2013年1月27日日曜日

1月27日クリスマスローズ

庭に咲いている「葉っぱ」がクリスマスローズという名前と知ったのは最近のこと.花が咲くそうなのだが見た記憶がない.近所の園芸店で専門家の講演があり参加.肥料を買って帰宅し,あらためて見てみるとつぼみがあった.うまく咲いてくれるといいのだが.

2013年1月25日金曜日

1月24日 チェストカンファレンス新年会特別講演

カレーうどんを作ってから,ホテルニューオータニへ.カレーうどんはうまかった.やっぱりシーダーがよいからか.恐るべし兵四郎+昆布だし!
講演は 
①くまもと森都総合病院 呼吸器内科 彌永先生 「特発性間質性肺炎とその周辺:診断と治療の進歩」
②済生会熊本病院 呼吸器科 吉岡先生 「Artとしての呼吸器外科学」
帰宅後は娘の学校行事の手伝い.そのあと参観日に向けての「親の宿題」を前にちょっとブルーになる.

2013年1月21日月曜日

1月19日水の科学館



上の子供たちはバス旅行に行き ,下の子と留守番をすることになった.久しぶりに八景水谷公園,水の科学館へ.クイズラリーで熊本の水をゲット.大した思い出もないのだが懐かしい・・・・.その後公民館で本を借りて帰宅.




1月18日 第27回気管支鏡研修会

法事のため,遅れて出席.半分以上の演題は聞くことができず残念.

演題8:縦隔リンパ節転移で再発した胆嚢癌の一例 熊本再春荘病院
H&E染色では原発巣と転移巣の分化度に違いがある.臨床的にではなく,免疫染色等で同一のものであることを支持する所見があるかないかーここがポイント.
・演題9:EBUS-GSにて診断したウエステルマン肺吸虫症の一例 熊大呼吸器内科 
肺内孤立性結節影~浸潤影,waxing and waining.2年前より経過followとなっていた.胸水貯留なし,気胸なし.好酸球増多なし.IgE上昇なし.
ウエステルマン肺吸虫症の13%程度はEosとIgEが正常範囲内と報告されている.
<消退を繰り返す肺の孤立結節~浸潤影の鑑別診断>
①感染症(真菌,抗酸菌,細菌感染,寄生虫),②肺塞栓症,③IgG4関連疾患,④サ症,⑤悪性腫瘍,COP/EP
本症例のTBLB組織:Eosは散在,免疫染色にてIgG4陽性細胞の増加あり.さらに血清IgG4も増加(IgG4 201mg/dl).→IgG4関連疾患との鑑別が難しい.
詳細な問診にて食歴から疑い,組織診断にて虫卵を証明.
*一時陰影が消失し経過観察となった点,末梢血好酸球の上昇がない点,IgG4の増加など興味深い.ついでにEBUS-GSが普及し,多少なりとも呼吸器内科における診断技術のレベルが向上している点は喜ばしい.若い人たちよ「プローブは誰が購入するか」などつまらん「入り口論」はぶっ飛ばして患者さんに還元できる技術はどんどん取り入れて活躍してほしい.
演題10:Cisplatinによる薬剤性急性好酸球性肺炎の一例 熊大呼吸器内科
食道がん,chemoはCDDP,DOC, Fluorouracil,radiation併用.DLSTにてCDDP陽性.
すりガラス影,BALにてEos上昇.抗がん剤投与後一過性の末梢血好酸球増多(スライドでは比率を示していたようだが・・).DLSTにてCDDP陽性.
フロアからの意見①DOC等他の抗がん剤の可能性は否定できないのでは?②画像上「急性好酸球性肺炎」は合わないのでは?③radiation照射との関連は?→radiation終了後2週間で出現(radiation lung injuryとしては発症が早すぎる),radiation照射前に一過性の好酸球上昇.
演題11:シリコーン印象材による気管支充填術が有効であった難治性気胸の一例 熊本市民病院
気胸に対する気管支充填術.完全に閉塞できない.43%という報告あり.リークの軽減を含めると70%程度.
