2017年4月27日 熊本大学総研にて
【教育症例】
20歳,男性,学生
6月喫煙開始.約2週間後に乾性咳嗽,全身倦怠感出現.タバコも吸えなくなった.
体温36.9℃,PR 124/min,呼吸数 22回/分,呼吸音 清,SpO2 95% '(RA)
WBC 11100 (Seg 83%, Ly 13%),CRP 22.8,TARC 14700,胸部CT 両側肺にすりガラス影,浸潤影,小葉間隔壁肥厚あり.更に両側胸水貯留を認めた.
BAL: 13x105/ml,Eos 43%
後日末梢血の好酸球増多を認めた.
診断は急性好酸球性肺炎.自然経過で改善傾向にあったが,ステロイド著効.ステロイド治療期間は2週間.
治療について
ステロイド
2W
4W 治療に差がない.
胸水貯留は8割の症例で認める.
【症例提示】
症例1 40歳代の女性
主訴:頸部痛,腰痛
半年前から頸部痛,腰痛の増悪あり.
骨病変の精査(CTガイド下骨生検).
既往歴に子宮頸がん,骨粗鬆症,Sarcoidosis
胸部CT:肺野病変:小粒状影の集簇した陰影.結節影,分布はperilymphatic distribution
腋窩リンパ節腫大と,腹部大動脈周囲リンパ節の腫大あり.肝脾腫あり.
採血はSIL-2Rの増加 (1348),
biopsyにて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,診断は骨サルコイドーシス.
骨サルコイドーシス:慢性経過を呈した症例で遅れて出現.
MRI T1 低信号,T2脂肪抑制 高信号
骨粗鬆症の既往との関連,治療について興味のあるところ.
NSAIDS投与で経過をみたとのことである.
症例2
52歳,男性
主訴は右肩関節と上肢の痛み
整形外科を受診し,胸部異常陰影精査目的に呼吸器内科紹介となる.
身体所見に異常なし.酸素化の低下なし.
WBC 8700/μl(Neu 69.5%,Eos 4.5%),腎機能障害なし,各種腫瘍マーカー異常なし,CRP
右上葉に浸潤影,気管支血管束周囲の分布?その他結節影.造影効果はなし.内部は比較的均一.
診断はGPA
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/imed3/lab_2/page4/vasculitis_gpa.html
2017年6月27日火曜日
2017年6月19日月曜日
慢性咳嗽についてNEJM2016より
NEJM 2016;375:1544-51.
CLINICAL PRACTICE
Chronic Cough
この記事は、臨床的によくある問題に焦点を当てながら症例提示を行う。それから様々な戦略を支持するエビデンスを示し、更に公式のガイドラインが存在する場合はそのレビューを行う。そして最後に著者の臨床的な推奨を述べる。
63歳女性、1年続く慢性咳嗽。のどのイガイガ感を伴う。咳嗽の遷延性発作により腹圧性尿失禁を引き起こし、ときに嘔気と嘔吐が出現。咳嗽は気温、強烈な臭い(例えば、cleaning productsの臭い)、笑い、長びく会話で誘発される。彼女は特記すべき既往歴はなく健康で、喫煙歴もない。彼女は気管支拡張剤とステロイドの吸入・点鼻薬を処方されたが症状は改善しなかった。身体所見、胸部X線撮影と肺機能検査結果は正常である。
あなたならこの状態をどのように評価し管理するだろうか?
