2012年12月28日金曜日

12月13日 熊本県小児科医会学術講演会

熊本地域医療センターにて
2012/13シーズンインフルエンザ治療―抗インフルエンザ薬の特性からー
北海道大学病院感染制御部 石黒信久教授
インフルエンザウイルス
プラスチック,ステンレスなど 24-48hr生存,ティッシュ,紙などは8-12hr生存.

院内感染対策
予防投与:
発端者が隔離されていれば周囲の患者に長期の予防投与(7-10日間)は必要ないのでは?
北大のマニュアルではタミフル3日間,リレンザ4日間(処方剤型を考慮したため4日とした).=予防内服中に発症した人はいるが,予防内服が終了して発症した人はいない.という事実に基づく.  全部2日投与でもよい?

H1N1ロシアインフルエンザウイルスは何故消失?
H1 stalkに対する抗体はH2 stalkにも効く.
H1N1pdm09に出現で,抗Group1 stalk抗体のブースト etc.
H1N1pdm09H3N1, H1N1ロシアよりも効率よく抗stalk抗体を産生できる.

2峰性発熱年齢層 7歳以下 5.6%

大人では2峰性発熱は頻度が少ないとされている.2峰性発熱のことは知らなかった.
予防投与の期間については3日?7日?10日?どこまでがエビデンスといえるのか?

12月24日我が家のクリスマス




 
ピアノ演奏:きよしこの夜,あわてんぼうのサンタクロース,Sonatinen 7番 第1楽章,Summer(久石 譲)
そして私はシンシア(拓郎&かまやつ)を熱唱(?)

12/22スケート場オープン

 

この歳で初めてスケートをした.子どもたちはスイスイ.私はヨタヨタ.ブレードが垂直にならない!

2012年12月18日火曜日

手紙

大学院時代大変お世話になった病院に喪中欠礼のはがきを出したところ,お手紙をいただいた.私のこと,子供たちのことを案ずるその暖かい心遣いに感謝.

IIPにおけるCTD症状の意義ー2012 ERJ Corteら

Significance of connective tissue disease features in idiopathic interstitial pneumonia
T.J. Corte
Eur Respir J 2012; 39: 661–668.

Abstruct
IIPにおいて,特異的なconnective tissue disease (CTD)の診断が得られない時のCTD症状の意義ははっきりしない.我々は生検にて診断したIIP患者においてUCTD診断の臨床および予後的有用性を検討した.
外科的肺生検(1979-2005年)を受けたIIP患者を対象とした.NSIP 45例,IPF 56例であった.血清抗体が存在し,CTDを疑う症状や徴候の存在があるときUCTD ありと診断した.UCTDNSIPの病理組織の関係を評価した.NSIPの病理組織を最もよく予測する臨床的アルゴリズムを,事前定義変数を使用して行った.UCTDとこのアルゴリズムの予後的有用性を評価した.
UCTDNSIP31%14例)に,IPF13%7例)に存在した.UCTDsurvival benefitと相関がなかった.NSIPを予測するアルゴリズム(OR 10.4, 95% CI 3.21-33.67; p<0.0001)は,典型的なIPFHRCT所見がないこと,そして1)demographic profilecompatibleであること(50歳未満の女性)または 2)レイノー現象の存在,が含まれる.HRCT画像が典型的でないIPF患者において,このアルゴリズムはIIPの重症度と独立して,改善された予後を予測する(HR 0.35, 95% CI 0.14–0.85; p=0.02).
UCTDNSIPの組織型と相関があるが,IIP患者におけるUCTDの意義は不明なままである.