演題12:MFHの一手術例 熊本地域医療センター呼吸器科
右下肺野にmass,内部には石灰化,肺原発の頻度は<0.2%とまれ.治療はope(絶対治癒切除)が第一選択.切除例 5生率43%,化学療法や放射線療法に関する確立した見解はない.
演題13:開窓術後,胸壁出血を気管支瘻部より吸引し,喀血を繰り返した症例に対する手術療法
 熊大呼吸器外科

2013年1月18日金曜日

Acute Interstitial Pneumonia (AIP) Medscapeより

A Acute Interstitial Pneumonia (AIP)
Relationship to Hamman-Rich Syndrome, Diffuse Alveolar Damage (DAD), and Acute Respiratory Distress Syndrome (ARDS)
Sanjay Mukhopadhyay, M.D., Joseph G. Parambil, M.D.
Semin Respir Crit Care Med. 2012;33(5):476-485.
急性間質性肺炎(AIP
Abstract and Introduction
Abstract
急性間質性肺炎(AIP)は臨床的に両側肺の浸潤影による急性呼吸不全と,組織学的にびまん性肺胞障害(DAD)によって特徴づけられる急性肺障害の特発型のために使われる用語である.そして,これらの所見の組合せはかつてHamman-Rich syndromeとして知られていた.
このレビューは,AIPの診断クライテリアと,DADとの関係,そして急性呼吸窮迫症候群(ARDS)との関係を明らかにすることを目的とする.ARDSAIPの診断をする前に除外される必要がある重要な病因と顕著な臨床像を示す.
AIPの臨床および病理学基準を満たす症例は,実質的に,ARDSの臨床基準を満たす症例と重複する.
AIPARDSの主な違いは,AIPDADの組織学的診断と既知の病因の除外を必要とするということである.
AIPは,「IPFの急性増悪」(急性肺障害(通常DAD)が,背景に存在するUIP / IPFに続いて起こる状態)とも区別されなければならない.
Introduction
急性呼吸器症状を呈する患者のサブセットは,両側性肺浸潤影を伴う急性低酸素性呼吸不全に至る.
これらの患者は,ARDSの臨床クライテリアを満たす.そのクライテリアは(1)急性発症,(2) PF ratio200mm Hg(3)胸部X線における両側性肺浸潤影,(4)うっ血心不全がないーうっ血性心不全は測定されるとき肺動脈楔入圧>18mm Hgと定義される,または左心房高血圧の臨床所見がない.
このように定義され,ARDSの基準は,単に臨床的で,組織学的入力を義務づけない.
この定義には臨床応用の容易さの長所があるにもかかわらず,それは明確な臨床病理疾患単位よりもむしろ病因とその背景にある病理の観点からいうとARDSは「寄せ集め」である.
病因の見地から,ARDSは感染/敗血症,ショック,外傷,誤嚥と酸素中毒,その他の多種多様な状況で生じる;
少数ではあるが,明らかな原因または基礎をなす背景がなく出現する.
基礎病理に関して,ARDSで最も一般的な組織学的所見は,DADである.
しかしながら、感染性肺炎、培養陰性急性気管支肺炎、肺胞出血を伴う毛細血管炎、好酸球性肺炎と器質化肺炎のような他の疾患は,ARDSの高い割合において基礎をなす病理所見であることがわかる。
ARDS患者を管理している臨床医にとっての難問は治療可能であるか潜在的に可逆的な原因がある症例を確認して,それらと病因が知られていない症例(治療に対する反応は劣っていそうである)と区別することである.
後者の症例の存在は1935年(Louis HammanArnold Richが病因不明の急性呼吸不全患者4例を報告した時)以降知られていた.
4例の患者が呼吸不全にて死亡し,剖検にて特徴的な病理(ーびまん性に間質の線維芽細胞増殖―その所見は現代のDADの器質化期として認められる所見)を認めた.
この急性特発性状態は,報告者の名前からHamman-Rich症候群と名付けられた.
しかしながら,時間の経過とともに,Hamman-Rich症候群という用語は間質性肺線維症の慢性型を含むすべての型の肺線維症の包括的な表現として誤って使用されはじめた.
