AJRCCM 2012;186;559-565.
現在推奨されているMACに対する治療レジメンの治癒率は限定されている.このことはその薬剤のpharmacokineticsとpharmacodynamicsが十分理解されていないことが一因としてある.
目的MAC肺疾患の患者の大規模なコホートにおける多剤治療レジメンにおけるpharmacokineticsとpharmacodynamicsと薬剤間の相互作用を調べること.
方法
2006年1月から2010年1月までのあいだAdult Care Unit at National Jewish Health, Denver, ColoradoにおいてMAC肺疾患に対して治療を受けたすべての患者のpharmacokinetic dataをretrospectiveに集めた;我々はretrospectiveにAUCを計測した.分離されたMACのMICはpharmacodynamicな計算から求めた.
Measurements and Main Results:
我々は531のpharmakokinetic解析を行い,481人(84%が女性,平均年齢63歳,平均BMI 21.6)について行った.Target range下のCmax(最大血中濃度)がしばしばみられ,EBでは患者の48%,CAMでは56%,azithromycinでは35%に認められた.RFPを併用すると,CAM,azithromycin, MFLXにてそれぞれ65%, 23%, 10%のCmaxの減少が認められた.殺菌活性に関連するCmax/MICまたはAUC/MICを満たすものはほとんどなかった;EBに対するtarget ratioを達成した患者は57%であり,それに対してCAMは42%,AMKは19%,RFPは18%,MFLXは11%であった.
結論
MAC肺疾患に対して現在推奨されている治療レジメンは重要な薬剤相互作用があり,マクロライドを含むkey drugが低濃度になる.RFP, CAM, AMK, MFLXに対するpharmacodynamicな指標(indices)にはほとんど到達しなかった.このことは,現在推奨されている治療レジメンのアウトカムが不良である理由の一部を説明できるかもしれない.新しい薬剤のトライアルとdosing strategiesが必要である.