2014年9月25日 熊本大学医学部にて
症例 74歳,男性
労作時呼吸困難,夜間の乾性咳嗽.
元理容師,鶏糞肥料使用歴あり.喫煙:current smoker, 15本x44年.SpO2 90% (RA),両側下肺野(R<L)でfine crackles聴取.
LDH 256 IU/l,KL-6 4844 U/ml,SP-D 558 ng/ml,CRP 2.6 mg/dl,VC 1.67L, %VC 60%, FEV1 1.28⇒%FEV1のデータがない.おそらく閉塞性障害も加わっているのだろう.%DLco 39.6%.
CT画像は,両側上から下肺野にすりガラス影.肺内に気腫性または嚢胞性変化著明.右横隔膜c直上はspareされる.
鑑別疾患はHP, EP,TB, LCH, IIPsではDIP, RB-ILD, LIP etc
結局気腫か?嚢胞か?が問題.
演者のスライドに示された画像からは明らかに嚢胞.⇒とすればLCHが疑わしい.
BAL:総細胞数の増加,マクロファージ57%,Ly 10.8%,Neu 21%,Eos 6%, CD4/8 0.83,ヘモジデリン貪食マクロファージ(+)
VATS肺生検:CD1a (+), Langerin (+), S-100 (+)
Skull, 頸椎Xp:溶骨性変化あり.
診断はLCH
多臓器型LCHと単一臓器型LCHがある.
高齢者は珍しいが,時に認められることもある.
pLCHに関する当ブログの記録
http://edukobiyori.blogspot.jp/2013/03/3210.html
武村先生の病理のレビュー
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsogd/29/1/29_88/_pdf
LCHの画像診断
肺ランゲルハンス組織球症の画像診断
症例65歳,女性
検診にて胸部異常陰影を指摘,自覚症状なし.喫煙歴なし.
画像:左肺門bronchovascular bundleに添った浸潤影.左majour fissureの肥厚.左B3の内腔は狭小化.閉塞はしていない.右肺門は??縦隔リンパ節の腫脹なし.
気管支鏡検査:血管怒張 左上幹,右気管支もあり.
PET 左肺に取り込み.R<L.
診断は肺MALTリンパ腫.
BFにてbiopsy施行.CD20陽性,CD5陽性,MIB-1 index 10%以下.
画像を読めば,リンパ路との関連が強いことがわかるのだが・・.画像の分布を正確に読むことが重要とあらためて考えさせられた.
肺MALTリンパ腫⇒既存の肺構造を保ちながら陰影拡大.
R-CHOP6コースで陰影改善.
2014年10月30日木曜日
2014年10月29日水曜日
COPD増悪に対するtriple therapy(ICS/LABA/LAMA)継続群とICS減量中止群の効果.
Withdrawal of Inhaled Glucocorticoids and
Exacerbations of COPD
NEJM 2014;371(14):1285-1294.
重症COPDで増悪を繰り返す患者において,長期作動性気管支拡張薬にICSを追加する治療が推奨されている.しかしLABAとLAMAに加えICSを追加するbenefitについては十分には明らかにされていない.
方法
12か月の二重盲検並行群間試験.2485例の増悪歴を有するCOPD患者に6週間のrun-in periodを設け,Triple therapy (ICS/LABA/LAMA,ICSは1,000μg/day)を行い,その後以下の群に無作為に割り付けた.
① Continued triple therapy.(ICS継続群)
② 12週かけて3段階でICSを減量,中止する.(ICS中止群)
Primary end pointは最初に中等症,または重症のCOPD増悪を起こすまでの時間.
スパイロメトリーの所見と健康状態,呼吸苦もまたモニターした.
結果
ICS継続群と比較して,ICS中止群は,最初の中等症から重症のCOPD増悪について,あらかじめ非劣性のクライテリアである,95%信頼区間の上限である1.2以下であった(HR, 1.06; 95% CI, 0.94 to 1.19).ICSが完全に中止となる18週において,ベースラインからのトラフFEV1の低下はICS中止で継続群と比較して38 ml以上であった(P<0.001);52週では両群の差は43mlであった(P=0.001).ICS中止群において呼吸苦の変化はなく,健康状態の変化はわずかであった.
