日本内科学会九州地方会
第50回九州支部主催生涯教育講演会関節炎の鑑別の実際
長崎大学第一内科 川上 純先生
実臨床に役立つ講演で興味深く拝聴した.以下の内容はメモからおこしたもの+αなので間違いもあると思う.
関節炎:腫れ,圧痛がある.大きな関節では熱感,発赤がわからないことがある.
関節痛
単~小関節痛 多関節痛
↓ ↓
変形性関節症 狭義の膠原病(RA以外)
へバーデン DIP
ブシャール PIP
拇指 CMC
膠原病
SLEの臨床症状:89%が関節痛.SLEは特に関節症状が多い.MCTD:手指の腫脹(レイノー現象とともに多い).腫れているが圧痛はない.
RA以外の疾患の関節症状:頻度は多いがRAほど痛みは強くない.
関節超音波の診断における有用性.
単~小関節炎 多関節炎
2-3か所
↓ ↓ ↓ ↓
急性(発症日がわかる) 慢性 急性 慢性
単~小関節炎
↓
急性だったら
↓
痛風 偽痛風 化膿性関節炎
青壮年男性 高齢者 悪寒・発熱
発作中UA低値も 膝に圧倒的に多い 膝に多い
・・・・・ (手関節,股関節) 黄ブ菌多い
足関節にもおこることあり CPPD結晶
単~小関節炎
↓
慢性だったら
↓SpA RA 結核性
脊椎関節炎
l 強直性脊椎炎l 乾癬性
l 若年性
l 反応性 (かつてReiter症候群と言われた)
UCやクローン病に伴う
l SAHO症候群
早期診断
腱付着部炎の早期診断:エコーの重要性.Ann Rheum Dis 2011;70:1433-1440
*SpA:
関節リウマチで認められるリウマトイド因子や抗CCP抗体が陰性.付着部炎(たとえばアキレス腱が付着するところの痛み)の症状が主となる関節症である。
HLA-B27が90%陽性(日本人では保有率0.2%). HLA-B39陽性例が増えている.
男女比 3:1で男性に多い.
体軸関節:仙腸関節,脊椎.
末梢は下肢中心に非対称の関節炎.
本疾患概念には強直性脊椎炎(68%)、乾癬性関節炎(13%)、反応性関節炎(4%),SAPHO症候群(5%),腸炎関連関節炎(2%)などを含む。
(一部大阪大学免疫アレルギー内科ホームページより)
多関節炎
↓
急性だったら
↓
ウイルス性 成人発症スティル病 RS3PE
synd.
パルボウイルスなど 高齢(50歳以上)
RA陰性
1-2ヶ月で症状完成
両側手背・足背に圧痕性浮腫
Maligの合併30%
VEGFの上昇
10mg/day程度のPDN effective
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/art.34356/pdf
関節リウマチ
2010年分類基準 ACR/EULAR6/10点 http://www.ryumachi-jp.com/info/120115_table3.pdf
RA強陽性とは正常上限の3倍以上
ACPAの感度,特異度
PIPは冒されない.
手関節.PIP,MCP 発赤は少ない.
回帰熱リウマチの1/3はRAになる.RAに移行する患者はPIP関節,ACPA陽性
喫煙と歯周病はRAの発症に関連
PMRの診断感度が高い所見は,上腕の圧痛【一般演題】
M abscessus症例の検討
迅速発育菌できわめて予後不良かというとそうでもない症例もある.
M.massilienseの話が出た.
以下の文献はCAM+MFLXが奏功した Mycobacterium massilienseの症例を報告しており,こんな記載がある.
Recently, M. abscessus was split into M. abscessus sensu stricto, Mycobacterium massiliense, and Mycobacterium bolletii.
http://aac.asm.org/content/57/2/1098.full
また以下の文章では「M. abscessus とされている中に一群の比較的化学療法反応性が良く総合的な予後も良好な一群があることが知られており最近 M.massiliense として独立した菌種として認め
られてきているようです。」との記載がある.
http://medical.radionikkei.jp/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-120208.pdf
Fitz-Hugh-Curtis syndrome
若い女性,右季肋部痛.生殖器感染に伴う肝周囲炎
造影CTにて肝被膜がenhanceされる.膣分泌物液C trachomatis DNA陽性
糞線虫過剰感染症候群によりARDSを発症した1例
62歳,子宮頸がんに対するchemoradi後.
気管支洗浄にて多数の虫体を認めた.イベルメクチン+MEPM+VCM(糞線虫は腸内細菌を散布する).
経皮感染
生活史
http://medical.radionikkei.jp/medical/suzuken/final/030109html/
小児期に感染,免疫力低下で発症.HTLV-I,ステロイドは発症の強いリスクファクター.戦前,戦後(直後)を過ごした人,沖縄地方出身.