2013年5月30日木曜日

第376回熊本チェストカンファレンス

2013523日(木)19:00
376回熊本チェストカンファレンス定例会

症例1
60歳代,女性.胸部異常陰影精査目的に胸部CT施行し,前縦隔腫瘍を指摘.
内部は不均一な円形の腫瘤.造影すると周囲が非常にenhanceされるのが特徴.内部はlow.液体が存在しているようにも見えるが・・・.
前縦隔腫瘍の鑑別診断
thymoma, thymic cancer, germ cell tumor, malignant lymphoma(discussionには出てこなかったが・・),mediastinal goiter
造影効果が高い腫瘍は何か?が重要になる.

⇒血流が豊富な腫瘍と考え,生検は行わず切除術を行った.
答えは迷入性甲状腺腫aberrant mediastinal goiter
(参考)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jacsurg/24/2/24_2_195/_pdf
甲状腺と連続性のない迷入性甲状腺腫は非常にまれ.甲状腺機能異常をきたすことも少ない.本症例も正常.

症例2
毛包性ムチン沈着症の診断にてステロイド内服中(PSL10mg/day)の20歳代,女性.dry cough, 頸部リンパ節腫脹,微熱出現.
顔面,上背,上肢に丘疹,結節散在.
採血データ Eosの増加 4260/μL,LDH 634U/Lと上昇.
全肺野にすりガラス影,粒状影を認める.小葉間隔壁肥厚あり.⇒呼吸不全となる.すりガラス影(geographic appearence),右下肺野に強いdense consolidation,粒状影

画像はperilymphatic distributionと思うが・・
鑑別診断
感染
viral, 非定型,結核(⇒ARDS),PCP
非感染
Lymphoproliferative disorders
Sa症,Castleman`s disease
ML,
HTLV-I associated

その後の検査
sIL-2R 12000 U/mLと著増.HTLV-I陰性.BALF; Ly 80.5%(異型Ly 60.5%),CD4/8= 25.93, TBLB; 細気管支周囲にTリンパ球浸潤.TCR Cβ1/Jγ再構成あり.
診断はmycosis fungoides (MF)
皮膚原発のT cell由来ML,肺病変は通常terminal stageで出現.本症例のようなcaseはまれ.

ステロイド投与⇒EPOCH療法開始.
肺病変はMFの(直接)肺浸潤と考えられた.
ステロイド投与が経過や,症状,画像所見を修飾していた可能性がある.
 
(参考)
http://www.derm-hokudai.jp/textbook/pdf/22-09.pdf

熊大呼吸器外科,森都総合病院

2013年5月23日木曜日

COPD急性増悪に対する経口ステロイド5日vs14日間治療

COPDの急性増悪に対するステロイドを使用期間に関する論文.ステロイド5日というのは妥当な感じがする.
でも実地診療では十分な量を投与し患者の状態を見ながらできるだけ早く中止するというスタンスが正解だろう.経口predonisone40mg/dayが至適容量なのかはわからんが.
ステロイドは不要か否かを常に判断しながら投与すること.いつまでたってもたらたらステロイドを使用しているCOP/BOOP,放射線肺障害の治療をみると無性にイラつく(減らすと再増悪するcaseがあるのはわかるが)のは俺だけか?

Short-term vs Conventional Glucocorticoid Therapy in Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
The REDUCE Randomized Clinical Trial
JAMA. 2013;309(21): 2013-5023.

Importance
国際的なガイドラインは、COPD急性増悪に対し、714日の全身グルココルチコイド療法を提唱している.
しかしながら、ステロイドの最適投与量と投与期間はわかっていない.

Objective
COPD増悪患者における短期(5日)全身グルココルチコイド治療が,臨床的アウトカムに関して従来の(14日)治療と非劣性であるか,そして、それがステロイドへの暴露を減少させるかどうかを検討する.

試験デザイン,設計と患者
REDUCE (Reduction in the Use of Corticosteroids in Exacerbated COPD)試験. 5つのスイスの教育研究病院にて行われた,無作為,非劣性他施設試験.20063月から20112月までの期間.救急治療部を受診したCOPD急性増悪患者314例の患者を登録.喘息の既往歴なし.past or present smokers0 pack-years以上).