Introduction
NSIPは特異的なconnective tissue diseases (CTDs)ACRクライテリアを満たし,肺線維化病変の診断のために肺生検を受けた患者においてNSIPはもっとも一般的な病理組織所見である.しかしCTDの特徴を示す患者の25%は特異的なCTDACRクライテリアを満たさず,このような患者はUCTDとみなされる.通常,12ヶ月をこえてCTDの兆候や症状を示し自己抗体陽性である場合,UCTDが存在するとみなされる.UCTD患者の少数が経過中に特異的なCTDを示す.
IIP患者がUCTDの症状や,血清学的所見を有有することはまれではない(13-15).最近のexpert commentaryにおいて,多くのIIP患者が特異的CTDクライテリアを満たさないが明らかに有意な末梢臓器疾患を有する事実について焦点を当てた.これらの自己免疫疾患的特徴を有する患者の大半は,外科肺生検においてNSIPを有していた(17,18).すなわち肺においてUCTDはその特徴を「特発性NSIP」として示すことが示唆された(9).特発性NSIPIPFの違いは重要な予後的,治療的意味を有する.しかしNSIPの信頼できる診断は外科的肺生検が必要である.最近の広い(broad),そして幾分controversialUCTDの定義を用いてKinderらは(9UCTDIIP患者において一般的であること,特に少数ではあるが17例の生検にて確定診断された特発性NSIPの患者において一般的であることを示示した(9,16).このことから, UCTDの診断によって,外科的肺生検を行う前に特発性NSIP患者を見分けられることが示唆された.
これらの報告に基づいて,我々は以下の目的で検討を行った.

最初に,生検にて特発性NSIPIPFと診断された患者のlarge cohortにおいてUCTDの診断とNSIP病理組織との関係を示す.
第二に,外科肺生検にてNSIPを同定すること関する,そしてIIP患者の予後評価におけるUCTD診断の臨床的有用性を明らかにする.

対象患者
Hospital databaseよりIPF, NSIPの外科生検の組織学的クライテリア,臨床クライテリアを満たす患者.期間は19781月1日から2005630日.IPF 91例,NSIP 61例.→データ不備等で除外されたものがあり,最終的にIPF 56例,NSIP 45例を対象とした.
IPFの診断:ATS/ERS診断クライテリア(2000年)に基づく.
NSIPの臨床診断クライテリア:①両側,肺底部優位,または広範なクラックルを聴取,②肺底部,③拘束性障害,または拡散能の障害,④過敏性肺炎または器質化肺炎を示唆する特徴がない,⑤肺線維化の既知の原因がない,またはそれに関連した疾患がない.臨床診断はmultidisciplinary consensusによって確定した.
特異的CTDACR診断クライテリアを満たす患者はいなかった.
患者のfollow up期間:死亡,または肺移植まで.または200861日まで.
101例中93例がfollow upを行えた.52例(51%)がfollow-up期間に死亡(中央値44ヶ月,range 2-258ヶ月).Follow-up期間に肺移植を受けたものなし.

病理組織
IIPsATS/ERS分類に基づいて診断を行った.
HRCT
全例HRCT施行.typical IPF, intermediate or compatible with NSIP
consensus score:疾患の広がり,GGO, fine reticular changes, micro- and macrocystic changesの割合(5つのレベル),それぞれの所見の全体の広がり を計測.
Laboratory testing
CRP, ESR, ANA (indirect immunofluorescence, 3+以上なら陽性)ENAdsDNAを測定.ENAが陽性ならanti-Ro, La, Scl-70, centromere, RNP, Jo-1抗体を測定.RFも測定.

UCTDの診断
特異的自己抗体(anti-Ro, La, Scl-70, centromere, RNP, Jo-1抗体)の少なくとも1つを有する,または抗ENAまたはANA陽性.更にCTDの症状,徴候の少なくとも1つを有する(レイノー現象,Sicca syndrome,関節痛,朝のこわばり,近位筋筋力低下)がある.我々はまた,Kinderら(文献9)が提唱したあまいUCTDの定義に患者が合致するかを調べた.