急性間質性肺炎(AIP)という用語は,1986年にKatzensteinらによってHamman-Rich症候群と同一の症例に対して紹介された.そこではHamman-Rich症候群が特発性間質性肺疾患の急性型であり,臨床的かつ病理学的に特発性間質性肺疾患の慢性型ーUIP/IPFーとは異なるという事実を強調した.
この総説は,AIPの診断基準と用語を明らかにして,AIPの診断の前に除外する必要の病因について述べ,鑑別診断で考慮されなければならない疾患単位を強調し,顕著な臨床的および病理的特徴を概説する.
定義(診断クライテリア)
AIPの診断のための鍵となる要素は,以下の通りである:
1.重篤な低酸素と,ほとんどの場合,急性呼吸不全による急性の呼吸器症状発症
2.画像上両側肺浸潤影
3.適切な臨床的検査にも関わらず,同定可能な病因がなかったり,素因となる状態がないこと.
4.DADの組織学的所見
AIPという用語には急性発症と,肺間質の著明な障害を結びつけるという長所がある.もともとそれが用語の最初の意図するものであった.
このように,AIPという用語は名前をつけた用語Hamman-Rich症候群ー読者に役立つ情報を伝達しなかったーに対する改善であった.
しかしながら,混乱の1つのもとが除去された(Hamman-Rich症候群が急性間質性プロセスであることは,現在明白である)にもかかわらず,AIPという用語は基礎をなす病理(DAD)を述べていないし,または診断前にDADの既知の原因を除外するという必要に言及していない.
既知の原因によるDADが単にDAD(原因を述べている)と呼ばれるという点で,現在の用語には混乱があるが,原因不明のDADAIPと称される.つまり定義可能な病因がない場合,別々の疾患単位を定義することを意味する.
読者はUIPーそれは全身性硬化症のような既知の病因の背景で起こるときUIP(原因を述べながら)と称するーとの明らかな類似に注意するが,UIPが病因不明のとき,IPFという用語が使用される.
いくつかの論文は,AIPという用語を,「間質性である」とみなされる急性呼吸不全と画像上両側浸潤影のある患者対して使用してきた.
基礎原因が存在する,または,DADの組織学的記録がないという点で,そのような「AIP」症例はAIPの診断基準を満たさない.
以下の考察は,すでにここで列挙されるAIPの診断基準を満たす症例だけを述べる.
1は,発行された一連のAIPの概要を示す.
臨床像
AIPは,あらゆる年齢,性別の患者におこりうる.患者は,13から79歳にわたった.性差はない.妊娠中に発症したことが報告されている.
AIP患者の(全てではないが)多くの患者は,以前健康だった.
しばしば,ウイルス様またはインフルエンザ様前駆疾患または上気道感染症の後出現し,疲労と筋痛のあとに呼吸困難と咳の急性発症が続くことが特徴である.発熱を伴うものもある.熱は呼吸器症状に先行する可能性がある.症状発現の急速な点は,AIPの定義している特徴である;original seriesの症状期間は,2から11日であった.しかしながら,その後の連続した症例は,2ヵ月までの症状期間を有する患者を含んだ.
身体所見は様々であるが,呼吸促迫,チアノーゼ,crackles wheezesを含む.
ばち状指はAIPの特徴でなく,IPFの急性増悪患者(おそらく,基礎をなす慢性の線維化プロセスに起因する)に認められるので,ばち状指はこれらの2つの疾患単位を区別する有用な臨床的所見考えらえる.
AIPを有する大部分の患者は,室内気下で低酸素を示し,ほとんどすべて機械的人工換気を必要とする.
検査所見は非特異的で役に立たない.
多くの患者は,好中球増加を伴う非特異性の白血球増加を示す.
画像
DADの主要なX線所見は両側肺浸潤影の存在である.そして,それは斑状からびまん性に存在し,しばしば,肺胞性陰影と言われる.
AIPHRCT所見は,よく報告されている.
それらは両側GGOおよび/またはairspace consolidation (opacification)(図1)を含む.
