2012年6月28日木曜日

感染性心内膜炎:従来の治療と早期手術の比較

Early Surgery versus Conventional Treatment for Infective Endocarditis
N Engl J Med 2012;366:2466-2473.


背景
外科的処置が感染性心内膜炎で全身性塞栓症を防止するタイミングと適応は、論争中である。
我々は、感染性心内膜炎患者において早期手術と従来の治療の臨床結果を比較するために試験を行った。

方法
我々は、左心系感染性心内膜炎、重篤な弁疾患とlarge vegitationを有する患者を,早期手術群(37例)または従来の治療群(39例)に無作為割付けした。

主要エンドポイントは、ランダム化の後6週以内に起こった,院内死亡と塞栓イベントの複合したものであった。

結果
早期手術群に割り当てられたすべての患者はランダム化の後48時間以内に弁手術を受けたが、従来の治療群の30例の患者(77%)は入院初期(27例)、またはフォローアップ期間中(3)に手術を受けた。

主要エンドポイントは、従来の治療群で9例(23%)と比較して、早期手術群で1例(3%)に起こった(危険率、0.10; 95%信頼区間[CI]、0.010.82; P=0.03)。

早期手術群と従来の治療群における6か月の時点での全死亡率には有意差がなかった(3%5%、それぞれ;危険率、0.51; 95%CI0.055.66; P=0.59).

6ヵ月の時点での全死因死亡と塞栓または感染性心内膜再発の複合エンドポイントの比率は早期手術群において3%,従来の治療群において28%であった(危険率、0.08; 95%CI0.010.65; P=0.02).

結論
従来の治療と比較して、感染性心内膜炎とlarge vegitationを有する患者における早期手術は、全身性塞栓症のリスクを効果的に低下させることによって、有意に全死因死亡と塞栓イベントの複合エンドポイントを減少させた.

重症敗血症患者に対するHES vs. 酢酸リンゲル液

Hydroxyethyl Starch 130/0.4 versus Ringer's Acetate in Severe Sepsis

 背景
HESは集中治療室(ICU)にてfluid resuscitationのために広く使われている、しかし、重篤な敗血症患者においてその安全性および有効性は確立されていない。

 方法
multicenter, parallel-group, blinded trial
fluid resuscitaitonに関して
6%HES130/0.4 vs. Ringer's acetate
投与量はそれぞれ133ml/kg of ideal body weight
主要評価項目は 無作為割り付け後90日目の,死亡または末期の腎不全(透析が必要).

 結果
ランダム化を受けた804例の患者のうち、798例はmodified intention-to-treat集団に含まれた。 2群間のbaseline characteristicsは同じ.

無作為割り付け後90日目の評価
死亡:HES 群 201/398 (51%),酢酸リンゲル液群 172/400 (43%)の死亡.(relative risk, 1.17; 95% confidence interval [CI], 1.01 to 1.36; P=0.03)

末期の腎不全:両群とも1例ずつ.

HES87(22%),酢酸リンゲル液群65(16%)renal-replacement therapyを受けた.(relative risk, 1.35; 95% CI, 1.01 to 1.80; P=0.04)

HES38 (10%) ,酢酸リンゲル液 25例(6%)がsevere bleeding あり(relative risk, 1.52; 95% CI, 0.94 to 2.48; P=0.09).

 結果
重篤な敗血症患者において, HES 130/0.4にてfluid resuscitationを行った患者は,酢酸リンゲル液を投与した患者と比較して、、90日目の死亡のリスク増加があり、よりrenal-replacement therapyが必要であった。


2012年6月27日水曜日

7歳までの喘息発症ー40%程度は新生児期にすでに呼吸機能の低下あり

雨が続いて洗濯物の乾かない時期,皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか.

Interaction between Asthma and Lung Function Growth in Early Life
Am J Respir Crit Care Med 2012; 185: 1183–1189.
なかなかインパクトのある報告です.しかも肺機能の成長に関して,アレルギー感作や血中好酸球増多,アトピー性皮膚炎のいずれも喘息と独立して影響を与えなかったとのこと.