THE CLINICAL PROBLEM
咳嗽は、患者が治療を求める最も頻度の高い症状である。咳嗽の罹患率は様々に報告されているが、一般集団の12%ほどが慢性咳嗽を示すという報告がある。8週以上続いている咳嗽を慢性咳嗽と定義する。慢性咳嗽は男性より女性に多い。最も多いのは50歳から60年歳代に発症し、数年持続する。相当な身体的、社会的および心理的影響を伴う。患者が1日につき数百~数千回咳嗽をすることを想定すれば、慢性咳嗽の機能障害の影響は理解できる。すなわち慢性咳嗽は急性ウイルス性咳嗽で生じる咳の頻度と類似しているが、数ヶ月あるいは数年の間持続するのである。大部分の患者は、咳嗽について痰はないか、あっても非常に少ないと言う。過剰な痰は、気管支拡張症または副鼻洞疾患を示唆する。
慢性咳嗽は多くの一般的な呼吸器疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患、喘息と気管支拡張症)と、若干の一般的な非呼吸器疾患(例えば、胃食道逆流や鼻副鼻腔炎)の症状である。そして、咳嗽はよりまれな疾患(例えば、特発性肺線維症や好酸球増加性気管支炎)の主症状である場合がある。咳嗽はまた多くの薬物治療の副作用ともなりうる。最も一般的なのは、ACE阻害剤による咳である。ACE阻害薬で治療される患者の約20%で咳嗽が生じる。慢性咳嗽患者は様々な病院にやってくる。そして速やかに症状が改善しない場合、これらの患者は診断と治療を求めて多くの病院や多くの医師のもとへ行く可能性がある。プライマリケアにおける慢性咳嗽の自然史はこれまで十分に調査されてこなかった。しかし、専門クリニックで診断がつかず、7年以上後に再評価された一連の慢性咳嗽患者において、咳嗽は14%で自然寛解し、26%で減少した。
KEY CLINICAL POINTS
慢性咳嗽
・慢性咳嗽(咳嗽が>8週を超えて続く)は、一般的であり機能障害性にもなりうる。
・慢性咳嗽は多くの呼吸器疾患の特徴である。一般的な誘因(喘息、胃食道逆流や後鼻漏)は検査によって、または治療によって通常除外されなければならない。
調査と治療アルゴリズムは主に合意した意見(consensus opinion)に基づく。そして無作為試験によって、より多くのデータが必要とされる。
・臨床試験からの限られたデータではあるが、低用量モルヒネ、ガバペンチンまたはプレガバリンと言語療法は、他の検査と経験的治療を行っても持続する咳嗽患者に対して有益であることが支持されている。
・より新しいエビデンスによると、咳嗽反射過敏症が慢性咳嗽の基礎をなすことを示唆している。しかし、その機序とそれに関連した治療の可能性に関するより多くの研究が必要である。
STRATEGIES AND EVIDENCE
専門のガイドラインは、慢性咳嗽の評価と管理に対する系統的アプローチを述べている;
これらのガイドラインは、医学文献から得られた合意意見と観察的なデータに広く基づいている。医療業務の供給、診断検査の利用、処置戦略は国家間で違いがあるにもかかわらず、咳嗽のアプローチは概ね4つの主要なステップに単純化することができる(図1)。ステップ1:IDENTIFICATION AND TREATMENT OF OBVIOUS CAUSE
明かな原因の同定と治療
患者の事前評価には病歴、臨床検査、胸部X線撮影と肺活量測定が含まれるが、この評価によって慢性咳嗽の基礎をなす可能性がある広範囲にわたる病態を確認し、除外することができる。そして、その病態の初期管理はどんな陽性所見によってでも導かれなければならない。病歴と身体所見は、ACE阻害薬のような薬物、喫煙または職業性曝露、重篤な基礎疾患を示唆するあらゆる症状や徴候(例えば、体重減少または喀血。どちらの症状も肺癌に関する懸念を引き起こす可能性がある)を記載しなければならない。喘息は、しばしば喘鳴の既往歴によって示唆される;しかしながら一部の喘息患者は、喘鳴はないか軽度である。そのような病態を“cough-variant
asthma”という。そのような症例に肺機能検査を行うと、気管支拡張剤にて改善する閉塞性パターンが明らかになるかもしれない。異物吸入の可能性がある場合、緊急検査は是認される。
