が増生する.
胸水は壁側胸膜におけるリンパ開口 stomataより吸収.Stomaは主に肋骨やvertebraに付近に開口(動物の報告).ヒトの胸水はstomaを介して吸収.
胸水中にasbest bodyがあるとstomaを介して壁側胸膜化へ.そこでサイトカイン等を産生.
胸腔 正常では5-10μm  シアロムチン,ヒアルロン酸あり.シアロムチンはマイナスに荷電.壁側胸膜と臓側胸膜はお互いマイナスに荷電するため,接着しない.

教育講演12
これからの呼吸器感染症のワクチン戦略

 
ランチョンセミナー11
Definition and management of COPD exacerbations

教育講演13
喘息における分子標的薬

教育講演14
工業用ナノ材料を含めた超微粒子の生体への影響
PM 2.5について
2.5μm以下の粒子(空気力学径)
髪の毛は直径7μm,したがって髪の毛の1/301/40
日本の環境基準:1日平均値 35μg/m3以下
日本のPM2.5は年々低下
日本のPM2.5background値は高い.
喫茶店 PM 2.5 800μg/m3,分煙した禁煙席は70μm/m3
(外出制限を推奨されているレベルは1日平均で70μm/m3を超える時である!)
ナノ粒子
フラーレン C60個集まる.
2009年 ERJ Song
Nanoparticles 7名に肺線維症,そのうち2名死亡.
ナノ粒子による障害
ナノ粒子パラダイム:サイズが小さい粒子.表面積が広い.→肺障害を引き起こす.
ファイバーパラダイム:細くて長い繊維状物質化構造が肺障害を引き起こす.

教育講演15
生物学的製剤使用時の呼吸器感染症
TNFα 肉芽種形成に重要.→抗TNFα薬により被包化乾酪巣の崩壊→内因性再燃
PCP344例発症,48例死亡.
生物学的製剤使用時のPCPのコンセンサス:①それ自身の組織障害性は少ない,②宿主の免疫応答が組織障害に関与.

NEJM 2004; 350: 24.
ColonizationCOPDでは20-55%という報告あり.
β-D glucanは補助診断,単独で使用しない
グロコット染色:特異度は高いが感度は低い

教育講演16
広域周波オシレーション法の実地臨床での応用

ガイドラインセッション1
COPDの診断と治療のためのガイドライン第4
1.疾患定義の加筆修正
2.COPDの疾患概念のupdate
3.薬物治療のupdate
4.増悪の重要性
5.運動耐容能から身体活動性への概念の変化
6.災害などへの対応
7.その他

エビデンスレベルの付記
気流制限,気流閉塞の用語→ガイドラインでは気流閉塞を採用.気流制限:呼吸生理学的な使用.
Overlap症候群.
CPFE 気腫合併肺線維症:ガス交換障害,肺高血圧症が発症,LC合併多い
NEJM 2011; 364: 897-906.

症例検討会1