背景:喘息と肺機能低下の間の因果関係は、知られていないが、予防措置の焦点と喘息の起源の研究にとって重要である。

目的:出生から7歳までの肺機能の成長と喘息の間の相互作用を分析すること。

方法:小児喘息のコペンハーゲンProspective Studiesは、リスクのある411人の小児の出生コホートの前向きな臨床試験である。肺活量測定を403人の(98%)新生児,7歳までに再度317人の小児(77%)に対して行った。


測定と主要な結果:新生児肺活量測定とメサコリンへの気管支反応は、鎮静を行いFV測定にて施行した。喘息は日々の日記カードとクリニックへの6ヵ月ごとの訪問にて,前向きに診断された.7歳までに喘息を発症した小児(14%)は,新生児期にすでに有意な気流低下を呈した(FEF50=努力性呼気中間流量は、生後1ヵ月までに0.34zスコア減少が認められた;P = 0.03)。この障害は幼児期の間に有意に進行した(新生児におけるFEF0.5は、7歳までに0.82zスコア減少が認められた;P < 0.0001).以上のデータは喘息に伴う気流低下の約40%は出生時存在し,一方60%は喘息を伴って進行することを示唆している.アレルゲン感作を除いて,環境タバコ暴露もまた気流成長を妨げた。新生児におけるメサコリンへの気管支反応性は、喘息の発症と関連があった(P = 0.01).

結論: 7歳までに喘息を発症した小児は、肺機能障害を示し、気管支反応性が亢進した。この肺機能低下は、7歳まで進行した。従って、喘息の起源と予防の研究は、出生前後の早期の状態を考慮しなければならない。


考察
7歳までの喘息発症(または”persistent wheeze”)に関連した肺機能低下の約40%は出生時にすでに存在.このことは喘息が早期にプログラムされているという仮説を考慮すべきである.すなわち肺機能低下を予防するために,出生前のメカニズムに焦点をあてるべきである.喘息に関連して出生後に肺機能が低下することから,出生後早い段階で気道のリモデリングを修飾することが,喘息研究の主要な焦点となってきた.

2012年6月21日木曜日

RA-ILDその2  誰にどのように治療するか

昨日の続きを


誰にどのように治療するか:
専門家の意見

現在RA-ILDの治療を支持する客観的な証拠がない。

このセクションは、我々の現在の臨床アプローチを要約する。

RA-ILDを有する患者は、3つの幅広いカテゴリに分類される、そして誰に,どのように治療するかを決めるときにこの分類は重要である.

1の群はILDの発見が偶発的で、臨床または画像に基づき,HRCTにて診断が確認される患者であり,肺病変の自覚症状のない患者である.

これらの患者は症状がなく,経過中に,肺機能が安定しており明らかな増悪がない場合、それらの肺病変に対する特異的療法の必要性はないと思われる.

それにもかかわらず、そのような患者におけるILDの存在は、すでに概説された理由のため、抗リウマチ治療法の選択に影響を与える可能性がある。

MTXが白色人種の患者で注意して使われなければならない.一方,レフルノミドは日本/韓国の患者で回避せねばならない。

ILDが認められる場合、抗TNF薬剤とそれらの薬剤の併用は,最も回避したほうが良い。

DAS28スコアにより生物学的製剤療法を正当化された患者(英国では>5.1)において、2週間隔で2回のリツキシマブ1g静脈投与は,より安全なオプションを証明するかもしれない。

明らかなILDが認められ,呼吸困難が次第に増悪している患者は、より目標を絞ったアプローチが必要となる。

これらの多数にはの肺機能および/または放射線学的所見の着実な悪化の証拠がある.しかし、ほとんどはベースラインのHRCT所見は病変が限局している。

そのような患者においては、関節症状に対する単独または併用DMARD治療に加え、肺病変の治療を行うことは正しい.

多くの臨床医は未だ連日20mg/dayのプレドニゾンを処方し、臨床反応によって減量している.

