2019年11月1日金曜日

2019年10月6日アスベスト関連診断技術研修会

クリソタイル  白石綿
クロシドライト 青石綿
アモサイト   茶石綿    これらが商業的に使われていた。
下2つは針状。白石綿はふわふわ。

松橋はアンソフィライト

アスベストの特徴
摩擦に強い、電気を通しにくい、熱や音を遮断する

日本では2006年輸入を含め中止。
MPMの潜伏期間は40年

アスベスト曝露の例
建物の補修、解体、
船舶の補修、解体
石綿セメント
車両整備 ブレーキ、クラッチ
                  などなど

聞き取り
ボイラー、造船、自動車整備、配管、ガラス工場、建設業、発電所

アルバイトも聞く。石綿にかかわる業務の時間、期間
周囲での石綿使用の有無、建物の石綿使用の有無(倉庫、駐車場など)

石綿曝露の指標
・石綿小体(光学顕微鏡でわかる)、石綿繊維(わかりにくい。位相差顕微鏡や電顕でないとわかりにくい)
・胸膜プラーク
・肺内石綿小体濃度    本/乾燥肺1g
                                      本/BAFL1ml

実際の石綿小体計測は難しい。マニュアルがある。
石綿小体の計測が可能な病院は限られる。九州では九州労災病院、長崎労災病院など

胸膜プラーク
壁側胸膜の限局性肥厚。硝子化を伴う線維化巣。中皮細胞に覆われる。時間経過を伴って石灰化。
呼吸機能障害をきたさない。
好発部位:下肺野、横隔膜など 傍椎体の線状石灰化。
CTでは胸筋と比較してCT値が同じかそれ以上

鑑別:肋間の血管影、胸膜下脂肪、肺内病変

プラークがあれば石綿曝露があったと考えてよい(日本)。

石綿曝露による所見、病態
・石綿/
・肺癌
・円形無気肺
・胸膜プラーク
・良性石綿胸水
・びまん性胸膜肥厚
・MPM

           労災補償        救済法
MPM                            〇          〇(△)
LC            〇          〇(△)
石綿肺                          〇          〇(△)
びまん性胸膜肥厚           〇          〇(△)
良性石綿胸水                 〇          X(△)

△の意味 労災 死亡して5年過ぎると時効あり。


   労災認定までの流れ



















労災の対象とならない人の救済 救済法  2006年から

環境再生保全機構    ↔ 環境省 中央環境審議会
(申請)↕(認定)           ↕
   患者         石綿健康被害判定小委員会
   遺族              ↓            
    ↑
   主治医

保健所も窓口

石綿曝露と肺癌
・石綿による肺癌とたばこによる肺癌は区別できない。
・労災・救済法では肺がんのリスク2倍以上となるような石綿曝露を受けたものを
石綿による肺癌とみなす。
 25~100繊維ー年の累積曝露によって肺がんの発生は2倍となる。

肺癌の発症リスクを2倍以上に高める量の石綿曝露あり。
原発性肺癌である(組織型は問わない)。
石綿曝露開始<10年で発症した者は除く。

平成24年改定
「石綿による肺癌」の労災認定基準


救済法の認定基準


MPM
ほとんどの例(84%)に石綿曝露歴あり。
死亡者数 1995年    500人
     2017年  1550人
8割で胸水を認める。
鑑別疾患
偽中皮腫様癌
良性石綿胸水
胸膜プラーク

組織型が重要。免染。陽性マーカーと陰性マーカーをそれぞれ2種以上。

最近高齢者で、生検ができない患者がいる。胸水細胞診+免染で診断できる場合もある。

良性石綿胸水
リンパ球の多いものが多い
浸出液
ADA上昇なし

労災認定基準
はっきりしたものはない。
本省で協議の対象。胸水のデータは必須。

びまん性胸膜肥厚
拘束性換気障害+、%VC <60%
労災基準:石綿曝露作業への従事機関が3年以上。

石綿肺
現在新たな患者は出ていない。
高濃度曝露。IPとの鑑別はできない。
CT所見:subpleural dots、subpleural branching lines、subpleural curvilinear shadow

フロアからの質問
手帳健診
50人に1人肺癌が見つかる。

びまん性胸膜肥厚やプラーク 増大してくることはないだろう。増大するならMPMを考える。
肺機能検査ができないcaseはどうするか。PaO2 <60TorrならOK ?、とりあえず書類を出してみる。

<びまん性胸膜肥厚>
びまん性胸膜肥厚は、壁側と臓側胸膜の肥厚(筆者注 臓側胸膜の慢性線維性炎症→壁側胸膜に炎症が及ぶ)
胸膜プラーク(筆者注 壁側胸膜)
アスベスト曝露濃度とは関係がない
5-10年経過すると大きくなる、時間が経過すると石灰化してくる。
好発部位  特異性が高いのは横隔膜部
通常みられない部位は、肺尖部、肋骨横隔膜角。
非対称性に存在。
びまん性胸膜肥厚は肺尖部に及ぶことがある。
肋骨横隔膜角の病変→びまん性胸膜肥厚?
胸膜プラークはアスベスト曝露の指標、半定量的な指標、病態であり疾患ではない。
偽病変:胸膜脂肪層、肋間静脈、胸膜直下の肺病変、陳旧性肺結核などの炎症性胸膜肥厚。
陳旧性肺結核


<石綿肺>
最近救済法での認定caseなし。

<肺癌>
喫煙と石綿曝露はそれぞれ独立したリスク因子である。

<良性石綿胸水>
1982年  Epler
1987年  Hillerdal
全例本省での協議

<びまん性胸膜肥厚>
広がり。両側か片側か。
びまん性胸膜肥厚なのかプラークなのか
Crows feetがあれば=肺実質病変→びまん性胸膜肥厚

プラークをみたら肺癌になるリスクが2倍高い人であることを認識する。
肺癌に関して2013年JAMA
BI≧600 禁煙して15年たたないハイリスクグループ 低線量CTの対象。

アスベスト曝露そのものではCT健診の対象には必ずしもならない。

難治性気胸 MPMの場合もあるので注意。