2019年11月11日月曜日

Kumamoto Severe Asthma Control Seminar

2019年10月30日

好酸球の生末と好酸球性気道疾患の病態
秋田大学 植木先生
好酸球の分布
骨髄 50-200  末梢血 1  組織 100-1000
半減期25hr
Eosは組織局所で働く細胞
ギリシャ神話 エオス 暁の女神

肺→肝・脾臓へ移動する動態を示した画像
炎症部位には45分で集積 AJRCCM

肺がん症例 好酸球増多 GMCSF産生腫瘍であった。

Eos 血中では基本的に脱顆粒しない。
顆粒 ECP EDN EPO
顆粒内には他に多くのサイトカインなどが含まれる

Eosが死ぬとき
EosのExtracellular traps(Eosの核由来)放出
ETosis :Extracellular trap cell death 特徴:核のDNAが糸状になって出る。

一方 apoptosisはcellが壊れてマクロファージに貪食、DNAも処理。

核の外に出たヒストン(本来はDNAにしまわれている)の役割
好酸球のETsは微生物を補足する。
大量・巨大な医自然免疫機構。

好酸球性副鼻腔炎
好酸球性無賃
好酸球性中耳炎の浸出液 膠状
好酸球は太くて安定な繊維を産生。

ABPA
中枢性気管支拡張の原因は?
mucus plugging  DNA trapも認められる
粘液栓 Eosが層状に集積
(ETsのマーカー シトルリン化ヒストン)
Eosはアスペルギルスに対して直接ETosisを起こすが、排除には至らない。
2019年6月11日 ABPA治療の手引き
Eosは中枢粘液栓の形成に寄与する
EPO 喀痰のS-S結合を強める。

好中球
CF→Sputum中のNETs
プルも財務はDNAを切断し痰のクリアランスをよくする。

シャルコーライデン結晶
喀痰や、組織中にも認められる→ガレクチンが結晶化したもの。

Science 2019 この結晶を溶かす抗体ができた。2019;364:738-739.
この結晶が病態にかかわっていれば治療に応用できる可能性がある。


その他の講演
ECRS 好酸球性鼻副鼻腔炎の診断
JESREC score
鼻茸の好酸球数

ABPA
2013 ISHAMの診断基準
日本 ABPAの診断基準
最近診断基準は簡略化の傾向にある。
mucoid impactionではCT値を測定する。
HAM: high attenuation mucus   >70HU
ABPAに特徴的。

筆者注)
ABPAの18.7~30%に認められるCT 所見とされている。
文献
Chest 2007; 132: 1183-90. 
Radiographics 2001; 21: 825-37.
PLoS One 2013; 8: e61105.→ABPA に対する HAM の感度 は 39.7%,特異度は 100%と報告されている。
参考文献http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/006030220j.pdf

2019年11月1日金曜日

2019年10月6日アスベスト関連診断技術研修会

クリソタイル  白石綿
クロシドライト 青石綿
アモサイト   茶石綿    これらが商業的に使われていた。
下2つは針状。白石綿はふわふわ。

松橋はアンソフィライト

アスベストの特徴
摩擦に強い、電気を通しにくい、熱や音を遮断する

日本では2006年輸入を含め中止。
MPMの潜伏期間は40年

アスベスト曝露の例
建物の補修、解体、
船舶の補修、解体
石綿セメント
車両整備 ブレーキ、クラッチ
                  などなど

聞き取り
ボイラー、造船、自動車整備、配管、ガラス工場、建設業、発電所

アルバイトも聞く。石綿にかかわる業務の時間、期間
周囲での石綿使用の有無、建物の石綿使用の有無(倉庫、駐車場など)

石綿曝露の指標
・石綿小体(光学顕微鏡でわかる)、石綿繊維(わかりにくい。位相差顕微鏡や電顕でないとわかりにくい)
・胸膜プラーク
・肺内石綿小体濃度    本/乾燥肺1g
                                      本/BAFL1ml

実際の石綿小体計測は難しい。マニュアルがある。
石綿小体の計測が可能な病院は限られる。九州では九州労災病院、長崎労災病院など

胸膜プラーク
壁側胸膜の限局性肥厚。硝子化を伴う線維化巣。中皮細胞に覆われる。時間経過を伴って石灰化。
呼吸機能障害をきたさない。
好発部位:下肺野、横隔膜など 傍椎体の線状石灰化。
CTでは胸筋と比較してCT値が同じかそれ以上

