先の日本呼吸器学会学術講演会で講演をされたJC Hoggの論文.今やCOPDの病態を考える上で,気腫よりも細気道病変が重要であることは周知の事柄であるが,細気道の閉塞と肺の気腫性破壊との関係はよくわかっていない.
Abstruct
背景
COPDの閉塞の主要部位は、細気道(直径<2mm)である.
我々は、COPDにおいて細気道閉塞と気腫性破壊の関係について検討した.
方法
我々はさまざまなstageのCOPD患者78例において,2.0~2.5mmの気道数を比較するためにMDCTを使用した。stageはGOLDスケールを使用し,肺移植のために摘出したCOPD患者肺と,ドナー肺(コントロール)を用いた.
MicroCTは、気腫の範囲(平均肺胞径)を測定し,肺気量mLに対する終末細気管支の数と,終末細気管支の最小径と断面積を比較するために用いた.
結果
MDCTに関して、COPD患者からの検体は、コントロール標本と比較して、直径2.0~2.5mmの気道数はGOLD 1期(P = 0.001),GOLD 2期(P = 0.02),GOLD3または4期(P < 0.001)で減少した。
GOLD 4期患者の肺標本のMicroCT所見は、終末細気管支の全断面積の81~99.7%の減少と,終末細気管支の数の72~89%の減少を示した(P < 0.001)。
COPDにおいて,終末細気管支の数と,それぞれのレベルにおける気腫による破壊(平均肺胞径の増加)は、終末細気管支の狭窄化と喪失が気腫の破壊に先行することを示した(P < 0.001)。
結論
気腫による破壊が出現する前に,細気道の狭窄化と消失が出現するという結果は,COPDで報告される末梢気道抵抗の増加を説明することができる。
micro-CTにて使用された標本に近接する組織より,small-airway profiles数を測定(Panel A),気道壁の厚さを測定した(Panel B).疾患肺における<489μmの平均肺胞径の組織標本において,著明なsmall-airway profiles数の減少(cm2あたり)と,気道壁肥厚が認められた.
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