少し勉強してみた.
JPGL 2012
2歳未満 「乳児喘息」→海外では「wheezer」としている.小児喘息の60%が2歳までに発症.
呼気喘鳴3エピソード以上を乳児喘息と診断.
Long-Term Inhaled Corticosteroids in
Preschool Children at High Risk for Asthma
NEJM 2006, 354:1985-97.2-3歳児285例を2群に割り付けた.
2年間の治療期間(FP vs. Placebo)→1年間の観察期間(それらを中止)
Primary outcome
各群における観察期間のepisode-free days
episode-free とはno asthma-like symptoms, no unscheduled medical visits for respiratory symptoms, and no use of any supplementary asthma medications, including albuterol before exercise.
Secondary outcomes
治療期間中のepisode-free days
Other outcomes
治療期間,観察期間中の好酸球比率,全身性コルチコステロイド,コントローラー治療薬の投与コースの数,それを使用するまでの時間.肺機能,身長への影響など
【結論】
2-3歳児の喘息ハイリスク群へのICS投与は長期予後を改善しない.
治療期間中,FP群は有意にepisode free daysが多く,増悪率が低く,コントローラーの追加使用が少ない.
身長の伸び:base lineから治療期間終了の2年間で,FP群はプラセボ群と比較し1.1cm伸びが少ない.観察期間終了時その差は0.7cmになる.→FPは身長の伸びを抑制した.しかし一時的で進行性ではない.
primary outcome |
ICSの身長に対する影響 |
LONG-TERM EFFECTS OF BUDESONIDE OR NEDOCROMIL IN CHILDREN WITH ASTHMA
NEJM 2000, 343:1054-1063
1041例の児を3群に割り付け4年間吸入.① BUD:400μg/日吸入群
② Nedocromil吸入
③ プラセボ吸入
Primary outcome
肺の成長をSABA吸入後FEV1(% of predicted)の変化で評価
Secondary outcomes
気道反応性,合併症,身長,精神発育
【結果】
身長の伸び:
開始後1年間で1~2cm程度抑制されたが、4年間での合計身長には有意差が観察されなかった.
BUD群において平均の身長の伸びはプラセボ群に比べて1.1cm低かった(22.7 vs. 23.8 cm, P=0.005).
本文考察より(我々の4-6年のトライアルでは,成長速度に対するBUDの効果は持続せず,1年の研究からその後の身長低下を推論することは適切でない.見積もられた最終身長は,最終的にどの群も同じ高さに達する.)
⇒ICSの身長への影響はsmall transient
ところが
2011年に発表されたPEAK studyのfollow up report.JACI 2011,128:956-963
繰り返す喘鳴とAPI(Asthma Predictive Index)陽性の2~3歳小児204人を2群に分けた.
① CFC-fluticasone(176μg/日)吸入群
② プラセボ群
2年間投与、中止した後さらに2年間身長の伸びを観察.
【結果】
全対象における有意差を認めていないが,2歳で体重が15kg未満であった子どもの場合,ICS中止後2年経過の段階で,プラセボ群に対し-1.6cmの低身長が確認.
【結論】
ICSを使用すべきでないということではなく(2006年のPEAK studyの報告では幼児であっても喘息のリスクが高い児はICSが有効と報告)、低年齢、低体重の小児ではリスクが高いこと,そして,そうしたケースであるほど相対的使用量が増大する可能性が高くなることから,十分にBenefit/Risk ratioを考慮したうえで治療すべき.
2012年に発表されたCAMP studyのfollow up report.
Effect of Inhaled Glucocorticoids in Childhood on Adult HeightNEJM 2012, 367:904-912
5~13歳の小児を対象.
ブデソニド400μg/日を4~6年間使用した群が、成人年齢に達した時の身長をnedocromil群、コントロール群で比較調査.
【結果】
ICS使用群では,コントロール群に比べ平均-1.2cm(男子-0.8,女子-1.8cm)低かった.
思春期前の小児における最初の数年間のICSが、成人時の身長に影響を残していることを示し,リスクを指摘したうえで,ICSの最小有効量を使用することが望ましいと結論付けている.
小児アレルギー学会2014年2月「会員のみなさまへのお知らせ」
http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=69