介入
プラセボ対照、二重盲検試験. 5または14日間の40mgprednisone治療。

あらかじめ定義された非劣性基準は多くて増悪増加率が15%.そして、50%reference event発生率に対して1.515critical hazard ratio

Main Outcome and Measure
180日以内で次の増悪までの時間.

Results
入院となった314例の無作為抽出患者(289人(92%)は入院)のうち、311例はintention-to-treat解析,296例がper-protocol解析を行った.
短期治療群対従来治療群に対する危険率は、intention-to-treat analysisにおいて0.95であった(90%CI0.701.29; P = .006,非劣性に関して) .そしてper-protocol analysisにおいて 0.93 (90% CI, 0.68 to 1.26; P =.005,非劣性に関して)→我々の非劣性基準を満たしていた.
短期群において、56例の患者(35.9%)は、primary end pointに到達した; 従来治療群は57(36.8%)primary end pointに到達した.
180日以内の再増悪率は、短期群37.2%95%CI29.5%44.9%; 従来治療群38.4%95%CI30.6%46.3%)であり,その差は-1.2% (95% CI, -12.2% to 9.8%)であった.
再増悪患者における、再増悪までの期間の中央値は、短期群で43.5日(四分位範囲[IQR]、13118),従来群29日(IQR1685)であった。
両群間で死亡までの時間,増悪または死亡あるいはその両者と肺機能の改善の複合エンドポイントに差はなかった.
従来治療群において、平均累積的なプレドニゾン用量は有意に高かった(793mg95%CI710876mg]対379mg95%CI311446mg]、P< .001)、しかし、治療関連の副反応(高血糖と高血圧を含む)の頻度はそれほど頻回ではなかった.

Conclusions and Relevance
COPD急性増悪にて救急治療部を受診した患者において、6ヶ月以内のfollow-up期間における再増悪に関して,全身性グルココルチコイドによる5日間の治療は、14日治療に対して非劣性であった.更に,有意にグルココルチコイド暴露を減らした.
これらの所見より,COPDの急性増悪に対し、5日間のグルココルチコイド治療が支持される.

 

 

気管切開をいつ行うか.critical care unit入室4日以内と10日目以降の死亡率の比較

Effect of Early vs Late Tracheostomy Placement on Survival in Patients Receiving Mechanical Ventilation
The TracMan Randomized Trial
JAMA. 2013;309(20):2121-2129.

背景
Tracheostomyをいつ行うかについてのevidenceはほとんどない.

目的
早期の気管切開と後期の気管切開で死亡率に差があるかについて検討.

試験デザインと設計
open multicentered randomized clinical trial 2004年から2011年まで13の大学病院と,それ以外の59病院のadult general and cardiothoracic critical care units1032例の登録症例のうち909例が4日以内の人工呼吸管理をうけ,更に7日以上人工呼吸管理が治療医によって必要と判断された.

介入
early tracheostomy (4日以内)群, late tracheostomy (10日後―その時点で適応があれば)2群を無作為に1:1に割り付けた.

Main Outcomes and Measures
primary outcome measure30-day mortalityであり, intention to treat解析を行った.

結果
早期気管切開群に割り当てられた455例の患者のうち、91.9%95%CI89.0%-94.1%)は気管切開を受けた、そして、後期気管切開群に割り当てられた454例の患者のうち、44.9%95%CI40.4%-49.5%)が気管切開を受けた。

早期群において,ランダム化30日後の全死亡率は30.8%95%CI26.7%-35.2%)であり,後期群では31.5%95%CI27.3%-35.9%)であった.リスク低下の絶対値は0.7%95%CI-5.4%-6.7%)であった.

2年死亡率は早期群51.0%95%CI46.4%-55.6%),と後期群53.7%95%CI49.1%-58.3%)(P = .74)であった.

生存群におけるcare unit入院期間の中央値は、早期群13.0日,後期群13.1日(P = .74)であった.

