2016年10月6日木曜日

第409回 熊本チェストカンファレンス

2016年9月29日 熊本大学医学部付属病院 総研にて

症例 81歳,男性
肺炎の診断にて近医で抗菌薬CTRX→MEPM投与.その後も微熱が続き2か月後に同院再診し,精査加療目的にて紹介入院.全身状態は良好.既往歴に5年前食道がん内視鏡手術.

体温は36.7℃,room air下でSpO2 97%,血圧正常,肺野・心音性状.WBC 5900,Neu 77.8%,AST 62,ALT 64, LDH 582,D-dimer 2.13,SCC 3.1

画像は右胸水貯留,胸膜直下に浸潤影,結節影,fissureの肥厚,腹腔リンパ節腫大.特徴はlateralityがあるということ.胸水は浸出液で悪性細胞なし,好中球増多.

PET検査 左鎖骨上窩リンパ節,右肺門,左睾丸→PETで集積あり
ECG  II III aVFでST上昇あり.→心エコーにて右房内にmass(単純CTでは同定できない)
ope予定だったが,突然死.

剖検:肺動脈内に腫瘍塞栓(扁平上皮癌).左腎静脈,左精巣静脈に腫瘍塞栓.原発不明.死因は右房遊離腫瘍塞栓の肺動脈陥頓による急性循環不全.
食道がんの再発を示唆する所見なし.

肺病変は腫瘍塞栓.たしかに末梢の楔形様陰影.

胸部画像の鑑別としてseptic emboli,COPなどを考えるが,腫瘍塞栓までは思いつかない.しかも病変は片側性(右)だし.腹部のリンパ節腫大を見れるようにならなければ・・・.