2012年11月22日木曜日

肺MAC症に対する治療レジメンの効果が乏しい理由

The Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Pulmonary Mycobacterium avium Complex Disease Treatment
AJRCCM 2012;186;559-565.

現在推奨されているMACに対する治療レジメンの治癒率は限定されている.このことはその薬剤のpharmacokineticspharmacodynamicsが十分理解されていないことが一因としてある.
目的
MAC肺疾患の患者の大規模なコホートにおける多剤治療レジメンにおけるpharmacokineticspharmacodynamicsと薬剤間の相互作用を調べること.
方法
20061月から20101月までのあいだAdult Care Unit at National Jewish Health, Denver, ColoradoにおいてMAC肺疾患に対して治療を受けたすべての患者のpharmacokinetic dataretrospectiveに集めた;我々はretrospectiveAUCを計測した.分離されたMACMICpharmacodynamicな計算から求めた.
Measurements and Main Results:
我々は531pharmakokinetic解析を行い,481人(84%が女性,平均年齢63歳,平均BMI 21.6)について行った.Target range下のCmax(最大血中濃度)がしばしばみられ,EBでは患者の48%CAMでは56%azithromycinでは35%に認められた.RFPを併用すると,CAMazithromycin, MFLXにてそれぞれ65%, 23%, 10%Cmaxの減少が認められた.殺菌活性に関連するCmax/MICまたはAUC/MICを満たすものはほとんどなかった;EBに対するtarget ratioを達成した患者は57%であり,それに対してCAM42%AMK19%RFP18%MFLX11%であった.
結論
MAC肺疾患に対して現在推奨されている治療レジメンは重要な薬剤相互作用があり,マクロライドを含むkey drugが低濃度になる.RFP, CAM, AMK, MFLXに対するpharmacodynamicな指標(indices)にはほとんど到達しなかった.このことは,現在推奨されている治療レジメンのアウトカムが不良である理由の一部を説明できるかもしれない.新しい薬剤のトライアルとdosing strategiesが必要である.