これらの所見は他の疾患にも存在するので,非特異的である.
牽引気管支拡張症と蜂巣肺が一般にAIPと考えられるいくつかの患者に観察されたが,これらの特徴は純粋なDAD/AIPよりもむしろUIP/IPFのような基礎をなす慢性の間質性繊維化プロセスの存在を示している可能性がある.
AIP-DADの病理学
DADを組織学的に見つけることがAIPの鍵となる診断基準のうちの1つであるので,肺生検は臨床経過の間,いくつかの時点で必要とされる;
死亡前生検がない患者において,剖検肺の組織学的検査は,診断を確認することができる.
DADは経気管支生検にて診断可能であるが,大部分の患者は外科肺生検(開胸かVATS)を受ける.
組織学的に,その初期の(急性期の)DADの特徴的な所見はヒアリン膜の形成である.そして,それは壊死に陥った肺胞上皮細胞から成る好酸性線形状構造物であり,かつ傷害を受けた漏出性毛細管から押出された血清蛋白質である.
疾患が進行する(器質化する)につれて,ヒアリン膜は再吸収され,線維芽細胞は肺胞中隔(間質)に移動する.
後の段階(organizing器質化期 DAD,別名fibroproliferative線維増殖期 DAD)では,組織は線維芽細胞による間質の肥厚によって支配される(図2).
この段階ではヒアリン膜は巣状であるかまたは存在しない場合がある.おそらくヒアリン膜が間質に再吸収されるためである.
従って,組織学的にDADは,間質性病変がわずかである段階(早期,ヒアリン膜を伴う)から間質性病変が顕著および明らかである段階(後期/器質化期)まで進化する.
おそらく間質性病変はDADの器質化期においてより明らかとなるため,早期の一連のAIPは疾患のこの段階の組織学的特徴を強調している.
しかしながら,急性期および器質化期DADはしばしば同一生検組織に共存し,そして両期が存在する時,小さい生検組織は急性期を示している領域だけを標本抽出する可能性があり,そして,急性期および器質化期DAD(プロセスは,連続体である)を分ける明確な境界線がないので,我々はAIPの定義を器質化期DADだけを示す症例に制限する正当な理由がない.
換言すると,DADだけを示すそれらの症例をAIPの定義から除外する理由はない.
ヒアリン膜と増殖性間質性線維芽細胞に加えて,いくつかの他の組織学的所見はDADにおいて様々に存在する.そして,その多くはしばしば病理学者を正しい診断からそらす.
これらは,肺胞虚脱/無気肺,2型肺細胞の増殖(それは印となる可能性がある),肺胞中隔内の浮腫,小さい肺動脈内血栓,扁平上皮化生(しばしば高度増殖性)と軽度の慢性間質性炎症を含む.
炎症細胞(特に好中球)はほとんどの場合乏しい.そのことはAIPを急性気管支肺炎と急性壊死性毛細血管炎から区別する.
微生物は,定義上存在しない.
微生物が生検にて明瞭である症例は,AIPというべきではない;その代わりに,単にDADと称し,原因を示すべきである.
肺生検の役割は,DADを確認することに限られているのではなく,根本的な病因の同定にまで及ぶ.
外科肺生検にて診断された58例のDADの研究において,主にUIP(すなわちIPFの急性増悪を診断)またはサイトメガロウイルス(CMV)のような感染を確認することによって,6例(10%)の病因が明らかとなった.
一見したところ組織学検査に関して原因不明のDADがあるように見える免疫不全患者において,ニューモシスチス肺炎がときに通常の肺胞内物質の代わりにDADとして組織学的に示されることを想定すれば,真菌類に対しGrocottメテナミン銀(GMS)染色を実行することは有効である.
DADの病因ーAIPの診断をする前に何を除外するか
すでに述べたように,DADAIPの病理学的基礎をなす.
AIPは特発性疾患単位と定義されるので,AIPという用語は適用する前に,DADの既知の原因を除外すべきである.