喘息、胃食道逆流症。鼻副鼻腔炎の検査
胸部X線撮影と肺機能検査が正常な状況では、慢性咳嗽を伴う最も頻度の高い疾患は喘息、胃食道逆流症と鼻副鼻腔炎である。しかし、これらの各々の有病率は咳嗽クリニックの間でかなり変化する。
喘息症例の大部分はルーチンのスパイロメトリに異常を認める。気道過敏性を評価するメサコリン誘発試験は、正常肺機能を示す患者やほかに咳嗽の原因が全くない患者において適応となる。そして呼気NOのレベルもまた上昇するかもしれない。咳喘息の管理を示す無作為試験からのデータは不足しているが、通常臨床経験ではICS治療に反応することが示唆されている。吸入薬は患者によっては咳嗽を誘発する。そして、それは必然的に気道への治療の送達を抑制する。吸入deviceの変更(例えば、スペーサ装置の使用)により咳嗽が良好な反応を示す患者もいれば。1~2週間の経口グルココルチコイド治療が有効な患者もいる。
咳嗽と胃食道逆流の関係は、複雑であるが明らかにになりつつある。ガイドラインは慢性咳嗽患者において。酸抑制治療のトライアル。例えば最高3ヵ月間のプロトンポンプ阻害剤(PPI)による1日2回の治療を提案している。しかしながら、多くの咳嗽患者は症候性の胃食道逆流症を示さない。そして、咳嗽に対する逆流治療のほとんどの無作為比較試験はこの種の治療に関連して有意な改善を示さなかった。抗逆流手術(腹腔鏡によるfundoplication)が慢性咳嗽の有効な治療であるという正当な証拠も同様に存在しない。従って手術は胃食道逆流症の症状と、この病態が存在することを確認する評価に基づいて手術の基準を満たす患者を制限しなければならない。
PPIの試験からのプールされたデータの後向き分析は全体の有益性を示さなかった。しかし食道pH監視下に胸やけ、逆流または過剰な酸逆流を有する患者のサブグループは、PPI治療に対してわずかだがより反応がありそうにみえた。しかし胃食道逆流の複雑な検査(例えばpHまたはインピーダンス試験)では、酸の抑制に対する咳嗽の反応を十分に予測しない。そして、慢性咳嗽のほとんどの患者が、コントロール群と同程度の酸と非酸の逆流であり、食道近位側に到達する逆流はほとんどなかった。最近のエビデンスは慢性咳嗽において逆流物が喉頭または咽頭に入るか、わずかに誤嚥し気道内に入るという考えを支持しない。咳嗽患者の喉頭では炎症性変化がしばしば認められ、それは近位胃食道逆流(proximal gastroesophageal reflux)即ち“咽喉頭反射”の徴候と考えられている。しかし、重篤咳嗽患者にはしばしば喉頭に外傷性炎症性変化があり、“咽喉頭反射”の喉頭徴候とする考えに関して研究者の間で十分な同意はない。慢性咳嗽患者の約50%において、逆流と咳嗽の間の相当な時間的関係が存在する。それは逆流物の酸性度にかかわりなく、偶然と予想されるよりもより多いせきの発作に先行する遠位逆流(distal gastroesophageal reflux)の"生理学的"エピソードを伴う。これは、異常なレベルの遠位または近位逆流はなく、遠位食道と気道の間のニューロン・クロストークが咳嗽を誘発しうる。したがって迷走神経経路の感作が異常の基礎をなすかもしれないということを示している。
慢性咳嗽患者は、しばしば後鼻漏の感覚を報告する。ガイドラインは点鼻グルココルチコイドと抗ヒスタミン剤をアレルギー性鼻炎と慢性咳嗽患者に推薦している。しかし、このアプローチをサポートする無作為比較試験は不足している。そして、臨床経験はこの治療に対する反応がしばしば期待外れであることを示す。慢性副鼻腔炎が確認されるとき、患者は抗菌薬と副鼻腔または中隔の手術を提案されるかもしれない。しかし、鼻疾患の外科的療法が咳嗽の改善をもたらすという客観的なデータはない。
咳嗽のまれな原因をr/oするための検査
(診断的検査又は治療トライアルに基づいて)喘息、鼻疾患と胃食道逆流が除外された患者において、慢性咳嗽を示し治療に反応する他の疾患を考慮しなければならない。そして可能なら咳嗽専門クリニックに紹介しなければならない。慢性咳嗽を伴う疾患は閉塞性睡眠無呼吸、好酸球性気管支炎、扁桃増大と再発性扁桃炎がある。そして、外耳疾患は迷走神経の耳介枝を通して咳嗽を引き起こす。咳嗽が治療に反応しない場合において、胸部のHRCTは単純胸部X線では見えない実質性肺疾患(例えば、肺線維症、気管支拡張症またはサルコイドーシス)を除外するために勧められる。気管支鏡検査はCTスキャンでは見落とされる可能性のある気管気管支軟化症、慢性気管支炎とtracheopathia