鑑別:肋間の血管影、胸膜下脂肪、肺内病変

プラークがあれば石綿曝露があったと考えてよい(日本)。

石綿曝露による所見、病態
・石綿/
・肺癌
・円形無気肺
・胸膜プラーク
・良性石綿胸水
・びまん性胸膜肥厚
・MPM

           労災補償        救済法
MPM                            〇          〇(△)
LC            〇          〇(△)
石綿肺                          〇          〇(△)
びまん性胸膜肥厚           〇          〇(△)
良性石綿胸水                 〇          X(△)

△の意味 労災 死亡して5年過ぎると時効あり。


   労災認定までの流れ



















労災の対象とならない人の救済 救済法  2006年から

環境再生保全機構    ↔ 環境省 中央環境審議会
(申請)↕(認定)           ↕
   患者         石綿健康被害判定小委員会
   遺族              ↓            
    ↑
   主治医

保健所も窓口

石綿曝露と肺癌
・石綿による肺癌とたばこによる肺癌は区別できない。
・労災・救済法では肺がんのリスク2倍以上となるような石綿曝露を受けたものを
石綿による肺癌とみなす。
 25~100繊維ー年の累積曝露によって肺がんの発生は2倍となる。

肺癌の発症リスクを2倍以上に高める量の石綿曝露あり。
原発性肺癌である(組織型は問わない)。
石綿曝露開始<10年で発症した者は除く。

平成24年改定
「石綿による肺癌」の労災認定基準


救済法の認定基準


MPM
ほとんどの例(84%)に石綿曝露歴あり。
死亡者数 1995年    500人
     2017年  1550人
8割で胸水を認める。
鑑別疾患
偽中皮腫様癌
良性石綿胸水
胸膜プラーク

組織型が重要。免染。陽性マーカーと陰性マーカーをそれぞれ2種以上。

最近高齢者で、生検ができない患者がいる。胸水細胞診+免染で診断できる場合もある。

良性石綿胸水
リンパ球の多いものが多い
浸出液
ADA上昇なし

労災認定基準
はっきりしたものはない。
本省で協議の対象。胸水のデータは必須。

びまん性胸膜肥厚
拘束性換気障害+、%VC <60%
労災基準:石綿曝露作業への従事機関が3年以上。

石綿肺
現在新たな患者は出ていない。
高濃度曝露。IPとの鑑別はできない。
CT所見:subpleural dots、subpleural branching lines、subpleural curvilinear shadow

フロアからの質問
手帳健診
50人に1人肺癌が見つかる。

びまん性胸膜肥厚やプラーク 増大してくることはないだろう。増大するならMPMを考える。
肺機能検査ができないcaseはどうするか。PaO2 <60TorrならOK ?、とりあえず書類を出してみる。

<びまん性胸膜肥厚>
びまん性胸膜肥厚は、壁側と臓側胸膜の肥厚(筆者注 臓側胸膜の慢性線維性炎症→壁側胸膜に炎症が及ぶ)
胸膜プラーク(筆者注 壁側胸膜)
アスベスト曝露濃度とは関係がない
5-10年経過すると大きくなる、時間が経過すると石灰化してくる。
好発部位  特異性が高いのは横隔膜部
通常みられない部位は、肺尖部、肋骨横隔膜角。
非対称性に存在。
びまん性胸膜肥厚は肺尖部に及ぶことがある。
肋骨横隔膜角の病変→びまん性胸膜肥厚?
胸膜プラークはアスベスト曝露の指標、半定量的な指標、病態であり疾患ではない。
偽病変:胸膜脂肪層、肋間静脈、胸膜直下の肺病変、陳旧性肺結核などの炎症性胸膜肥厚。
陳旧性肺結核


<石綿肺>
最近救済法での認定caseなし。

<肺癌>
喫煙と石綿曝露はそれぞれ独立したリスク因子である。

<良性石綿胸水>
1982年  Epler
1987年  Hillerdal
全例本省での協議

<びまん性胸膜肥厚>
広がり。両側か片側か。
びまん性胸膜肥厚なのかプラークなのか
Crows feetがあれば=肺実質病変→びまん性胸膜肥厚

プラークをみたら肺癌になるリスクが2倍高い人であることを認識する。
肺癌に関して2013年JAMA
BI≧600 禁煙して15年たたないハイリスクグループ 低線量CTの対象。

アスベスト曝露そのものではCT健診の対象には必ずしもならない。

難治性気胸 MPMの場合もあるので注意。