2016年10月25日火曜日

第10回熊本気道疾患カンファレンス

921
熊本大学山崎記念会館

鼻咽喉科
声門癒着 挿管性のものが多い
声門後部癒着例は治療困難な例がある.
挿管例の発症頻度→不明
挿管後数日から数か月たって発症.

好酸球性気道炎症&アレルゲン免疫療法 Up-To Date
埼玉医科大学 永田教授
Mepolizumab  2009 NEJ 
JACI 2016;137:75 重要論文
重症喘息は血中,喀痰中にIL-5+ILC2 cellの増加がみられる.→だからステロイドが効かない.

 Nature Med 2013の図
ILC2は自然免疫系に属す

IL5好酸球性Axisの臨床的重要性が証明された.
重症喘息でのIL-5の供給源としてILC2が有力!

Th1サイトカインも関与しているという説も有力になっている.
Thorax 2006;61:202-208
重症喘息ではIFN-γが増加(喘息に悪い影響を与えている)
またウイルス感染や重症喘息の気道では血清IP-10IFN-γの下流にある)が増加.IFN-γ,IP-10Eosを誘導する.
風邪をひくと喘息が悪化=IFN-γ系が動くため.
ステロイドはIFN-γ,IP-10は減らない.IP-10によるEos集積反応をformoterolが抑制するというin vitroのデータあり(埼玉大学の報告).
重症喘息ウイルス感染時の好酸球性炎症増幅にTh1系が活性化(IFN/IP-10

重症喘息で見られる特徴
ERJ 2003;22:470  ENFUMOSA

重症患者の誘発喀痰にてIL-8が上昇
IL-8+Neu→好酸球遊走亢進
重症喘息の一部で好中球+好酸球の混在炎症

IL-8の上流=Th17を抑制したらどうなる?Th17分化誘導を抑制するドパミンD1受容体拮抗薬はアドレナリンによる好中球性気道炎症を抑制する.J Immunology 2011;186:5975
IL-17受容体抗体 brodalumab   AJRCCM 2013;188:1294-1302     Busse
Th17/IL-17に対する抑制戦略が期待される.

エンドトキシン
アレルギー性軽症喘息はアレルゲン+LPSにてBALFECPが上昇.アレルゲンのみではECPは増えない. LPSの作用は直接的ではない.VitroNeu+LPS→好酸球の遊走亢進

重症喘息の好中球+好酸球の混在型炎症に環境中のエンドトキシンが関与.

 ぺリオスチン
ミシガン大学 JACI 2014;134:1433
ぺリオスチンはEosの接着,活性化を極めて強力に誘導する.
Noguchi JACI 2016 accept
ぺリオスチンは好中球へのエフェクター作用があるのでは?

アレルゲン免疫療法について
作用機序
①遮断抗体としてのIgG4クラスの増加
Th1-Th2インバランスの改善
③制御性T細胞誘導による
IL-10などの制御性サイトカインの産生

中等症の喘息   
症状を軽減する
吸入ステロイドの消費を減らす JACI  2006

舌下免疫療法は?
ダニアレルギー喘息    急性増悪を抑制
ミティキュアダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法)を使う
ダニ単独感作鼻炎±喘息  3-5年すると
アレルゲン新既感作を抑制  SLITの効果

IgG4はマーカーになる.免疫療法でIgEの値は変わらない(だから減感作といわない)
SCIT(注射),SLIT(舌下)
喘息症状スコアと治療スコアでみるとSCITの方が効く.IgG4も有意にSCITで上昇.
ミティキュア(は喘息のエビデンスがある.
喘息+鼻炎の患者に対して鼻炎を治療すると喘息も良くなるという欧米のデータがある.
治療は3年しましょうと説明.通常脱落が多いとされるが埼玉医大では9割程度は続けている.
免疫療法は新規アレルゲン感作阻止,喘息発症抑制,長期予後改善作用あり.

フロアからの質問
アレルゲン免疫療法の治療マーカーは?
IgG4TGF-βが良いのでは(永田先生私見)

どのような人を治療対象とするか?
調子の良い時に閉塞性換気障害がない人
ICS/LABA以下の治療で症状がコントロールできている人.
ペット飼育あり,喫煙あり,大酒家→除外した方が良いのでは.