実際には、通常の診断順序は肺生検でDADを発見することによってAIPを疑う.そして、この点で、背景をなす潜在的病因の除外が問題になってくる。
DADのなんらかの原因(例えば敗血症,先の化学療法または明らかな広範囲に及ぶ外傷)は,診断時臨床的に明らかである.
その上,ほとんどの場合,感染を除外する最初の努力は,すでにこの時までになされている.
しかしながら,毒物または結合織疾患のような他の病因は,DADの病理診断の前に考慮されることはないかもしれない.
必要な検査の標準推奨がないにもかかわらず,オルソンらによる研究は除外すべき主要な病因(感染,結合組織疾患,薬物毒性)の概要を臨床家が探すための良好なリファレンスである.
特に毒性に関して,原因の総合的なリストは他で編集された.
一連のAIP患者において臓器移植レシピエントを含めた著者もいる.しかし、そのような症例は現在,特異的な非感染性、移植関連の肺合併症であることが明らかとなり,特発性肺炎症候群、移植関連呼吸窮迫症候群とびまん性肺胞出血症候群と命名されてきたので、そのような患者を除外する著者もいる.
感染は,AIPの診断が臨床的に考慮されているか,または肺生検にてDADと診断された患者において除外する最も重要な病因である.
これは,痰,血液,気管支洗浄および/または気管支肺胞洗浄(BAL)液の培養を含む微生物学的および血清学的検査の方式をとらなければならない.
(肺生検を行った呼吸器科医または外科医は)代表的な肺生検肺組織は培養検査に提出すべきことを記憶することは重要である.
組織学検査は,培養が不可能(例えば,ニューモシスチス)であるか,培養検査に時間を要する(例えば多くの放線菌,ブラストミセスとHistoplasma)微生物を検出するための鍵となる診断方法である.
これらの微生物は,しばしば肺生検標本の組織学的検査によって,容易かつ迅速に検出される.
ニューモシスチス肺炎は組織学的にDADを生じることがあり,臨床的にARDSとして現れることがありえるので,ニューモシスチス肺炎は,特に免疫不全患者においてAIP様臨床症状の鑑別診断において常に考慮されなければならない.
ニューモシスチス微生物は組織学検査以外の方法によって検出するのが困難であったり,不可能な場合がある.
CMVは組織学検査によってDADの原因と特定されることもできる.それはルーチンのH&E染色において特有の封入体の同定によって,または,免疫組織化学によってである.
結合織疾患(collagen vascular diseases)は病理学的にDADとして現れる可能性がある疾患である.
DADを伴う主要な結合織疾患は,皮膚筋炎/多発筋炎(antisynthetase症候群を含む),全身性硬化症(強皮症),全身性エリテマトーデス,シェーグレン症候群,関節リウマチと混合型結合組織病である.(表2
DADは,通常確立した疾患の患者に起こり,他の全身性の症状とともに発現するか,または,疾患経過の後半に発見される.
しかしながら,それはときに疾患の示している徴候である.
従って,明らかな根本病因なくDADを肺生検にて組織学的に発見するためには,結合織疾患に関する精密検査を常に行う必要がある.
行う必要な血清学的検査と結果の解釈は,これらの肺優位な未分化結合織疾患(lung-dominant undifferentiated connective tissue diseases)の点からいうと,今なお変化する; この問題は,Fischerらによってよくまとめられている.
DADは,薬剤性障害の組織学的徴候として最もよく報告されている.
多くの薬はDADを生じることがありえる.そして,最も古典的なものは化学療法剤(例えばブレオマイシンとブスルファン)である.
非化学療法剤のうち,アミオダロンとニトロフラントインは,おそらく最も有名な原因のいくつかである.
薬剤性肺疾患は,証明するのが不可能でないとしても,常に診断が複雑である.
ほとんどの場合,毒性の推定的な診断は,薬物療法の開始の後の疾患の発症,治療法の停止による症状の改善と他の原因(最も重要なのは感染症)の除外に基づく.
肺生検が感染を除外して,基礎をなす病理学的徴候(DADを含む)を正確に指摘するのを助けるにもかかわらず,薬物関連肺疾患や特定の薬剤に特異的な病理所見はないことを強調することは重要である.