osteochondroplasticaのような疾患を確認するのに用いられる。我々の専門診療において、鑑別が明白な胸部X線撮影、肺機能試験(メサコリン誘発試験を含む)、経験的逆流治療と耳鼻咽喉頭評価の後不明なままだった患者において、約10%が気管支鏡検査で異常が認められた。しかし、異常所見が咳嗽を説明できたかどうかは不確かである。癌の疑いがある症例や異物吸入を除外する必要のある症例において、迅速な気管支鏡検査は行ってよい。気管支鏡検査法はまた、誘発喀痰が利用できない場合や好酸球性気管支炎を評価するためのサンプルを得る機会となる。好酸球増加性気管支炎は、気管支過敏性がなく、喀痰好酸球比率は3%以上で。PEFRは変動する場合に示唆される。この疾患は専門咳嗽クリニックに現れる患者の最高13%を占めると報告され、グルココルチコイド治療にしばしば反応する。現段階で確認される他のいかなる疾患も、確認された疾患の標準的ガイドラインに従って治療されなければならない。そしてこの治療に対する咳嗽の反応を評価しなければならない。
ステップ4:MANAGEMENT OF
IDIOPATHIC OR REFRACTORY CHRONIC COUGH
特発性または不応性慢性咳嗽の管理
我々の経験において、潜在的に慢性咳嗽の基礎をなしている一つ以上の疾患は、ステップ1で確認される。しかしながら、これらの潜在的原因を対象とした治療にもかかわらず、咳嗽の続く患者がいる(専門クリニックに受診する患者の42%に至る。しかし、プライマリケアでの頻度は不明である)。不応性慢性咳嗽患者は、しばしば店頭の鎮咳嗽薬に救助を求める。これらの薬剤の一部は全く活性成分を含有しないが、軽度の鎮咳嗽作用のあるメントールのように活性成分を持っているものもある。これらの治療は急性のウイルス性咳嗽に対して使用することを目的にしている。しかしその病態の治療目的であっても効果的であることを示唆するエビデンスはほとんどない。しかしながら、トローチ剤(または少量の水)に関連した嚥下は、咳嗽を一過性に抑制する可能性がある。そしてトローチ剤、シロップと蜂蜜は喉の刺激感を一時的に和らげることによって軽度の有益性を提供するかもしれない。
治療不応性であるか特発性慢性咳嗽に対してFDAまたはEuropean Medicines Agencyの承認を得た治療が現在ないにもかかわらず、ニューロン過敏症をターゲットとしたいくつかの介入は、無作為プラセボ対照試験にて効果的であることが示された。
慢性不応性咳嗽患者のプラセボ対照試験では、低用量の徐放性硫酸モルヒネ(1日2回、1回5mg)投与群はプラセボ投与群と比較して、咳嗽重症度がより低く(9ポイント・スケールで1。6ポイントの差)、咳嗽特異的QOLがより高いことが分かった。
症例シリーズにおいて、約36%の患者が臨床的に意味のある反応を示したが、ほぼ50%の患者は全く反応を示さなかった。トライアルと症例シリーズにおける副作用として、便秘、時に傾眠が報告された。特に現在のオピオイド乱用の流行を背景とした米国では、オピオイドの濫用または娯楽の可能性は、重大な懸念である。
慢性咳嗽患者が関係した二重盲検プラセボ対照臨床試験において、鎮痙性のガバペンチンは、プラセボと比較して咳嗽に特異的なQOLの大きな改善と、ベースラインとの比較において咳嗽重症度のより大きな減少と関連していた(100mmのvisual analogue scaleにおいて咳嗽重症度の2群間の差は12mm)。臨床経験は、反応に大きな変動があることを示唆している;多くの患者では、副作用(鎮静と眩暈感または不安定を含む)はどんな有益性にも上回る可能性がある。この薬物と関連したリスクは、鬱病と自殺的な考えまたは行動を含む。ガバペンチンとそれに関連した鎮痙性薬のプレガバリンは、副作用と有効性の間の釣合いを確立するために個別的用量調整が必要である。アミトリプチリン(就寝時の10mg)は、コデイン+グアイフェネシンより咳嗽に特異的な生活の質を改善する作用が優れていると報告された;鎮静作用は、慢性咳嗽患者が眠ることをより容易にするかもしれない。