我々は、11-2g/daymycophenolateの使用と,オプションとして,NAC600mg13回投与を提言する.

また、生物学的製剤使用の基準を満たしている患者は、リツキシマブからbenefitを得る可能性がある。

そのような患者において、mycophenolateNACの追加は、不必要である場合がある。

3の群は、急速に進行するILDを有するRA患者である。

これらの患者は差し迫った呼吸不全の危険にさらされている、そして、ほとんどはガス拡散の著しい減少があり,HRCT上広範な病変がある。

我々は、4週間隔で6回,シクロホスファミド15 mg/kgと,10mg/kgmethylprednisone静脈内投与を推奨する。

静脈内投与と同時にメスナの処方は膀胱炎のリスクを低下させる、そして、コトリモキザゾール960mg3回投与は異型肺炎に対する有益な予防法である。

現在、我々は明らかな肺動脈塞栓症を伴う患者にはワルファリンのみを投与している.

このレジメンで大多数の患者は改善または安定し,その後6ヵ月目からmycophenolateで治療可能である。

悪化し続ける患者は予後不良であり,適応があれば肺移植を考慮する。

リツキシマブは、関節疾患活動性が生物学的製剤療法の使用を正当化できる患者で適応がある.

これらの勧告を図2に示す.

2012年6月20日水曜日

関節リウマチに伴う間質性肺炎(RA-ILD)

Interstitial Lung Disease in Rheumatoid Arthritis: An Update on Diagnosis and Management CME
Saadia Malik, MBBS, MRCP; Vadivelu Saravanan, MD, FRCP; Clive Kelly, MD, FRCP
CME Released: 06/08/2012; Valid for credit through 06/08/2013

MedScapeにRA-ILDの総説が報告されていたのでtreatment trialのところまでメモを.


要約

この5年にわたる関節リウマチ(RA)患者における呼吸器疾患の重要性の認識は増加している。

ILDは増加している唯一の合併症であり,これまでの報告では,診断後平均3年でRA全死亡の約6%を占める.

臨床的に重要なILDは全RA患者の約3-5%に存在する。そして、RA-ILDは一般的かつ潜在的に致命的な障害となる。

RA-ILDの存在は,治療の決定にますます影響を与えているにもかかわらず、その病因の理解は限局している。そして、治療的な介入を導く証拠も限られている。

最近のデータは、RA-ILDが喫煙および/またはCCP抗体の存在に関連している可能性を示唆している。

HRCTは、ほとんどの場合肺生検に頼ることなく、肺障害の型と病変の広がりの分類を可能にした。

さらに、特定の治療薬の使用は,RA-ILDを有する患者で禁忌である可能性がある一方で,その予後がより新しい治療薬の導入で改善されたことを最新の報告は示唆している。



自然史

10年前、関節リウマチ(RA)患者は、通常、RAの関節徴候と関連した痛みと機能不全によって制限される。

以前の研究はRAにおいて間質性肺疾患(ILD)が高率に剖検肺で認められることを示した.その所見はHRCTによって支持された.すなわちILDRA患者の最高25%に認められることが確認された[1,2].

RAの関節症状に対するより有効な治療が利用できるようになり、患者は関節疾患によって制限されなくなった.一方でILDの呼吸病変がRAにおける罹患率と死亡率を決定する主要因としてますます認められるようになった.[3,4

この10年,RA-ILDを有する患者の予後についての報告がなされ,ほとんどの報告で診断からの平均生存期間は約3年であると結論している.

このことは,これらの研究がUIP優位であることを示している.なぜなら,この後のセクションで述べるように,他のサブタイプと比較してUIPは予後が悪いからである.

ILDを有するRA患者が特発性ILDの患者と異なっているかどうかについて矛盾する結果が報告されてきた.

しかしながら、これらのデータは、small single center workかまたは,一般医療データベースから来ることによって制限された。

ILDは有病率が増加していることが報告される唯一のRAの合併症である、そして、それはすべてのRA死亡のおよそ6%を占めることが示された。

ILDのパターンは、HRCTで決めることができ、予後の主要決定因子であるように見える.UIPはもっとも予後が悪い.