薬剤との関連を確定的にすることが困難にもかかわらず,DADとの関連がわかっている薬剤による治療の場合,DADの発生はAIPの診断を除外しなければならない.
病因
DAD(すなわちAIP)は,急性肺障害の徴候である.
有害な薬剤の型に関係なく,損傷は概して肺胞中隔毛細血管の内皮と同様に肺胞上皮に損傷を与える.
組織学的に,これらの2つの要素(上皮と内皮)への障害は,壊死した上皮細胞に由来する破片の混合物に帰着する,そして,血清蛋白質はヒアリン膜を形成する傷ついた毛細血管から生じた.
以降の修復反応(DADの器質化期,増殖期,線維増殖期と称される)は,間質において線維芽細胞の著しい増加を伴うヒアリン膜の間質への編入によって特徴づけられる.
線維芽細胞が実際急速に増殖しているという断定は,免疫組織化学によってトリチウム標識チミジンの編入と高いKi-67標識指数を含む複数の技術で支えられる.
組織学的に広汎な線維芽細胞増殖の存在は,器質化DADAIP)をUIPから区別する.UIPでは線維芽細胞増殖の非常に小さいfociを伴い,大部分の線維形成は,年代的に言うと「古い」(コラーゲン沈着によって主に示される)
鑑別疾患
AIPの鑑別診断は,感染,うっ血心不全,ARDSIPFの急性増悪と既知の原因によるDADを含む.
感染
すでに述べたように,劇症感染症の臨床および放射線学的特徴は,AIP同一のことがある.
従って,AIPという呼び名が適用される前に,あらゆる試みを行い微生物を同定しなければならない.
臨床医は適切な微生物学的および血清学的試験を要請しなければならない,そして,病理学者は生検標本に微生物がないか調べなければならない.
患者が免疫不全である場合,この情報を病理学者に提供することは不可欠である.なぜならこの情報により微生物の検索は特に丹念に行い,特別な組織化学的または免疫組織化学的染色法の使用を行う可能性があるからである.
うっ血心不全
うっ血心不全(CHF)は,しばしば,最終的に,AIPがあることが示される患者の鑑別診断に入る.
CHFの除外はARDSの定義の鍵となる基準である,そして,AIPも同様とする.
放射線学的に,ARDSAIPは,心原性肺水腫と区別がつかないことがある.
実際のところ,ARDSAIPは,しばしば,noncardiogenicな肺水腫と呼ばれるが,これは,病理が浮腫よりもむしろDADであるということを意味するいく分まぎらわしい用語である.
今日,CHFの診断は,さまざまな非侵襲性ツール(例えば超音波心臓検査と血清BNPレベル)を用いて確実に行うことができる.
不明な症例において,pulmonary capillary wedge pressureを得るSwan-Ganzカテーテル法の使用は診断を補助する.
ARDS
ARDSAIPには多くの共通した特徴がある.それは急性発症,重篤な低酸素血症,画像上両側の浸潤影,機械的人工換気を必要とする呼吸不全,不良な予後,高い死亡率とDADの病理組織所見である.ーすなわち読者は何故ARDSAIPが同じ範疇でないか疑問に思うだろう.
実際のところ,AIPはときに特発性ARDSと呼称されてきた.
2つのキー差で,ARDSAIPの診断基準を比較すると,定義がほとんど同一であり,2つの重要な違いがある.
第一に,ARDSは単に臨床基準だけによって定義されるが,AIPの基準は臨床および病理学的所見が必要である.すなわち診断のために肺の組織学的検査が要求される.
これはAIPをいくらかより狭く定義された疾患単位とするが,ARDSは,臨床的背景でされ,基礎病理に関してよりheterogeneousである.
例えば,ARDSの臨床定義に合う一部の症例において,組織学検査でDADでなく他の所見(例えば感染性肺炎,肺胞出血を伴う毛細血管炎または器質化肺炎)が明らかとなる.
2に,AIPの定義は障害が病因不明であることを義務づけるが,基礎原因が特定されるかどうかにかかわらず,ARDSの定義は有効である.
