2012年8月31日金曜日

EBUS-TBNA導入!

といっても前任の病院の話だが,県内では4施設目か.オリンパス社のUC260FWと,モニタも最新のもので,ついでに古かった透視台も新しいものに変わっていた.ハンズオンセミナーへの参加を積極的に行って,早く扱えるようになってくださいまし.

病病・病診連携の会に出席

少し前の報告.
8月25日近くの急性期病院主催で,病病,病診連携の会.呼吸器疾患に関連した発表があり出席.主催の病院はほとんどのdoctorが参加していたようですが,普段からハードな仕事の上に,休みと思ったらこのような会に参加(させられ),ほんとにご苦労様です.
でもとても有意義な会でした.20年ほど前にお世話になったことのある病院なので懐かしい方々も多くいらっしゃいました.2次会は呼吸器科の先生方と近くの焼き鳥屋で楽しく大いに盛り上がりました.

2012年8月22日水曜日

Pleuroparenchymal fibroelastosis:網谷病についてERJの論文を読む


Pleuroparenchymal fibroelastosis: a spectrum of histopathological andimaging phenotypes
Eur Respir J 2012; 40: 377–385.

Pleuroparenchymal fibroelastosis (PPFE)は上葉優位の胸膜と胸膜直下の肺実質の線維化を特徴とするまれな疾患である.後者は肺胞内に存在し,肺胞壁のelastosisを伴っている.この研究の目的はこれまでpublishされた画像と組織学的なクライテリアをみたす症例をレビューし,かつて特発性とみなされてきた病態に関する基礎的な病因を示唆する共通の臨床的特徴を見つけることである.

12例の患者(7例が女性,5例が男性,年齢中央値は57歳)において,症状は息切れ(12例中11例)と乾性咳嗽(12例中6例)であった,7例は繰り返す感染症を認めた.2例はILDの家族歴があった.

胸膜肺実質病変から離れた肺病変のHRCT画像は,12例中6例に認められた(共存する線維化,n=5; 気管支拡張症,n=1.下葉から組織検体の得られた患者7例のうち,4例は弱いPPFEの変化が認められた(1例はHPの病変も認めた),そして3例はUIPを認めた.

PPFEは独立した臨床病理疾患であり,臨床データは繰り返す肺感染症との関連を示唆している.遺伝的,自己免疫的機序もこれらの変化の進展に寄与しているかもしれない.PPFEはまた,過去の報告よりもびまん性に障害がみとめられ,ILDの異なったパターンが共存しているようである.


PPFEの報告は1992年,網谷らによる日本語の文献が最初である.この報告ではidiopatic pulmonary upper lobe fibrosisとして報告されている.

病因は不明で,ほとんどの症例は特発性とみなされているが,家族性が少数,また骨髄移植の既往に関連した症例の報告もある.

PPFEの診断クライテリアに関して明らかな定義がない.真に特発性とみなしてよいか否かについても.

 従って,この研究の目的は,PPFEpublished criteriaを満たす患者の病理学的,放射線学的所見を評価し,病因となりうる臨床データをレビューすることである.

方法

病理記録の中から,“intraalveolar fibrosis, pleuroparenchymal and fibroelastosis で検索.
その後以下の分類を行った.
definite PPFE”
上葉の胸膜線維化があり,胸膜直下の肺胞内に線維化があり,胞隔のelastosisを伴っている.
consistent with PPFE”
肺胞内線維化が存在するが,①それに伴う有意な胸膜線維化がない,②胸膜直下に有意ではない,③上葉の生検組織内にみられない.
inconsistent with PPFE”
上記の必須の特徴が欠如している

組織学的材料を有する30例の患者のうち、21例の患者にはレビュー可能な高解像度コン
ピューター断層撮影(HRCT)画像があった。そして、解析は2人の放射線科医によって行われた.
30例中17例が病理組織学的にdefiniteまたはconsistent21例中14例が画像上definiteまたはconsistent.
病理組織学的クライテリアを満たす17例中4例はCTのレビューがないため,除外された.HRCT画像が評価可能であった14例中,2例は病理組織学的基準を満たさず除外された.
従って最終的に12例が最終的なstudy groupとなった.

12例の対象患者(HRCT画像が評価可能でかつ病理組織学的基準を満たす)
7例は女性,5例は男性,年齢は24-85歳,中央値57
症状は息切れ(n=11),乾性咳嗽(n=6).
診断までに症状が続いていた期間は6か月から6年(平均28か月).

7例は再発性気道感染あり,3例は経過中自然気胸または縦隔気腫をおこした.

2例の患者が真菌(糸状菌)とトリの環境アレルゲン暴露を報告した.このうち1例は鳥と真菌(糸状菌)の沈降抗体陰性であった.もう一人の患者は検査を行わなかった.2例の患者で1親等にILD (1例は生検で証明されたUIP1例は画像にて疑われたNSIP/UIP)あり.抗好中球細胞質抗体陽性の糸球体腎炎に対して腎移植を行ったあとの免疫抑制状態にある1例を除いて,study groupの中で有意な薬剤使用歴があった患者はなかった.特に化学療法や放射線治療歴はなかった.骨髄移植の患者もいなかった.繰り返す感染のある7例の患者のうち4例は血清自己抗体陽性であった.アスペルギルスIgG抗体陽性の患者のうち1例は肺生検組織においてPPFEに加えてbronchocentric granulomaの小さな集簇が組織学的に認められた.自己抗体陽性の5例の患者のうち4例は,主病変から離れた間質性肺線維症の画像を有しており,その所見は初期に認められたもの(case2, 3, 8)や,その後出現したもの(case5)があった.

