2017年5月30日火曜日

第416回チェストカンファレンス

5月25日 熊本大学

症例1
70歳、女性
浸潤性乳管癌→chemo後。胸部CTのfollow up中徐々に増大する腫瘤影を認めた。
胸椎の腹側に胸椎を覆うように広がる内部不均一、境界明瞭なtumorあり。
神経原性縦隔腫瘍にしてはlocation、形態が異なる。SUV maxは9程度。
EUS-FNAでschwannoma (H&E) が疑われたが、診断はleiomyosarcoma。リンパ管の平滑筋由来?との考察。

症例2
66歳、女性
検診で胸部異常陰影を指摘。両側肺野に多発性粒状陰影。甲状腺両側対称性びまん性腫大あり(圧痛なし、可動性あり)。
T-SPOT 陽性(陰性Con 0、A抗原 11、B抗原 10、陽性Cont 530)、ESR 26mm/hr

両側肺野に小粒状影。random distributionか。
<感染症>
粟粒結核
<腫瘍>
meta LC(甲状腺腫瘍)、BML (Benign metastasizing leiomyoma)
http://www.ajronline.org/doi/full/10.2214/ajr.176.6.1761409
http://edukobiyori.blogspot.jp/search?q=%E5%AD%90%E5%AE%AE
<その他>
Sarcoidosis、塵肺(考えにくいが)

サイズは数ミリ大、大小不同があるのがポイント。粟粒結核やBMLは考えにくい印象。

診断は
①Minute plumonary menigothelial-like nodule (MPMN)
②甲状腺乳頭癌
③頸部リンパ節結核(②の術中に腫大したリンパ節を摘出し診断。)

★Minute plumonary menigothelial-like nodule (MPMN)について
http://journals.lww.com/ajsp/Abstract/2004/02000/Pulmonary_Meningothelial_like_Nodules__A_Genotypic.8.aspx

下記は日本の肺がん診療ガイドラインからの引用。肺がんと鑑別を要す疾患として記載されている点に注目!http://www.haigan.gr.jp/guideline/2016/1/1/160101030100.html
【腫瘍様病変】


  • テューモレット
  • 微小髄膜細胞様結節
  • 炎症性偽腫瘍*
  • 限局性基質化肺炎
  • アミロイド症(アミロイド小結節)
  • 硝子化肉芽腫
  • リンパ脈管平滑筋腫症
  • 多巣性小結節性肺胞上皮過形成
  • 感染症(抗酸菌症,真菌症,寄生虫症)
  • 子宮内膜症
  • 気管支炎症性ポリープ
  • 肺分画症
  • 肺動静脈瘻
  • 外傷

  • https://plaza.rakuten.co.jp/xylosoxidation/diary/200806010001/
    http://nagasaki-pathology.jp/%e5%91%bc%e5%90%b8%e5%99%a8%e7%97%85%e7%90%86/others/meningothelial-like-nodule
    https://plaza.rakuten.co.jp/xylosoxidation/diary/201410280000/




    2017年5月29日月曜日

    5月27日COPDフォーラム(福岡)

    スパイロメトリ
    予後との相関が悪い
    肺機能は症状を反映しない
    呼吸困難の程度と予後:肺機能より予後によく相関する

    2011年GOLD
    management:気流閉塞を入れた
    例えばCopenhagen研究では予後:D>B>C>Aと予後が入れ変わっていた。

    2017年GOLD
    予後に反映するもの:息切れ>QOL>気流閉塞
    したがって肺機能を除いた。増悪の回数を縦軸に。

    今年の秋に日本のガイドラインが発表される(ガイドライン=治療のみを記載、治療+それ以外が入る=document="手引き")

    欧米のデータがほとんどで、日本人のデータが乏しい。欧米のガイドラインがどこまで使えるのだろうかという問題。


    ①COPD治療におけるスパイロの意義と症状観点について
    ②増悪のリスクと予後
    ③LABA/LAMAの活用について
    ③薬剤選択のポイント

    ①増悪をどの程度正確に評価できるか?(unreported exacerbationの問題)
    肺機能を軽視するのはどうだろうか?
    前のガイドラインのほうが患者を診るうえで安全なのではないか?
    肺機能検査(FEV1)は、一部しか見ていない。例えば動的過膨張を評価していない。
    4分割の表をいかに広めるか?
    ②急性増悪とは
    additional therapyがひるような急性の症状増悪と定義
    unreported exacerbationの問題。
    日本人は増悪が少ないといわれるが、本当にそうなのか?研究なし。
    CAT記載についての質問あり:前回のデータを覚えている人は50%程度との報告あり。
    前回のデータを見て記入してもらうのがよい。毎日日記のように記録してもらうのもよいのでは。

    ③CATについて
    CATの点数を押し上げている原因を知っておく。身体活動性低下によるマスキング効果を考慮する。
    ボーダーライン(例えばCAT 10点前後)の症例は個別に対応する。

    ④COPD
    年間50mlの低下。LABAはLAMAより肺機能低下の抑制効果が持続しにくい(その中でインダカテロールはやや効果が持続する)。
    LABA  12週を超えると効果が低下。




    2017年5月24日水曜日

    Severe Refractory Asthmaに対するImatinib(KIT inhibitor) の効果

    NEJM 2017;376(20):1911-20.
    背景
    肥満細胞はステロイド治療を行っても重症喘息患者では気道に存在する。これらの細胞はQOLt低下や不適切な喘息コントロールを含む疾患の特徴と関連する。Stem cell factorとそのレセプターであるKITは、肥満細胞のホメオスタシスに重要である。我々は重症喘息患者において、KIT inhibitorであるイマチニブの、気道過敏性(重症喘息の生理学的マーカー)、気道の肥満細胞数と活性化効果を評価するための概念証明試験を行った

    方法
    我々は無作為二重盲検プラセボ対照試験を行った。最大限の治療を行っても気道過敏性を有するコントロール不良の重症喘息に対して24週の試験を行った。プライマリーエンドポイントは気道過敏性の評価であり、PC20の測定によって評価を行った。患者はまた気管支鏡検査を受けた。

    結果
    無作為化を行った62例の患者の内、イマチニブ治療群はプラセボ群に比べ気道過敏性をより低下させた。6か月時点でメサコリンPC20はイマチニブ群で平均(±SD)1.73±0.60 doubling doseまで増加した。一方プラセボ群は1.07±0.60 doubling doseであった(P=0.048)。またイマチニブ群はプラセボ群に比べ、血清トリプターゼ(肥満細胞活性化のマーカー)のレベルをより低下させた。(2.02±2.32 vs. 0.56±1.39 ng per milliliter, P = 0.02)。気道の肥満細胞数は両群で減少した。筋肉のクランプと低リン血症がイマチニブ群でより多かった。

    結論
    重症喘息患者において、イマチニブは気道過敏性、肥満細胞数、トリプターゼの遊離を減少させた。これらの結果より、KIT依存性のプロセスと肥満細胞は重症喘息の病態生理に寄与していることを示唆している。