従って,これらの定義を考慮すると,ARDSAIPは,2つの異なった疾患単位または疾患としてではなく,重篤な急性肺障害患者のサブセットを定義する異なった方法として概念化されなければならない.
定義が重複するので,両方の診断はしばしば同じ患者に適用されることができる.
このように,一部のARDS患者はAIPの臨床および組織学的基準を満たす,そして,実質的に,AIPを有するすべての患者はARDSの臨床診断基準を満たす.
ARDSAIPの関係は,図3の中で図式的に図示される.
ARDSにおける多臓器機能不全の存在と,AIPにおける多臓器不全の不在は,2つの疾患単位の間の違いとしてあげられた.
多臓器機能不全はAIPよりもARDSにおいてより普通にみられるにもかかわらず,多臓器機能不全がこれらの疾患を精密に区別するものであることを示す報告はない.
3
急性呼吸窮迫症候群と急性間質性肺炎の関係を示すflowchart
IPFの急性増悪
これまでの考察は,読者に間質性線維症が急性および慢性型に常にきちんと分類できると思わせる可能性がある.
しかしながら,慢性間質性線維症(確定例または潜在性)患者のあるグループでは,急性肺障害(それわまた線維化を含む)が加わる.すなわち混合したacute-on-chronicな線維化に進展する.
古典的な例は,既知のUIP/IPFを有する患者で,(しばしば原因不明の)DADが加わる.結果として生じる急性特発性疾患がAIPと類似しているにもかかわらず,重要な違いは基礎をなす慢性線維化の存在である.
従って,この状態に対する適切な用語は,AIPでなくIPFの急性増悪である.
そのようなacute-on-chronic症例の存在は,かつてなぜ肺線維症の急性型(例えばAIP)とUIP/IPFのような慢性型をきちんと区別することが非常に困難であったかを説明する.
急性障害が続いて起こるとき,これらの患者の一部はすでに既知の基礎をなす潜在性慢性間質性肺疾患(例えば,IPF)を有するものもあるが,それに加わった急性肺障害が肺疾患の第1の症状であり,基礎をなす慢性間質性線維症は,更に引き起こされた急性肺障害が臨床的関心を引き発見される者もある.
慢性および急性のプロセスの混成の証拠は,しばしば,示すのが困難であるが,いくつかの方法で調べることができる.
臨床的に,既知の慢性肺線維症患者は,突然悪化し,急性呼吸不全に進展する可能性がある.
放射線学的に,慢性間質性線維症(蜂巣肺と牽引気管支拡張症/細気管支拡張)と,急性間質性線維症(GGOまたは浸潤影)の証拠が存在する可能性がある.
最後に,組織学(そのような症例を評価するgold standardである)は,同じ生検組織においてDADUIPのような,急性および慢性プロセスを示す可能性がある.
AIPの症例において牽引気管支拡張症と蜂巣肺(UIPで典型的に見られる特徴)は純粋なAIPよりもむしろ潜在性下にあるUIPを示しているようである.
実際に,牽引気管支拡張症と蜂巣肺変化はAIPにおいて逆の予後因子であると主張された.そしてその所見は(洞察すると)これらの患者は背景にUIPを有しており,それはAIPが単独で存在する時より予後が悪いことのより良い説明となる.   
既知の原因によるDAD
既知の病因に起因するDADAIPと臨床的に,そして放射線学的に同一である.そして,唯一の違いは名称である.
先のセクションで述べられるように,用語AIPを使用する前には,DADの既知の原因を臨床的に除外する必要がある.
治療
AIPには証明された有効な治療法がない.
実質的に,すべての患者は,機械的人工換気と補助治療を必要とする.
機械的人工換気の肺保護戦略は,ARDSにおける確立した利点に基づいて主張された.
多くの患者は,高用量静脈内コルチコステロイドであり,その使用は,ARDSにおいてそのような治療による低い死亡率の報告に基づく.そして高用量コルチコステロイドパルス療法が死亡率を低下させる可能性があるという主張がある.
しかしながら,コルチコステロイド療法の薬効はAIPで全く認められず(それは一般に広く寄せ集めたARDSにおいて証明されなかったコルチコステロイド療法の反映である可能性があった.
