2019年3月19日火曜日

第427回 熊本チェストカンファレンス

Case1
48歳、女性
健診にて異所チェック
①右肺S16mm大のGGNPET uptakeなし。
②上行大動脈に近接して腫瘤(LNか)あり。PETにてuptakeあり。

①右上葉ope AIS , non mucinous
7か月後にリンパ節切除。診断はUCDUnicentric HVVが多い。CTMRIにて高度に造影される。血流の多いtumor

Case2
76歳、男性
主訴 発熱、倦怠感
体温40℃、脈拍 89/min、血圧104/61SpO2 95%
右上葉、中葉、左舌区に浸潤影。周囲にすりガラス影を伴う。WBC 15300Neu 86.0%Na 131CRP 15.4.
トリの飼育歴無し、温泉入浴歴無し
(※熊本ではレジオネラ肺炎月2-3例。温泉歴のない症例が多いとのこと。)
SBT/ABPC効果なし。→MEPM+AZM効果なく増悪。

比較的徐脈をきたす疾患の鑑別が問題となった。レジオネラ肺炎が疑われた。

経過
喀痰塗抹検査にて蜘蛛の巣状の菌体を貪食する多数の好中球像を認め、Nocardiaが疑われた。培養にてN. otitidiscavairumが分離。これは薬剤感受性による簡易同定法の結果。→最終的に千葉大に検体を送り同定された。

剖検
菌体は同定されていない。両側上葉の器質化。膿瘍形成などの所見。下葉DAD
農業従事はNocardia症の重要なリスク因子。

答えはNocardia症。最終的に死亡。


<2016年の講演メモより>
39℃ PR 110/minが基準.
呼吸数x5=脈拍数に一致
呼吸数>脈拍  呼吸器疾患が主
脈>呼吸数   循環器疾患が主

DMストレスの割に除脈
除脈にする薬剤の服用はないか調べること
プレタールは脈を速くする

呼吸数の測定は重要!
体温が1℃上昇すると呼吸数は約3.5ずつupする.
呼吸数が30/分以上の場合は呼吸不全の合併を疑う.
呼吸数40/分以上では挿管の可能性を考える.
敗血症の最も初期の兆候は呼吸数の上昇である.
DMがあっても呼吸数は嘘をつかない




比較的徐脈を来たす疾患といえば、ブルセラ菌、髄膜炎、レジオネラ、オウム病、チフス。

第428回熊本チェストカンファレン

2019228


症例 68歳、女性
29年前 乳がん術後 小学校2年生時に叔父が結核発症。
食思不振、全身倦怠感、腹水。右胸水も少量あり。利尿薬にて腹水は減少したが、徐々に右胸水が増加。

左上葉に陳旧性炎症?、縦隔条件でaorta周囲のリンパ節腫大。
T-SPOT TB陽性、sIL-2R 2600
胸水:TP 7.3LDH 110、糖126ADA 53.3,Ly 58%Neu 4%
腹水:TP 5.6LDH 216Glucose 79Amy 15Neu 8.1%Ly 90%、一般細菌(-)、抗酸菌塗抹(-),ADAは未測定。
PET/CT aorta周囲、頸部LNなどにuptake  →頸部リンパ節生検施行、TBの診断。

腹水は何故減ったか?

TBsIL-2R  1507±151188%が基準値以上であった。

LymphomaADA>35の症例あり。

症例
79歳、女性
胸部異常陰影を指摘。Follow up中に陰影の変化を認めた。
肺病変:perolymphatic distribution、縦隔リンパ節#4R腫大?→2年後肺内病変は↓、#4Rのサイズもやや↓
「陰影の変化とは?」 実は気管支内にCTで確認できる隆起性病変があり、2年後増大。
この病変の鑑別疾患:malignancyならadenoid cystic carcinoma、扁平上皮癌、mucoepidermoid carcinomacartinoid
診断はMALT lymphoma CD20陽性、Bcl-2陽性、多数のリンパ球にκ-chain陽性。
MALT lymphoma
B cellが腫瘍化する。肺内病変の消褪はMALT lymphomaではありうる。
CD20陽性、CD22陽性、CD5陰性、CD10陰性、IgMを発現することが多い。κまたはλ chainの一方のみを発現し、単クローン性。
本症例では経過followとした。

気管支病変を伴う肺MALTリンパ腫の症例報告は多数認められる。気管支病変のみの症例は少ない。(追記)