2014年4月22日火曜日

Combined pulmonary fibrosis and emphysema (CPFE)について

Combined pulmonary fibrosis and emphysema: a distinct underrecognised entity
Eur Respir J 2005; 26: 586–593
V. Cottinの最初の論文

Retrospective multicenter study
19851月から200312月の症例.

Inclusion criteria
CTにてemphysemaが存在.Emphysema1mm未満の非常に薄い壁に境界されるか,または壁が存在しない.そして/または多発性のブラが存在する.いずれも上肺野優位である.
CT上有意な肺線維化を伴ったびまん性肺疾患が存在する.肺線維化は末梢肺底部優位の網状陰影,蜂巣肺,構造改変,そして/または牽引性気管支拡張または牽引性細気管支拡張を伴う.巣状のGGOかつ/または肺胞性陰影は合併するかもしれないが著明ではない.

Exclusion
CPFEの診断時
connective tissue diseaseのある患者.
さらに他の間質性肺疾患の症例(薬剤性肺炎,塵肺,過敏性肺炎,サルコイドーシス,LCHLAM,好酸球性肺炎など)は除外.

臨床像の解析
61例中60例が男性,1例が女性
全例が喫煙者または喫煙経験者
症状
48%,痰36%,胸痛17%,ばち状指43%,捻髪音87%,喘鳴13%
呼吸機能検査
FVC 88%±18FEV1/FVC 69%±13とほぼ正常(閉塞性障害の定義に合致する症例は31/61例のみ),DLco37±16%6MWD によるSpO2低下-8.9±5.7%
肺高血圧症 診断時47%follow-up中に55%合併.診断時の肺高血圧症の合併は重要な予後規定因子.

CTパターン
典型的なIPF31(51%)
IPF /またはf-NSIPを強く疑う:21 (34%)
網状陰影が優位のcomplex pattern10例.
centrilobular emphysema59例において上肺野に認めた.paraseptal emphysema93%に認められ,特に頻度が多かった.bullaは半数に認められた.

開胸肺生検は8例に施行
UIP 5例,DIP 1例,OP 1例,分類不能 1

Fig 2
全症例の5生率は55%
PAHなし(肺動脈収縮期圧<45mmHg)の5生率75%
PAHあり(肺動脈収縮期圧≧45mmHg)の5生率25%

*この論文では肺がんの合併についての記載なし.

 
Combined Pulmonary Fibrosis and Emphysema Syndrome
A Review
Matthew D. Jankowich , MD , FCCP; and Sharon I. S. Rounds , MD
Chest 2012; 141(1):222–231
CPFEsyndromeである.
病因,臨床的特徴等について述べる.
Emphysema:  elastic recoilの低下,肺気量の増加,最大呼気流速の低下.
Fibrosis:  elastic recoilの増加,肺気量の低下,最大呼気流速は保持されるか増加する.
CPFE syndrome:病理学的特徴としてUIP優位である.
CPFEは独立したdisease entityなのか,喫煙関連の2つの疾患がただ合併したものなのかまだ明らかでない.

DIAGNOSIS OF THE CPFE SYNDROME
CPFE syndromeの診断はHRCTにて行われている.時々病理学的な所見も活用される.現在CPFE syndromeの合意された定義は存在しない.
UIP/IPFCPFEのもっとも一般的な画像,病理学的所見であるが,f-NSIPの報告例もあり,IPFの存在はCPFEの診断に必須ではない.
ほとんどの報告(Table2で示される)は特徴がある.①男性,②喫煙歴,③スパイロメトリー検査値は比較的保持される,④DLcoは低下する.
CPFE syndromeを疑う患者:
・肺高血圧と,肺機能異常 ― 特に混合性障害がある.
・肺機能は正常か,正常に近い状態だが,重度の息切れがある患者.
・スパイロメトリーの肺機能障害の割には,酸素が必要な患者.