最近のデータは、HRCTによる病変の広がりの評価もまたRA-ILDの生存を予測することを示唆している。



疫学

RAにおけるリウマチ因子陽性とILDの関係は立証されている、そして、同じような関係が抗CCP抗体とILDの間にもありそうである。

特に喫煙者において,ILDにおけるCCP抗体陽性は、以後のRA発症を引き起こす可能性がある。

このことは,特にactive smokerにおいて正しい.なぜなら喫煙は,肺における部位特異的なシトルリン化を引き起こし,抗CCP抗体の産生をもたらす.すなわち,リウマチ様のプロセスの非常に初期に肺の異常を促進する。

RA発症初期の肺異常は、気道疾患を含む. RAの初発部位として、肺病変がそれを示唆するかもしれない。

喫煙はこのプロセスの明らかな促進剤である、しかし、局所の気道炎症を起こす他の因子が重要かもしれない.なぜなら気道変化はRA発症早期に報告されているが,抗CCP抗体の有無にかかわらず非喫煙者においてさえもそれは認められるからである.

RA-ILDの発生の予測因子は、多くの研究で報告された。

それらは男性[21,22],喫煙[23],長期の罹患と他の全身的症状の存在[24]を含む。

RA-ILDをもつ多くの高齢男性は、血管疾患や再発性感染,ときに血管炎が有意な共存症となる。

しかし、RA-ILDをもつ多くの高齢男性において,ばち状指はありふれた特徴でなく、RAがない肺線維症患者よりも頻度は少ない.肺機能不全と低酸素が同じベルであってさえそうである。この差の理由は、不可解なままである。

加えて、遺伝的素因が重要な役割を果たしているかもしれない.ここ数年のいくつかの研究では,ILDCOPを伴うRA患者において,HLA-B40B-54抗原部位での遺伝子多型の頻度が増加していることが報告されている.

RA-ILDを有する患者は、DR-4陽性はありそうにない[29]が、α-1プロテアーゼinhibitorをエンコードした部位をより有していそうである[30].



ILDの評価

ILDの症状は、通常労作性息切れの増強であり,しばしば乾性咳嗽と関連する。

一部の患者は倦怠感の増加を訴え、そして、一旦低酸素血症に進行すると、これは不変の特徴になる。

安静時低酸素はしばしば二次性肺高血圧症による足の浮腫を伴う.

身体的徴候は,両側肺底区のクラックルを聴取し,初期にはfineで,吸気終末に聞こえる.そして疾患が進行すると,全吸気相を通して大きくより粗い捻髪音へ変化する。

せきによるクラックルの除去はない。

ばち状指は比較的まれである。そして、患者の20%未満に起こる。

中心性チアノーゼは、安静時低酸素を伴う可能性がある。

血液ガスは低酸素の程度を評価することができる.そして、安静時の不当に低い酸素飽和度は他の寄与因子(例えば感染または肺動脈塞栓症)を除外する必要があるかもしれない。

hypercapneaは、ILDの末期にのみ認められる

高い乳酸レベルは、介入性感染を伴う可能性がある。

胸部X線はRA-ILDの初期にはしばしば正常で、誤った安心を証明する可能性がある。

確立した疾患は、通常、下葉のますます結節状の不透明化が付随する網様シャドーイングとして、通常広く対称形のパターンで見える。

肺癌は確定診断したILDにおいて時に認められる合併症で、喫煙者でより多い.