気切関連の合併症は患者の6.3%95%CI4.6%-8.5%)に報告された(早期群5.5%,後期群7.8%).

Conclusions and Relevance
UKにおいて,adult critical care unitsにて人工呼吸管理を行っている患者の入室4日以内の気管切開は30日死亡およびその他の重要なsecondary outcomesの改善をもたらさなかった.

2013年5月20日月曜日

5月17日江津湖のホタル

初めて江津湖のホタルを見た.旭志のホタルより数は少ないのだろうが,ホタルと人間の距離が近いのがとてもいい.子どもたちも大喜び.
江津湖の自然と関係者の努力に感謝.

2013年5月15日水曜日

antisynthetase症候群における肺高血圧:有病率、病因と生存

ASS (antisynthetase syndrome)に関しては,以前このブログで触れた.
http://edukobiyori.blogspot.jp/2012/12/antisynthetase-syndromemgh-medical.html

ERJに肺高血圧症に関する報告があったので掲載する.

Pulmonary hypertension in antisynthetase syndrome: prevalence, etiology and survival.
Eur Respir J erj01563-2012; published ahead of print February 8, 2013

abstruct
Antisynthetase症候群(ASS)は、様々な抗-tRNA-合成酵素抗体を伴った筋炎と間質性肺疾患(ILD)の合併によって特徴づけられる。
肺高血圧症(PH)の発生、病因と予後はまだ評価されていない.
203人の連続した患者において、超音波心臓検査(TTE)と右心カテーテル法(RHC)の結果を、臨床生物学的、形態学的,および機能的なパラメータを考慮しつつ、後ろ向きに分析した。
PHの定義はESC/ERS 2009ガイドラインに基づいた。そして、重篤なPHは平均肺動脈圧(mPAP)>35mmHgと定義された。
TTEにてPH47例(23.2%)で疑われた.possiblen=2713.3%)、likelyn=209.9%)であった.
RHC21例の患者で行われた。5例でPHが除外され、16例(7.9%)で前毛細血管性PHを確認した。
すべての症例においてILDとの関係があったが、前毛細血管性PHは重症が13例(81,3%)(平均mPAP46±9mmHg)であり,しばしば低い心係数(平均2.3±0.8l//m2)と高いFVC/DLCO比率(2.5±0.6)に関連した.
PHは明らかに低い生存と相関し(p < 0.001),3年生存率は、58%であった.
ASSにおけるPHの発症は、有意で予後を劇的に悪化させる。
系統的にILDと関連するにもかかわらず、PHは通常重症であった.そのことは特異的な肺血管性病変を示唆した。



PH-ILDを有するこれらの患者の81.3%は重篤なPH(mPAP>35mmHg)を示した。そして、それは肺実質病変と不釣合いである.⇒ASS関連のPHは一部,特異的肺血管病変が関与した可能性が示唆される.
 (抗Jo1抗体陽性のASS患者血清は,vitroで血管内皮細胞を活性化させるという報告もある)

 

2013年5月14日火曜日

5月10日江津湖清掃

5月10日
あいにく小雨交じりの天気だったが,子どもたちと清掃作業に参加.手漕ぎボートはやめて足こぎボートで締め.
昨年はそのあと清和抗原天文台に向ったのだが,今年は予定もなく,近くの動植物園で開かれているテレビ局のイベントに参加.

reversed halo sign (RHS)再び

最近RHSを呈した患者さんが入院されたのだが,肺病変の原因が心不全なのか?誤嚥性肺炎(に伴うsecondary OP)なのか?アスペルギルス症なのか?わからずじまいだった.

Reversed Halo Sign
High-Resolution CT Scan Findings in 79 Patients

Chest 2012; 141(5):1260–1266.
Edson Marchioriら
http://edukobiyori.blogspot.jp/2012/11/reversed-halo-signkyary-pamyu-pamyu.html

下記は同じ著者のRHSに関する報告.