AIPの治療法のエビデンスベースのアプローチは,診断のまれなことと状態のすべての報告が現在まで少なく,症例記述シリーズであるため,非常に難しい.
予後
AIPの予後は劣っている(ARDSと同様).大部分の患者が機械的人工換気と高用量コルチコステロイド療法にもかかわらず急性呼吸不全またはその合併症で死亡する.
全体として,患者の約半分は,2ヵ月以内に死亡する.
しかしながら,生存者数は様々で,ほとんどのseriesで報告された.
AIPを有する一部の患者は最初の入院を生き残るが,退院後数ヶ月以内にAIP再発,肺炎またはCHFで死亡することは,文書で十分に裏付けられている.
予後に関する意外なデータは,Quefatiehらの報告とSuhらの報告である.それらは低い死亡率を報告した.
Quefatiehらによって報告されたseriesにおいて,8例の患者のうちのわずか1例しか死亡しなかった.
著者は早期かつ頻回のコルチコステロイド療法が原因であることを主張したにもかかわらず,この著しく低い死亡率の理由は不明である.
Suhらの連続した患者では,10人中8人が生存し退院した.
著者は,早期の肺生検,高用量コルチコステロイドパルス療法,そして機械的人工換気中の肺保護戦略の組み合わせにより低い死亡率が達成できることを主張した.
一連のAIPのほとんどは,これらの所見を追試することができなかった.そして静脈内高用量コルチコステロイドと肺保護換気戦略の使用にもかかわらず,これらの患者の死亡率は50から100%にわたった.
DAD1つの研究において,AIPの病院死亡率(50%)は,既知の原因によるDADの死亡率(53%)と類似していた.そして,基礎をなす病理としてDADのある患者において,根本病因の同定が結果を必ずしも改善するというわけではないことを示唆する.
実際に,現在まで,より良好な結果がありそうであるDAD患者を同定する臨床的または病理学的特徴はない.   
AIPからの回復後長期生存は可能であるが,診断後生存期間は最高24年間という報告がある.
AIPは慢性間質性肺疾患と蜂巣肺形成に進展する.それはAIPUIPに進展しうることを意味するようである.
しかし,この観察の別の説明として,「AIP」の明らかな発症が実際は背景にある潜在性IPFの急性増悪であり,それは最初の急性損傷時に検出されなかったということが挙げられる
その後,背景にある慢性線維形成は時間をかけて明らかになる(その時蜂巣肺が明瞭になる)可能性があった.
Summary
1AIPの定義している特徴は,呼吸器症状の急速な発症,画像上両側性肺浸潤影を伴う急性呼吸不全の発現,十分な微生物学的および血清学的調査にもかかわらず定義可能な原因または素因的疾患の欠如と組織学(剖検の外科肺生検または検死によって死前の)に関するDADの記録である.
状態はARDSと重複するが,別々に定義される(すなわち,DADの組織診と既知の原因の除外が必要).
2AIPを有するほとんどすべての患者は,機械的人工換気を必要とする.
ほとんどは,高用量コルチコステロイドを静脈内に用いた治療を受ける.
治療に対する反応は,様々であるが通常劣っている.
死亡率は,大部分の連続で50%より大きい.
しかしながら,患者のサブセットは,退院まで生存する.
3DADは,早期の(急性期の)ヒアリン膜と後期の(器質化期の)段階の間質性の線維芽細胞増殖によって組織学的に特徴づけられる.
DADは単に病理学的診断である,しかし,AIPはそうではない.
定義上,AIPは臨床設定(急性呼吸不全,両側性浸潤影,病因の欠如)についての情報なく,病理学者によって診断することはできない.
4.背景にあるUIP/IPFの放射線学的または病理学的証拠が存在する場合,たとえ病因がわかっていないとしても,急性呼吸不全とDADの組合せはAIPよりもむしろIPFの急性増悪と称さなければならない.
IPFの急性増悪患者はーAIP患者と似てー予後不良である.そして背景に不可逆性慢性肺線維症の更なる合併を伴う。