孤立した小結節またはコイン病巣または肺葉虚脱は、肺癌を疑わなければならない。

胸部HRCTは、より明確な情報を提供し、ILDの信頼に足る診断を要求される。

HRCTは、他の3つの重要な役割がある:

最初に、ILDの型を確定することができる;

次に、疾患の広がりを評価する;

そして、最後に、ILDに類似しているか,またはILDに共存するかもしれない他の病理の除外を可能にする。

それぞれの病理をみると,RAILDを有する大多数の患者は、比較的予後悪いUIPを有している。

NSIPは患者の約3分の1に見つかる.一方原因不明の器質化性肺炎は患者の約10%に認められる。このサブグループは、一般に予後がよく、治療に反応する。

重なり合う特徴は、一部の患者で見つかる可能性がある。

肺実質の20%未満が障害を受ける場合はlimitedと分類され,そうでなければ、extensiveと診断される。

この定義は,まず最初に強皮症肺疾患において予後と一致することが示され[34],最近、RA-ILDにも当てはまることが示されてた[13].

最後に、HRCTは気管支拡張症患者と,ILDに気管支拡張を伴う患者とを区別できるであろう.その違いは,臨床像や胸部単純X線所見のみでは信頼性を持って区別することはできない.

HRCTは、しばしば細気道疾患の結果としてエアートラッピングを示すことができる.その所見はRAにおいて徐々に認識されつつある.[3537

肺機能検査(PFTs)は、感度が高いが、非常に非特異的である。それらはILDの診断をする際に役に立たないが、経時的なPFTsILDの経過と治療に対する反応を評価する際に非常に役立つ。

少なくとも肺気量で補正した肺活量とガス拡散能の測定がベースライン時に推奨される.これらは最も一貫した比較項目である.

6ヵ月間隔で繰り返し測定することにより,低下率をプロットすることが可能で,インターベンションの効果を評価できる.



Treatment trials

数十年間,RA-ILDの管理において,治療無用論が支配的であった。 すでに関節症状によって機能障害のある患者に対し症状の改善をもたらさないという広範な認識の結果として.

経口ステロイドが散発的に使われるが、限られた有益性しかなく、介入を導くための比較試験によるデータは存在しなかった。

ステロイドで改善しているように見える患者に対しステロイド減量を行うため,アザチオプリンを投与した.しかし、臨床試験はなく,疾患進行を安定させるためのこの薬剤の効能は不明なままだった。

20年前,特発性肺線維症においてアザチオプリンとステロイドはステロイド単独治療より大きなsurvival benefitsを提供するように見えたが,[38] 未発表のPANTHER研究からのより最近のエビデンスからすると,このことはもはや当てはまらない[38]。

特発性肺線維症においてシクロホスファミドは有意なbenefitを示さなかったにもかかわらず、[39] 最近この薬剤は最近強皮症のILDにおいて適度の有益性を持つことが示され、[40]限られた有効性であるにもかかわらず,現在RA-ILDにおいて使用されている.[41

非常に限られたsupporting evidenceであるが、RA-ILDの治療において、シクロスポリンまたはヒドロキシクロロキンの使用を主張する他の研究者もいる。

British Thoracic Societyは、最近10年間,ILD患者において2つの新しい治療的アプローチの試験を行った.しかし、これらは特にRA患者に焦点を絞ったものではなかった。

N-アセチルシステイン(NAC600mg13回投与はIPFにおいて肺機能の低下率を低下させることに効果的であることが示された[42].

この報告は,プレドニゾンとアザチオプリンへNACを追加することによるIPFの標準的3剤療法をもたらした.

しかし、最近のPANTHER研究(それはNAC単剤治療と,プラセボ,3剤治療を比較したもの)は,201110月,早期に3剤免疫抑制療法を終了した.それは種々の原因,約半数は呼吸器疾患による死亡が増加したためである.

NAC単剤治療群は続行している.その結果は2012年後半に示されるであろう。

低用量ワルファリンの試験は、まず最初にD-ダイマーlevelsの低下を伴って[44],有意な生存の改善を示すように見えた[43].

抗凝固剤は、進行したILDの終末期イベントとして一般的な肺動脈血栓塞栓症を減らしているように思われる.

これらのデータはACE-IPF研究の結果と同様に疑問を持つ。ACE-IPFもコントロール群と比較して,ワルファリンの治療を受けた患者に死亡が多かった結果,早期に研究を終了した.