Etiology
喫煙
Table 2 98%current or former smoker
喫煙により,臨床的にCPFE syndromeの特徴的な気腫と肺線維化をきたしやすい特殊な患者サブセットがあるのではないか?
Male Sex
Table 2 90%が男性.
男性の方が喫煙やCFPEの他のリスクファクターに曝露されやすい?しかし男性と女性の喫煙歴を比較すると,完全に性差を説明できない.
男性の方が,異常な肺の老化を受けやすく,喫煙によって誘導される気腫や,線維化に感受性があるのではないか?
Asbestosis
Emphysemafibrosisは喫煙歴有無にかかわらず,存在することがある.そしてCPFE syndromeの一部の患者はmineral dust exposureにより説明できるかもしれない.
Other Associations
HPと農夫肺もまた肺の線維化と気腫を引き起こすかもしれない.このような症例では喫煙がなくても気腫がおこることが報告されてきた.RAや全身性硬化症のような結合組織病においても気腫と線維化が同時に存在することがある.抗核抗体陽性だけでなくサーファクタントプロテインCmutationも存在する患者においてCPFE synd.を認めた1例報告がある.このことは,CPFE synd.の病態においてサーファクタントプロテインの遺伝的,後天的異常が関与するかもしれないということを示唆している.CPFE synd.に典型的な臨床像,画像が,喫煙のみならず,レアアースelementsに曝露されたmovie projectionistに認められたという1例報告がある.
以上の例は気腫と肺線維化の共存が,様々な臨床状況において起こることを示唆している.

PATHOGENESIS

 
PHYSIOLOGIC CONSEQUENCES
画像上,広範な肺病変とDLcoの低下に代表される著明なガス交換能の障害にもかかわらず,スパイロメトリーの検査値と肺容量は保たれる.CPFEにおいて肺容量が比較的正常なのは,肺線維症の拘束性障害と,気腫にみられる過膨張傾向とが平衡することによる.CPFE患者に見られる正常のスパイロメトリー値の説明:肺線維化による牽引が,気腫でみられる典型的呼気時の気道虚脱を防止し,気管支周囲の線維化が細気道の硬化/支持に貢献し,結果としてFEV1が保たれる.重度のガス交換障害は,2つの疾患プロセスによる肺血管表面積の低下,肺毛細血管容量の低下,さらに肺胞壁の肥厚と推測される.
CPFEにおいて,高炭酸ガス血症は低酸素血症ほど頻繁には見られない.

PATHOLOGY
CPFE synd.において気腫に合併して,様々な肺線維化の病理学的パターンが報告されてきた.①UIP,②線維化を伴った気腔の拡大,③肺胞隔壁の線維化を伴ったRB-ILD,③広範な線維化を伴ったDIP,④分類不能の喫煙関連間質性線維化.

NATURAL HISTORY AND MORTALITY
肺機能の経時的変化の意義はCPFE synd.の患者とIPF単独の患者間で異なるようだ.
Akagiらの報告
CPFE患者はIPF単独患者に比べ,FVCDLcoが経時的にゆっくり低下する.IPFにおいてFVCDLcoの低下は重要な予後因子であるので,これらの患者における気腫の合併を認識できなければ予後予測を誤るかもしれない.このことはSchmidtらによって強調された.すなわち,彼らは他の肺機能パラメーターと比較して,経時的なFEV1の低下はCPFE患者の死亡をより予測でき,一方IPF単独群では生理学的項目の組み合わせの方が死亡をより予測できることを見出した.
CPFE synd.の死亡は著しい(Table 3).報告されている生存中央値は2.1から8.5年である(全例過去に肺がんと診断されたUsuiらの報告を除く).もし右心カテーテル検査で ,肺高血圧と診断された場合は,1年生存率はわずか60%である.CPFE synd.の患者はIPF単独患者より予後が悪いかどうかは明らかでない.Mejiaらは気腫+IPF患者は,IPF単独患者より予後が悪く,それは肺高血圧症との関連があることを報告した.興味深いことにMejiaらの気腫+IPF患者は,他の報告のCFFE synd. と比較して,VCが低く(Table 2),典型的なCPFE患者を反映していないかもしれない. Mejiaらの報告と異なり,他の報告ではCFPE synd.IPF単独群よりもかなり予後が良い.この相反する結果の理由は不明であるが, CPFE synd.の患者における非IPF病理所見の割合が多い,②気腫のサブタイプの影響,③後ろ向き試験であること,④inclusion, exclusion criteria,⑤コントロール群の選択,などが関与しているのかもしれない.しかしこれらの結果はCPFE synd.の特徴を有する患者は,IPF治療の治験に入れてよいかという問題を提起する.Prospective cohort studyにてCPFE synd.natural historyを明らかにする必要がある.また,IPF治療の治験においては,気腫のあるなしで層別解析することは有益であろう.

