2014年4月9日水曜日

第384回熊本チェストカンファレンス

2014年3月27日(木)
熊本大学医学部付属病院にて
教育症例
79歳,男性
左下葉空洞性結節,肺門・縦隔・腹腔リンパ節腫大.造影にてリンパ節の内部はlow
NSE 20.6 ng/mL↑,pro-GRP 34.5 pg/mL

鑑別診断
Malignancy
LC
Infection
抗酸菌,fungusNocardia
Sarcoidosis
GPA
Castleman disesase

PET/CT
肺内,肝内,肺門・縦隔・腹腔動脈周囲リンパ節,椎体・肋骨・大腿骨・腸骨などにuptake
気管支の圧排所見もありBF施行.敷石状に連続した不整な粘膜隆起.針吸引細胞診にて裸核状の腫瘍細胞.壊死は少ない.
SCLC>MLMLは否定できず.さらに免疫染色を行った.
免疫染色ではsynaptophysinchromogranin AはいずれもnegativeCD79a陽性,CD3陰性,CD20陽性

診断
DLBCL
R-THP-COP 1コースで腫瘍は著明縮小.

主訴は30日前からの全身倦怠感,食欲低下,咳.体重減少は不明.既往歴にはmalignancyや免疫不全を起こす疾患の既往なし.
EBVの検索はなされていない?加齢性EBV 陽性びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫の可能性はないか?
通常,齢性EBV 陽性びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫は壊死組織が多く,その点は本症例と合致しない?

「加齢性EBV 陽性びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫は,2008 年の悪性リンパ腫のWHO 分類第4 版において,「免疫機能不全や先行する悪性腫瘍などの基礎疾患がない50 歳以上の患者に発症するEBV 陽性B 細胞リンパ腫」と新たに分類された予後不良な疾患である.この疾患は, びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫と比較し,リンパ節外臓器への浸潤が多い特徴を持ち,肺病変を伴うことも稀ではないとされている.」
日呼吸会誌, 49(11): 833-837, 2011

症例1
75歳,男性
発熱,咳,痰を主訴に入院.胸部単純X線にて両側肺野に浸潤影.CTMにて左下葉の陰影は著明改善.右肺の陰影もやや改善.右上葉には陳旧性の結節影.
その後再び症状増悪.

鑑別診断
抗酸菌,放線菌,GPA,非定型肺炎,誤嚥性肺炎
器質化肺炎,
Sarcoidosis
過敏性肺炎,
Lymphoma

診断
TB (±細菌性肺炎)

TB48%はペニシリン,カルバペネム,アミノグリコシドにて症状の改善との報告あり.CVA/AMPCにて結核菌量減少の報告もある.細菌性肺炎の合併についてdiscussionとなった.陰影の割に排菌量が少ないのも要注意.

症例2
69歳,男性
前立腺がんに対し,抗男性ホルモン剤で治療中.肺内には多発転移と左胸膜播種あり.
倦怠感,食思不振で緊急入院.呼吸不全あり.リザーバーマスク10L/minにてPaO2 73Torr.胸水貯留あり.
画像は両側肺門中心に気管支血管側に沿って広範な浸潤影.肺内粒状影あり.

鑑別診断
Infection
PCP, CMV, TB
EP
薬剤性肺炎,
心原性肺水腫

この重篤な状態でどこまで検査ができるか?
⇒胸水より結核菌分離.
診断
TB
肺転移がなければ,Miliary TBARDSと考えたいところ.

症例3
かかりつけの定期胸部X線検査にて,左肺にniveauを伴う巨大なのう胞性病変.
交通事故の既往がポイント.
事故からかなり時間が経過して出現している.
経皮的に穿刺.血液が吸引.ドレナージを行い収縮,消失.

診断
外傷性肺嚢胞.

受傷後月単位で増大.
受傷後1-4か月で通常吸収される.

以前交通事故後の若者で外傷性肺嚢胞の症例を経験したが,その時は事故の直後であったように記憶している.その時はエコー下に穿刺吸引を行った.

表参道吉田病院,水俣市立総合医療センター,熊本中央病院,上天草総合病院,