ワルファリンの日常的な使用は、もはや推奨されない。

いくつかの他の薬剤はIPFの潜在的治療として検討され,現在までnegativeまたは不確定な結果に終わった:

これらの薬剤は,ボセンタン、インターフェロン、perfenidoneと抗TNF薬剤エターネルセプトである。

イマチニブは、現在臨床試験が進行している.

IPFの患者における研究の結果をRA-ILDを持つ人々に直接あてはめることができるかどうかに関していまだ明らかでない。

Mycophenolateは強皮症でILDの治療に効果的であることが最近示された[45-48]1年間のfollow14例中,6例に肺機能の改善が報告され,5例で肺機能は安定していた[49]

類似の有益性は、RA-ILDにおいて報告されてきた[50]

この薬剤は比較的低い毒性で相当な有効性があるように見える、しかし、RA-ILDにおける使用のためのエビデンスは現在制限されたままである。

過去および現在、RA-ILDの治療で使われる薬剤を表1に示した。

リツキシマブは、免疫応答を修正する可能性のある抗CD20抗体である。

全身性エリテマトーデス(SLE)のループス肺炎を含むいくつかの肺合併症(ループス肺炎[51]shrinking lung syndrome[52,53]ILDに合併した肺出血[51])の治療において,リツキシマブの期待できる結果が報告されてきた.

antisynthetase症候群に合併するILDを有する患者におけるリツキシマブの非盲検パイロット研究も、良好な反応を示した。[54]

いくつかの報告は1例報告であり,バイアスの存在する可能性がある.従って特異的疾患におけるリツキシマブの効能に関するデータはある程度の注意を払って解釈されなければならない。

しかしながら、リツキシマブは1例の死亡を伴う合計33例の強皮症、全身性エリテマトーデスとantisynthetase症候群に合併するILDの治療において報告された,記録された19例中13例が安定と改善を示した。[55-59]

RA-ILDを有する患者でCD20陽性B細胞が浸潤していることは,このclinical settingにおいてリツキシマブを使用するコンセプトを支持している.[60

ILDを平均3年間罹患している少数のRA患者におけるリツキシマブの,最近行われた非盲検パイロット研究の著者は次のように報告している“我々はRA-ILDに対するこの治療は,臨床効果の徴候を認めなかった”.

しかしながら、それらのデータは48週を超えると,大多数の患者でHRCTPFTsの改善または安定を示した、しかし、2例の死亡が報告された.[61

英国からより大規模なRA-ILDを有する48例の患者の報告では,2.5年以上の追跡調査にて,リツキシマブは1例の死亡のみで忍容性が高かったが, HRCTPFTsの上の治療効果は詳細に報告されなかった.[62

他の3つの報告において,RA-ILDを有する患者は合計80例であったが,リツキシマブによる1年以内の治療にてさらに2例の死亡が報告された.[63-65]

これは、現在までリツキシマブで治療されるRA-ILD患者において,全1年死亡率は5%未満であることに等しい。

しかしながら、ILDのないRA患者において予想されるよりも,これらの死亡率はなお有意に大きい。

加えて、リツキシマブの潜在的肺毒性に関する懸念も表明された点に注意することは、重要である。

リツキシマブで治療を受けたリンパ腫はあるがベースライン時に肺疾患のない患者において,リツキシマブによると思われる16例の肺炎と,それによる6例の死亡が報告された。[66]

これらの数値は、最近更新され,合計45例のリツキシマブによると思われる肺疾患症例と合計8例の死亡が報告された[67

これらの数値は、10年以上の間高用量リツキシマブで治療される100,000例以上の患者から引き出された.

これらのより新しい治療薬の登場以来,RA-ILDの生存を評価する比較試験は報告されていないが,我々の経験は,それらの導入以来,RA-ILDの患者の予後は改善されていることを示唆している.しかし、他の因子(例えばILDの早期の同定)が肺症状の発症からの寿命の延長に役割を果たしている可能性がある。

予後のこの改善は主に予後がより劣るUIPのない患者に限定されることはありそうである.

1は、2000年を境にした数十年の,RA-ILDを有する患者の死亡率データを示す。