COMPLICATION OF CPFE
Pulmonary Hypertension
PHIPF単独群よりCPFE群においてより頻度が高く,重症である.Cottinらは40例のCPFE+PH患者において,右心カテーテル検査を施行.平均肺動脈圧は40±9 mmHgであった.このコホートにおいて,CIの低下(<2.4 L/min/m2),または肺血管抵抗の上昇(>485 dyne/s/cm5)は予後不良因子であった(生存中央値はそれぞれ7.5か月と6.6か月).内科的治療に有意な効果は認められなかった.コントロールスタディが必要である.したがって現在,CPFE synd.におけるPHに対して,酸素吸入療法と,適切であれば肺移植がもっともreasonableな管理手段であろう.

Lung Cancer
Odaniらの報告
CPFE症例の42%が肺がん.
Kitaguchiらの報告
CPFEコホートvs. COPD単独コホートにおける肺がんの罹患率は46.8% vs 7.3%.(しかしこの結果は肺がん治療センターにおけるreferral biasによって影響を受けている)
Kurashimaらの報告
IPF単独群(8/66例,12.1%)よりCPFE群(12/36例,33.3%)において有意に肺がん死の割合が多い.
Usuiらの報告
肺がん患者のlarge cohort.画像的にCPFE101/1,143例,8.9%)はIPF15/1,143例,1.3%)単独よりも有意に多い.生存はCPFE+肺がんのほうが気腫+肺がんよりも有意に悪い.これらの結果は他のセンターにてより多様な患者群で再現する必要がある.しかし以上の結果は,CPFEにおいてみられる慢性肺障害が,肺がんへの進展や,がんの進行に影響を与えており,それらの現象はCPFEにおいて肺がんの進展に関与する喫煙や,気腫,肺線維化の「triple hit」効果に関連していることを示唆している.さらにがん遺伝子がCPFE synd.の進展素因になりうる可能性がある.

Acute Lung Injury
CPFE synd.は肺切除術後の急性肺障害のリスクが高い.
Saitoらの報告
後ろ向き解析.肺がんにて葉切除を行った487例中10例が葉切除術後ARDSを発症し,その10例中7例(70%)にCPFEを認めた
Kawabataらの報告
上記報告とは対照的に, 喫煙のあるUIP患者は,気腫と線維化による気腔拡大+UIPの患者よりも肺切除後の呼吸不全の頻度が多い.
Keller
気腫+他の病理学的所見(線維化など)があると,気腫単独コホートよりも,chest tube drainageの期間がより長く,入院がより長くなることを報告.
Usuiらの化学療法に関する報告
CPFE+肺がん患者101例中20例(19.8%)が治療(手術,放射線,化学療法)期間中に重症急性肺障害をきたした.
以上の研究,報告はCPFE患者が,さらに肺障害をきたした時に障害を受けやすいことを強調している.したがって,手術前に,肺機能検査や胸部CTにて肺障害を受けやすい患者を見つけることは重要である.

TREATMENT OF CPFE