本文にもあるように肺水腫の頻度は少ないようである.例として載せてある症例の画像,心原性の肺水腫ではないし,画像もちょっとどうよ・・って感じである.
他の疾患でdense haloの病理所見を述べている点は興味深い.
Fig 8. 47-year-old woman with noncardiogenic pulmonary edema secondary to use of nitrofurantoin
for treatment of urinary infection.


感染性および非感染性肺疾患のHRCTにおけるreversed halo sign
AJR 2011; 197:W69–W75.
 
目的

本論文の目的は,HRCTにおけるreversed halo sign (RHS)を呈する可能性がある疾患を述べることである.我々はRHSに最もしばしば関連するCT所見の特徴を強調し,それらを組織学的所見と関連させる.

結論

胸部CTに関して感染性および非感染性の広範な疾患が,RHSを呈する可能性がある.特に付随する背景所見が典型的なとき,RHSの非特異的性質は直接的診断を曇らせてはならない.付随するCT所見の厳密な分析が鑑別診断を補助する可能性があるにもかかわらず,組織学的評価はしばしば原因の限定的な決定のために必要とされる.

RHSはしばしば完全なringを形成するより密度の高い浸潤影のリングに囲まれるスリガラス様陰影の巣状,円形領域と定義されるHRCTパターンである,しかし,時々,それは不完全なこともある.RHSは,まず最初に,COPの診断における比較的特異的な所見と報告された[1].他の研究において,パラコクシジオイデス症[2],結核[3],接合菌症[4],アスペルギルス症[4]のような感染症や,COP1],ウェゲナー肉芽腫症[5],LYG6]とサルコイドーシス[7]の様な非感染性疾患を含む広い範囲の疾患にこの徴候を認めた.従って,RHSはさまざまな肺疾患で起こる非特異的徴候と考えなければならない.ときに,感染症のfollow-upの際に,この徴候は,最初の感染に対する反応としての二次性器質化肺炎において認めることがある.本研究の目的は,最終診断が組織病理学によって確認された症例において,HRCTRHSを呈する疾患の範囲を示し検討することである.

感染症

肺パラコクシジオイデス症

パラコクシジオイデス症は,ラテンアメリカで最も頻繁な風土性の全身性真菌症である.疾患は,Paracoccidioides brasiliensisを含んでいる感染性粒子の吸入によっておこる.肺パラコクシジオイデス症患者のHRCT所見は,スリガラス様陰影の領域,小葉中心性小結節影,空洞化結節,parenchymal bandsparacicatricial emphysemaの領域を認める[28].ガスパレットらは,パラコクシジオイデス症患者においてRHS148例のうち15例(10%)に認めた.(図1 [2]

肺結核

特に発展途上国で,結核はヒト結核菌に起因する空気細菌症で,罹患と死亡の主要な感染症である.複数のHRCT所見は一次結核の既往歴を有する患者に認められる可能性がある.その所見は,小葉中心性または気腔内小結節と分岐線形構造(tree-in-bud pattern),浸潤影,空洞化,気管支壁肥厚化,粟粒性小結節,結核腫,石灰化,parenchymal bands,小葉間隔壁肥厚,スリガラス様陰影,paracicatricial emphysema線維化を含む.[39]結核のRHSの報告は,症例報告に限定される[3].考えておかなければならない重要なことは,活動性肉芽腫症のRHSringは肉芽腫の存在のため,結節性の所見を呈する場合があるということである.[9]この所見は器質化肺炎の鑑別診断に対する重要なクライテリアとなりうるが,その所見とより結核に典型的なCT画像徴候との関連は原因を疑う際の最も重要な因子である.(図2)[9

血管侵襲性肺アスペルギルス症

血管侵襲性肺アスペルギルス症は,もっぱら免疫抑制患者(特に著しい好中球減少を伴う人々)だけにおこる.血管侵襲性アスペルギルス症は一つまたは複数の小結節があり,典型的にはスリガラス様陰影の輪によって取り囲まれる所見(CT halo sign)や,浸潤影またはスリガラス様陰影が特徴である。これらの所見は出血梗塞に対応する,そして,空洞化が起こる場合もある.回復期間に,梗塞性肺の断片は隣接した肺実質と分離(pulmonary sequestra)する可能性がある.その結果三日月状空気を伴った空洞が形成される(すなわち,air-crescent sign).[10WahbaらによってそのRHS(図3)は,1例報告された.[4