治療について
12例中9例に治療の記録があった.プレドニゾロンを経口で少量服用.ステロイドの追加治療をした3例中2例は高容量のM-PSLを経静脈投与した.2例が免疫抑制剤を追加.1例はcyclophosphamide1例はazathioprine2例はN-acetylcysteine1例はcyclophosphamideN-acetylcysteineを使用.2例は繰り返す感染に対して予防的抗菌薬(azithromycin)投与.1例は,生検組織よりABPAの合併が疑われたため,抗真菌薬治療を行い治療に対する反応が見られた(case 10)Follow-up dataを有する10例中7例が疾患の進行を認めた.そのうち5例が死亡し,PPFEと診断されてから死亡までの期間は4か月から2年であった.

病因に関して
半分以上の患者がこの疾患の経過の中で繰り返す感染症を認める.これは網谷(23%)Frankel(40%)らの報告より頻度が高い.1例はABPAが合併していた(組織,血清,治療に対する反応で証明).Pitucciらは最近アスペルギルス沈降抗体陽性の1例を報告している.これらのデータを総合的に考えると,繰り返す炎症性の障害がこのIAFEintra-alveolar septal fibrosis)のパターンをもたらすのかもしれない.限局性の胸膜肥厚がABPAと嚢胞性線維症患者で報告されていることは,この理論を支持する。

第二に5例の患者は自己抗体を示しており,このことは自己免疫が一部の患者における一つの因子になる可能性を示唆している.別の患者は,以前ドレスラー症候群と診断された.この疾患は自己免疫機序の関与した状態である.自己抗体の高いレベルを示した1例の患者は,腎移植の既往があった.PPFEの特徴は,骨髄移植の後に認められたという報告がある.このことはさらに疾患の進行に対する自己免疫の関与を支持する.

遺伝的傾向も病因として関与している可能性がある.我々の報告では12例中2例がILDの家族歴があった.家族歴の頻度の報告:網谷らは30%Frankelらは40%Shiotaらは57%

これらのデータのどれも単一の原因として示すことはできず,PPFEの原因の大半はおそらく特発性としてみなされ続けるであろう.しかし我々のデータからいえることは,PPFEと診断された症例は感染(特にアスペルギルス症)がないか,自己免疫疾患,家族歴がないかを調べるべきである.

我々の検討対象となったPPFE患者は,ILDが同時に存在する場合が多かった.異なった組織パターンを有する4例中,2例(生検にてUIP確定)はCTにて間質性肺線維症が同時に存在していた,下葉の線維化の画像的特徴を有する他の4例の患者においては,その病変の(second site)生検を行わなかった.2例の患者において下葉の線維化(UIP)は進行したが,上葉のPPFE病変は安定したままであったことは興味深い.さらにに特異的自己抗体陽性の5例中4例において,経過中線維化の遠隔病変の画像が示されたことは興味深い.慢性のILD患者のなかでoccult connective tissue diseaseを有していたり,その後臨床的に明らかなconnective tissue diseaseを示すようになる患者が15-20%いる.Apical cap fibrosisの患者でankylosisng spondylitisの患者はPPFEの組織学的特徴を有することが報告されている.IPFの患者において,自己抗体の上昇がみられるという報告があるが,IPF患者における自己抗体の存在は肺の炎症と障害にたいする2次的な非特異的結果を示しているのかもしれない.最後に北アメリカの患者では報告されていないが,UIPを含む共存する線維化が日本語の文献に時々報告されている.まとめるとこれらのデータは,患者が肺の線維化(それは線維化肺疾患の異なった病理組織学的パターンを示している)に対する遺伝的傾向を有しているかもしれないという概念を支持するものである.

CT所見ではなく病理組織の観点からすると,7例の患者のうち4例は肺下葉にもPPFEの特徴が得られた.しかし広範な気管支中心性の広がりが見られ,病変は軽度であった.したがってこの所見は,PPFEの病因に関連して先に述べたように,気道中心性の障害はこの疾患の病態に重要であるという概念を支持するものである.

IAFEPPFEにとって特異的なものではなく,放射線治療の結果であったり,化学療法の後であったり,吸入性の障害の結果認められることがある.IAFEの病態は十分理解されていないが,明らかにそれはPPFEを含む様々な疾患に対する肺障害の共通の経路である.IAFEの特徴はまたapical capの特徴と重なり合う.しかしapical capは解剖学的に限局しており,mass病変を形成するまれなcaseは別として,他の肺葉に対する病変の広がりはない・・・・.

この症例シリーズの限界は後ろ向き解析であることと,データが完全ではないという事実である.しかし我々はこのコホートが現在のところ西洋でもっとも大規模であり,PPFEが異なった臨床病理学的概念であることを示したと信じている.

