2013年6月4日火曜日

進行した既治療ALK陽性肺癌に対するcrizotinib vs. chemotherapy

Crizotinib versus Chemotherapy in Advanced ALK-Positive Lung Cancer
NEJM 
June 1, 2013 

背景
single-group studiesにおいてanaplastic lymphoma kinase 遺伝子 (ALK) の染色体再編成は,ALKをターゲットとする経口tyrosine kinase inhibitorcrizotinibに対する著明な臨床効果と関連していた.Crizotinibが効果の点から標準的治療より優れているかについてはわかっていない.

方法
我々は先に1つのプラチナベース化学療法を受け,局所的に進行したかまたは転移を認めたALK陽性肺癌347例においてcrizotinibと化学療法を比較する第三相非盲検試験を行った.
患者は3週ごとに12回経口でcrizotinib (250 mg)内服,またはpemetrexed (500 mg per m2 of body-surface area)経静脈投与,または docetaxel (75 mg per m2) 経静脈投与を行う群にランダムに割り付けた.
疾患の進行を認めた化学療法群の患者は別の研究の一部としてcrizotinibにクロスオーバーすることを許可された.
主要エンドポンとはprogression-free survivalであった.

結果
progression-free survivalcrizotinib群で7.7ヶ月,化学療法群で3.0ヶ月であった (hazard ratio for progression or death with crizotinib, 0.49; 95% confidence interval [CI], 0.37 to 0.64; P<0.001).
response ratescrizotinib 群で65% (95% CI, 58 to 72) に対し,化学療法群で 20% (95% CI, 14 to 26)であった(P<0.001)
全生存率の中間解析は両群で有意差はなかった(hazard ratio for death in the crizotinib group, 1.02; 95% CI, 0.68 to 1.54; P=0.54).
Crizotinibにおける一般的な有害事象は,視覚障害,胃腸障害,肝アミノトランスフェラーゼの上昇であり,一方化学療法の一般的な有害事象は疲労,脱毛と息切れであった.
患者は,化学療法群よりcrizotinib群で肺癌症状や全般的な生活の質がより大きく改善した.

結論
化学療法治療歴のある進行したALK再構成非小細胞肺がん患者において,Crizotinibは標準的化学療法より優れている.