ニューモシスチス肺炎(PCP

この肺炎,は以前Pneumocystis cariniiと言われていた真菌性微生物Pneumocystis jiroveciに起因する.最も頻度の高いHRCT所見は,肺末梢がスペアされ,モザイクまたはほとんど均一なパターンを示す両側性スリガラス様陰影である.あまり一般でない徴候は,airspace consolidations,斑状線状網状陰影,孤立性または複数の小結節,実質性嚢胞性病変と胸腔へruptureした肺嚢胞による気胸を含む.スリガラス様陰影と小葉内線状陰影の組合せは,crazy paving patternを呈する.[11]我々の知る限りでは,PCPRHSの関係はこれまで報告されていない.(図4

非感染性疾患

原因不明の器質化性肺炎(COP

COPは,肺胞内,肺胞管内,範囲は狭いが細気管支(Masson bodies)において肉芽組織ポリープの存在によって特徴づけられるまれな肺疾患である;これらのポリープは,巣状器質化肺炎と関係している.最も頻度の高いHRCT所見は、実質性浸潤影またはすりガラス陰影の領域である.それらはもっとも多いのが両側性で、典型的には胸膜直下または気管支血管束周囲の領域にあって、主に下葉に存在する.小結節または腫瘤は,ときに周囲の輪(すなわち,halo sign)を伴うことがある.最初,RHSは,COPに特異的であると言われたがこの疾患では希である(図5).COPの他のあまり頻繁でない所見は,小葉中心性小結節,気管支拡張と小葉間隔壁肥厚である.[112

細気管支肺胞上皮癌

細気管支肺胞上皮癌は,腺癌のサブタイプである.肺胞内進展と間質構造は保ちつつ置換性に増殖する.HRCT上,細気管支肺胞上皮癌は様々なdensitiesを有する単一,または多発性の肺結節を示す.空洞や,air bronchogramsbubblelike lucencies of pseudocavitation,孤立性または多巣性GGOcrazy paving pattern,肺葉または多肺葉性浸潤影,またはこれら所見の組み合わせを伴う,または,伴わないこともあった.[13]我々の知る限りでは,細気管支肺胞上皮癌にかかったRHSの関係は,これまで報告されていない.(図6

ウェゲナー肉芽腫症

ウェゲナー肉芽腫症は,優位に上下気道,肺と腎臓を侵す壊死性肉芽腫性血管炎が特徴であり,原因不明のmultisystem diseaseである.壊死性糸球体腎炎の欠如は,“limited form”として定義され,初期疾患であると考えられる.ウェゲナー肉芽腫症の診断は,抗好中球細胞質抗体と生検によって確認される.HRCT所見は,肺小結節または腫瘤,スリガラス様陰影または浸潤影と気道病変から成る.空洞化は一般的である.浸潤影とスリガラス様陰影は,通常出血に関連がある.[514Agarwalらは,RHSを呈するウェゲナー肉芽腫症の1例を報告した.(図7[5]

肺水腫

肺水腫は,基本的に肺微小血管圧の増加,血漿コロイド浸透圧の低下または微小血管透過性の増大から生じる共通の病態である.これらの現象は,孤発性または組み合わさって生じる場合がある.主なHRCT所見はスリガラス様陰影,小葉間隔壁肥厚,crazy paving pattern,胸水貯留,気管支血管束周囲間質の肥厚である[15].あまり一般でない所見は,増加した血管径,浸潤影,気腔小結節とRHSnである.(図8