結論
我々はPPFE12例の患者を報告した.zonal involvementの観点からいうと,その疾患は過去に報告されたものより広範に存在した.間接的データは繰り返す感染が病態に役割を果たし,遺伝的傾向や自己免疫機序の関与もおそらく伴っている可能性がある.PPFEの多くの患者が間質性肺疾患を同時に有していることは, PPFEがびまん性に存在するタイプなのか,他の間質性肺疾患が合併しているタイプなのかを考慮するようreferring clinciansに警告しなければならない.



2012年8月16日木曜日

肺炎随伴性胸水,膿胸に対する繊維素溶解療法


Intrapleural Fibrinolytic Therapy for Treatment of Adult Parapneumonic Effusions and Empyemas
A Systematic Review and Meta-analysis
CHEST 2012; 142(2):401–411

多房性のparapneumonic effusionや膿胸の管理において,繊維素溶解療法が注目されていた時期があるが,現在は外科治療の有用性が注目され,積極的に治療が行われている.確かに治療効果は抜群で,入院期間,抗菌薬投与期間の短縮が得られている.今回の論文は,あらためて繊維素溶解療法の効果について検討したものである.

 目的:parapneumonic effusionと膿胸の管理において,線維素溶解療法とプラセボを比較したすべてのRCTsystematic reviewmeta-analysisを行い,それらの役割について明らかにする.

方法: Methods: MEDLINE, EMBASE, PapersFirst, and the Cochrane Collaboration and the Cochrane Register of controlled trials were searched.

結果:線維素溶解療法とプラセボを比較したtotal801名の患者を含む7つのRCT.線維素溶解療法は治療失敗のアウトカム(surgical interventionか死亡)に対して有用であった(risk ratio [RR], 0.50; 95% CI, 0.28-0.87).そしてsurgical interventionのみに対しても有用であった(RR, 0.61; 95% CI, 0.45-0.82).平均入院期間に差はなかった(standard mean difference, 2 0.69; 95% CI, 2 1.54-0.16) or death (RR, 1.14; 95% CI, 0.74-1.74)

結論:このmeta-analysisは線維素溶解療法が,成人におけるparapneumonic effusionと膿胸の管理において有用であることを示している.この治療のルーチンの使用がすべてのparapneumonic effusionと膿胸の治療に有用であることを裏付ける証拠は不十分であるが,多房性の胸水症例に対しては手術を避けるために考慮して良いであろう.更に適切なパワーを持ったRCTが必要である.

2012年8月10日金曜日

肺の血管炎②

再びblue journalより
The Pulmonary Vasculitides


AJRCCM 2012;186:216-224.

c-ANCAs are associated with specific autoantibodies directed against proteinase-3 (PR3),  and autoantibodies against proteinase-3 may be measured via a separate ELISA.

Both c-ANCA and PR-3 antibodies are closely associated with GPA with 85–90% sensitivity and 95% specificity for generalized active disease (43, 44).
c-ANCAとPR-3 抗体はGPAと密接に関連しており,全身性活動性疾患に対する感度は85-90%であり,特異度は95%であった.

p-ANCA/myeloperoxidase positivity has a sensitivity of 50–75% for MPA and 35–50% for CSS (46, 47). Thus, a positive test is helpful, but a negative test does not exclude the disease. Indeed, ANCA-associated vasculitis need not be associated with a positive ANCA in any individual patient.
MPA診断に関してp-ANCA/myeloperoxidase陽性は,感度50-75%CSSに関しては35-50%である.すなわちAAVは全例でANCA陽性なのではない.

 肺の血管炎に対する治療の2つのphase
(1) an induction of remission phase, in which more aggressive therapies are used to induce remission of an active vasculitis, and (2) a maintenance of remission phase in which therapy is deescalated to reduce the potential for adverse side effects but is still sufficient to keep the disease in remission.
→従って重症度を決めることが重要.

リスクを層別化したシステムとして,EUVAS分類がある.これはTable 2に示される6つのカテゴリーに分けられる.すなわち,(1) limited, (2) early, generalized, (3) generalized active, (4) severe, (5) refractory, and (6) remissionである.

重症度/リスク層別化の別のアプローチとして,Five Factor Score (FFS)がある.これはもともとMPA, PN, CSSの患者に有用であったが,最近ではGPAの患者を含むコホートに有用性が示されている.(1) age 65 years or more, (2) renal insufficiency, (3) cardiac involvement, (4) gastrointestinal involvement, and (5) the absence of upper airway (i.e., ear, nose, and sinus) involvement5項目で,それが存在すると+1点が与えられる.2点以上の死亡率は40%で,よりaggressiveな治療が必要である,一方0点の時は9%の死亡率で,治療はあまりaggressiveでなくてよいことが述べられている.

Birmingham Vasculitis Activity Score (BVAS, version 3.0)は,血管炎の疾患活動性を,客観的かつ再現性のある,定量的スコアリングを行うものである.

Vasculitis damage index も同様に血管炎の障害を定量的にスコアリングすることができる.