対象
40歳以上で,former smokerまたはcurrent smoker (10 pack-years以上)
経口ステロイドの使用は不可.SABAの頓用吸入は可.去痰剤,キサンチンの使用は可.
気管支拡張薬吸入後FEV1<=70%,%FEV1<=50%
スクリーニング前の12か月間に少なくとも1回COPDによる増悪が記録されている.
triple therapy(ICSはmaximal dose,FP 1,000μg/day)を6週間.
その後無作為に2群に割り付け12週の治療.
*中等度の増悪の定義
COPDに関連した下気道症状の増加,またはそのような症状が2回以上新たに出現.そして一つの症状は,少なくとも3日以上続き,医師が抗菌薬,全身性ステロイドのいずれか,または両方を処方した場合.
*重度の増悪の定義
緊急ケアユニットに入院が必要な増悪.
症状出現日はCOPDの症状が最初に記載された日.
NEJM 2014;371(14):1285-1294.
WISDOM (Withdrawal of Inhaled Steroids
during Optimized Bronchodilator Management) trial
Abstract
背景重症COPDで増悪を繰り返す患者において,長期作動性気管支拡張薬にICSを追加する治療が推奨されている.しかしLABAとLAMAに加えICSを追加するbenefitについては十分には明らかにされていない.
方法
12か月の二重盲検並行群間試験.2485例の増悪歴を有するCOPD患者に6週間のrun-in periodを設け,Triple therapy (ICS/LABA/LAMA,ICSは1,000μg/day)を行い,その後以下の群に無作為に割り付けた.
① Continued triple therapy.(ICS継続群)
② 12週かけて3段階でICSを減量,中止する.(ICS中止群)
Primary end pointは最初に中等症,または重症のCOPD増悪を起こすまでの時間.
スパイロメトリーの所見と健康状態,呼吸苦もまたモニターした.
結果
ICS継続群と比較して,ICS中止群は,最初の中等症から重症のCOPD増悪について,あらかじめ非劣性のクライテリアである,95%信頼区間の上限である1.2以下であった(HR, 1.06; 95% CI, 0.94 to 1.19).ICSが完全に中止となる18週において,ベースラインからのトラフFEV1の低下はICS中止で継続群と比較して38 ml以上であった(P<0.001);52週では両群の差は43mlであった(P=0.001).ICS中止群において呼吸苦の変化はなく,健康状態の変化はわずかであった.
対象
40歳以上で,former smokerまたはcurrent smoker (10 pack-years以上)
気管支拡張薬吸入後FEV1<=70%,%FEV1<=50%
スクリーニング前の12か月間に少なくとも1回COPDによる増悪が記録されている.
triple therapy(ICSはmaximal dose,FP 1,000μg/day)を6週間.
その後無作為に2群に割り付け12週の治療.
*中等度の増悪の定義
COPDに関連した下気道症状の増加,またはそのような症状が2回以上新たに出現.そして一つの症状は,少なくとも3日以上続き,医師が抗菌薬,全身性ステロイドのいずれか,または両方を処方した場合.
*重度の増悪の定義
緊急ケアユニットに入院が必要な増悪.
症状出現日はCOPDの症状が最初に記載された日.
Secondary end point
最初に重度のCOPD増悪をきたすまでの時間,中等度から重度のCOPD増悪の数,肺機能 におけるベースラインからの変化(FEV1, FVC, PEFR).
健康状態はSGRQで評価.
重症または最重症患者において,LABA, LAMAを有するレジメンにICSを加えることのbenefitについては,適切なパワーを有した研究がなく不明なままである.
吸入ステロイド中止により増悪しやすいと考えられるサブグループを抽出し,最初の増悪に関する影響を調べたが,どのサブグループもICS中止群と継続群で有意差はなかった.
問題点
ICSを段階的ではなく,一度に中止した場合は,今回と同じ結果が得られるか?ICS中止前にtriple therapy (maximal therapy)を6週間行う必要があるか?
このトライアル(と他の研究)から得られた所見
ICSは増悪の予防よりもむしろ症状の改善に基づいて処方されるべき.
重症患者であってもICS中止は増悪のリスクを増加させない.
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