 

Disucussion
いわゆるIIPにおいて,CTDの症状は珍しくない.NSIP21%IPF13%UCTDMosca's診断クライテリアを満たしていた.Kinderらの広いUCTDの診断クライテリア(文献9)を使用するとNSIP71%IPF36%UCTDと診断された.UCTDの診断の様に,特異的CTDクライテリアを満たさないCTDの特徴を有する患者の診断が臨床的,または予後的意義を有するかどうかは明らかでない.我々はUCTDNSIPの間の関連を示したが,この関連は過去に報告された結果ほど強力ではなかった.我々はNSIP病理組織に特異的な臨床アルゴリズムを作成した,IPFに典型的なHRCT所見または病理学的情報がない時,この臨床的アルゴリズムを満たす患者またはUCTDの診断クライテリアを満たす患者はCPIcomposite physiologic index=機能的重症度を示す)で補正すると生存を延長した.すなわちUCTDの診断は診断的外科生検を受けていないIIP患者において予後的価値を有する(特にHRCTの特徴がIPFに典型的でないとき).

UCTDはほとんど常に特発性NSIPと関連があるかもしれないことを示唆する初期の報告を再現することはできなかった.Kinderらによって定義されているUCTDは,NSIP患者の~70%に存在したが,IPF患者の1/3が広いKinderらのクライテリアを満たした.実際今回のstudyでは52%の患者がKinderらの広いUCTDの定義を満たし,NSIPの組織に関して中等度に特異的(64%)だが,比較的感度が高かった(71%).それと比較して標準的なUCTDのクライテリアを満足する患者の21%は比較的特異度が高く(88%),感度が低かった(31%(no sensitive)

NSIPの病理組織に対して,特異的なUCTD診断クライテリアは,エンピリックに好まれるが,特に外科的生検ができないとき,標準的な診断クライテリアはNSIPに対してsensitiveではない.一方でKinderらの広いクライテリアはNSIPの病理組織に対してよりsensitiveであり,IPF患者をNSIPと誤分類する可能性がある.しかしそのような誤分類の臨床的または予後的な影響は明らかでない.Kinderらの診断クライテリアの価値は,リウマチ科医によって疑問視され,更に我々の所見は,その価値に対する更なる疑いを投じるものである.とりわけ,これらのクライテリアはIPFNSIPを区別する際,診断的生検の代わりとして使用してよいという考えは,今回の研究結果からは賛成できないし,Kinerらのクライテリア(文献9)の使用が予後的評価に価値を与えることもない.

まとめると,我々の研究結果は,実地診療におけるUCTDの同定に関し, Kinderらのクライテリア(文献9)の将来的使用を支持しない.

2012年12月11日火曜日

サンタさん

今年も我が家にサンタクロースは来るのだろうか?
サンタさんへの手紙


 

第二十回汀女顕彰俳句大会

129日 子供の俳句が第二十回汀女顕彰俳句大会の佳作に選ばれたので表彰式に出席.投句数3805句.江津湖の豊かな自然(と関係者の尽力)があるからこそ,このような俳句大会が開催できるのであろう.感謝.

自宅の紅葉

自宅にモミジを植えてから,はじめて今年きれいに色づいた.
 

2012年12月7日金曜日

antisynthetase syndromeと間質性肺炎 MGH medical recordより

Case 37-2012 —A 21-Year-Old Man with Fevers, Arthralgias, and Pulmonary Infiltrates
N Engl J Med 2012; 367:2134-2146.

生来健康.自己免疫疾患の家族歴がある.本院入院前14ヶ月にわたり発熱,関節炎,皮疹,症状が続き,肺病変(間質性肺炎)も認めた.