サルコイドーシス

サルコイドーシスは,原因不明のさまざまな身体部位に病変をおこす非乾酪性肉芽腫性炎症が特徴である.HRCT所見は,極めて様々である.両側肺門リンパ節腫脹はサルコイドーシスの最も頻度が高い特徴で,概して両側性肺門および右傍気管リンパ節腫大を呈する.肺病変は,複数の小さいリンパ管周囲の小結節の存在によって特徴づけられる.それは気管支血管束周囲の肥厚と小葉間隔壁肥厚,胸膜表面,葉間裂のサルコイド肉芽種結節性肥厚に対応している.他の特徴は,気管支壁肥厚,GGARHS(図9),多数のより小さい小結節の合併から形成される大結節が末梢の衛星結節により取り囲まれる(以前,"sarcoid galaxy" signと述べられた)所見を含む.[7

結論

様々な疾患が,胸部HRCTにおいてRHSを示す.このパターンは多くの場合原因不明のCOPの徴候である,しかし,それは炎症性であるか,腫瘍であるか,感染性疾患のような他の疾患を伴う場合もある.RHSは比較的非特異性であるにもかかわらず,RHSと臨床所見及び他のHRCTパターンの関連は時々医師が鑑別診断を狭めるのを補助することができる.COPは特発性かまたは,感染症,膠原血管病,好酸球性肺疾患,ウェゲナー肉芽腫症と腫瘍に続発する場合があるので,RHSが原疾患か二次性器質化肺炎の徴候であるかどうかについて知ることは困難である.haloの形態学的側面,特に壁または病変内部の小結節の存在は,通常一次性のCOPよりもむしろ活動性肉芽腫症(感染またはサルコイドーシス)を示す.







Fig. 1—59-year-old man with pulmonary paracoccidioidomycosis.
B. VATS下に得られた組織.矢印は肺胞隔壁に炎症細胞の浸潤.中心部の肺胞腔は比較的保たれており,末梢のhaloにはdenseまたは均一な肺胞内細胞浸潤を認める(not shown).
CGrocott-Gomori methenamine染色.真菌の存在を確認.


Fig. 2—32-year-old woman with pulmonary tuberculosis.
B.開胸生検組織.リング状の壁(asterisk)にはconfluentな肉芽種を認める.
 
Fig. 3—44-year-old woman with chronic leukemia and invasive pulmonary aspergillosis.
A.左下葉のRHSを伴うmass
B. VATS下生検にて得られた組織.mass内の出血(asterisk)を示している.
C. Grocott methenamine silver stain.矢印は肺実質を侵す肺末梢病変におけるhyphae of Aspergillus organismsを示す.
 

Fig. 4—37-year-old man with AIDS and Pneumocystis jiroveci pneumonia.
B. VATS下生検にて得られた組織.泡沫状の浸出物(主にサーファクタント,フィブリン,細胞性debris)により気腔内が部分的に満たされている(asterisk).また,肺胞隔壁に炎症性細胞の浸潤が認められる(矢印).肺生検組織にてdense halocomponentを同定できなかった.
 

Fig. 5—67-year-old man with cryptogenic organizing pneumonia.
B. 開胸肺生検にて得られた組織.Dense haopolypoid fibroblastic foci (asterisks)による気腔(終末細気管支,肺胞管,肺胞)内の障害によって形成される.

Fig. 6—54-year-old man with bronchioloalveolar carcinoma.
B. 開胸肺生検にて得られた組織.肺の構造は保持され,肺胞壁を裏打ちする腫瘍細胞の増殖が見られる(arrowheads).末梢のhaloは腫瘍細胞のdenseな増殖によって形成される.

Fig. 7—52-year-old man with Wegener granulomatosis and hemoptysis.
B. VATS下生検にて得られた組織.Dense haloは血管を侵す壊死に伴う炎症性細胞浸潤によって形成される(arrows).小血管の壊死性血管炎が認められる.
 
Fig. 8—47-year-old woman with noncardiogenic pulmonary edema secondary to us use of nitrofurantoin for treatment of urinary infection.
A.HRCT 所見は,不完全な浸潤影のリングによって囲まれるnodular GGOである.
B. 薬剤中止4日後のfollow-up CT である.

 
Fig. 9—44-year-old woman with sarcoidosis.
B.VATS下に得られた組織.scattered, well-demarcated, nonnecrotizing granulomas (asterisks)を認める.dense haloは末梢病変における高濃度の肉芽種病変によって形成される.