鑑別疾患
Infection
Cancer
Collagen vascular disease
・成人発症Still
合わない点:rash hyperpigmentatedでありサーモンピンク様ではない.IPが合併することはまれ.
SLE
合わない点:IPの合併はまれ.ANA陰性→SLEの除外に関する感度は99%
RA
合わない点: RAそのもので発熱をきたすことは典型的でない.RArashなし(SLEDMのような他のCVDとの合併例を除く).本症例は抗CCP抗体陰性→RAR/Oが可能.
・シェーグレン症候群
合う点:anti-Ro抗体陽性,ILDの存在―ILDはシェーグレン症候群でもっともよくみられる.発熱,関節痛,ILDはシェーグレン症候群に合併する.
合わない点:シェーグレン症候群に特徴的なsicca symptomsがない.
MCTD
独立した疾患か否かという議論があるが・・・
筋炎,SLESScの特徴を有する.両手の浮腫,滑膜炎,筋炎,レイノー現象,acrosclerosisの臨床症状を有し,抗U1-RNP抗体陽性である.
本症例は抗U1-RNP抗体陰性であり,MCTDは否定的.
DM
antisynthetase syndromeの観点からDMが最も考えられる.

antisynthetase syndrome
antisynthetase抗体の1つが陽性,
②以下の3つの臨床症状のうち少なくとも1つが存在
 IP, 炎症性myopathy,炎症性多関節炎
他のsupporting featuresとして,発熱,レイノー現象,mechanic's hands(肥厚してひび割れた皮膚,ふつう手掌と指の橈骨側表面にみられる).
現在まで8つの抗体が同定されている.すべてtRNAをアセチル化する酵素に対して作用する.①anti-Jo-1,②anti-PL-12,③anti-PL-7,④anti-EJ,⑤anti-OJ,⑥anti-KS,⑦anti-YRS,⑧anti-Zo抗体.
ほとんどのstudyにおいて,antisynthetase抗体陽性患者の大半はILDを有すると報告されている.それに対して,既知のantisynthetase抗体陽性患者において筋炎とILDを有する患者の割合は1/3-2/3である.198例のIP患者においてantisynthetase抗体の存在を調べたretroの報告がある.この報告では13(16.6%)が陽性であった.このことはかつて特発性と考えられていたIPの理解を深めるものである.他のantisynthetase抗体,特にanti-PL-12(直接alanyl-tRNA synthetaseに作用)抗体は,臨床的に明らかな筋炎のないILD患者において認められた.このことは診断における混乱と診断の遅れを引き起こす.


本症例におけるANA陰性,抗細胞質抗体陽性 の意味は?
抗細胞質抗体は視覚的に同定可能は細胞内構造(ミトコンドリア,ゴルジ装置,細胞骨格),またはcytoplasmic antigenに反応する.本症例はhigh titerの抗細胞質抗体陽性である.したがってanti-PL-7, anti-PL-12抗体のような非Jo-1抗体を最も疑う.

Ro抗体陽性の意味
60-D Roは核に対する自己抗体,52-kD Roは細胞質に存在し,しばしばanitsynthetase抗体とともに認められる.これら2つの抗Ro抗体はanitsynthetase抗体とともにより重篤な肺疾患のリスクを示すかもしれない.

まとめ
anitsynthetase抗体が存在する可能性と,症状等を合わせて考えると,診断はanitsynthetase syndromeの観点からDMと考える(特にanti-PL-7, anti-PL-12抗体との関連を疑う).診断のためのもっとも有用な検査はmyositis自己抗体パネルである.そしてopen lung biopsy ILDの診断を確定する.
Clinical diagnosis
DM associated with antisynthetase syndrome
Anatomical Diagnosis
Interstitial lung disease (bronchiolitis and nonspecific interstitial pneumonitis) and myositis with anti–PL-12 autoantibodies (antisynthetase syndrome).

VATS下肺生検所見
Mixed pattern
呼吸細気管支における肉芽種性炎症,呼吸細気管支におけるorganizing myxoid fibrosis→それは閉塞性細気管支炎の構成要素になる(Fig 2B).他の領域は線維化と気腔の減少を伴った慢性器質化肺炎を示し (Fig 2C),びまん性の炎症を伴う間質の線維化を示していた(Fig 2D).この線維化所見はは非特異的間質性肺炎として示されるかもしれない.呼吸細気管支には,好中球が充満し膿を含むものもあった.この所見は急性細気管支炎の特徴である.胸膜の線維化を伴う慢性胸膜炎もまた存在した.