無作為偽対照試験では、4つの構成要素(教育、喉頭刺激の減少、咳嗽コントロール技術と心理教育的カウンセリング)を含む言語病理学治療も、不応性慢性咳嗽患者において咳嗽重症度と生活の質を改善することが示されもした。成功した治療法の必須の部分を理解するためにより多くのデータが必要である。抗痙攣薬プレガバリンを言語病理学治療に加える効果を評価した最近の無作為比較試験では、プラセボを投与された患者と比較してプレガバリンを投与された患者は、咳嗽の重症度と咳嗽関連QOLの有意な改善を認めた。しかし咳嗽の頻度(非主観的primary outcome)は改善を示さなかった。プレガバリンの一般的な副作用は、眩暈、疲労と認識機能の変化等である。
不確定の領域
喘息、胃食道逆流と後鼻漏の“diagnostic triad“は慢性咳嗽の主な原因であると考えられてきた。そして、これらの疾患にターゲットを当てた治療に高い成功率が求められてきたが、いくつかの観察はこの概念に関する疑問を引き起こした。第1に、これらの一般的な疾患を示す患者の大多数は、過度の咳嗽を示さない。第2には、慎重なガイドラインに基づく検査と治療にもかかわらず、多くの慢性咳嗽患者は基礎病態に対する治療に反応を示さないか、咳嗽の同定可能な原因が見つからず咳嗽が持続する。これらの患者の主要な異常は、咳嗽をコントロールする神経経路の異常である。同定可能な原因(喘息、胃食道逆流、後鼻漏)は神経性咳嗽過敏症候群の意味においてのみトリガーとして働きうる。(図2)この仮説を支持する様に、カプサイシン(刺激性エアゾール)の吸入の研究では、この薬剤が慢性咳嗽患者において健常対照群の2倍の咳嗽反応を引き起こすことを示した。
ニューロン過敏症が慢性咳嗽の基礎をなすという概念は、これらの患者の病歴とも整合している。即ち彼らは咽喉刺激感や咳嗽をしたい衝動と咳嗽発作が、低レベルの環境刺激物質(例えば、香水やホコリや喉頭に対する物理的刺激(例えば、会話、歌、食べること)、体温と湿度の変化、によって引き起こされると言う。患者の間で咳嗽の特定のトリガーが異なるにもかかわらず、大部分の患者は咳嗽をしたいという抑えられない衝動とそれに伴う気道刺激感覚(75%は喉で、15%は胸部で刺激を感じる)を報告する。
“咳嗽過敏性症候群”という用語はこの病像を述べるための最近の造語である。しかし、現在のところ臨床クライテリアや診断のための検査に関するコンセンサスはない。
恐らく慢性咳嗽は機序的に単一の障害ではない。咳嗽過敏症の基礎をなしている神経学的機序は、末梢および中心神経系の両者において特異的神経レセプターをターゲットにした新薬の研究(例えば、P2X3、neurokinin-1、と一過性受容器電位[TRP]vanilloid 1[TRPV1]。vanilloid 4[TRPV4]、ankyrin 1[TRPA1])(図2)を含む更なる研究が必要である。例えば、不応性慢性咳嗽患者に関する最近の無作為比較試験では、P2X3アンタゴニストによる治療はベースラインと比較してプラセボ群より咳嗽回数が75%減少していた。しかし、臨床診療におけるこの薬剤の潜在的役割はいまだ明らかでない。
GUIDELINES
ガイドライン
ACCPは、慢性咳嗽の管理ガイドラインを発表してきた。それは現在修正、更新中でありヨーロッパ諸国のガイドラインと類似している。本論文の勧告は、概ねこれらのガイドラインと一致している。
CONCLUSIONS AND RECOMMENDATIONS
結論と勧告
慢性咳嗽患者は、呼吸機能と胸部画像が正常で、基礎をなす肺や肺外病変の存在を示唆する特異的な症状や徴候がない;喘息と鼻炎の治療試験は、効果的でなかった。現在のガイドラインに従って、我々はPPIによる2ヵ月の胃酸抑制療法の試験を提案する。実際には、我々はときにそのような治療法の後、咳嗽の著しい改善を経験することがある。しかし、胃酸抑制の無作為試験では概ねこの集団において咳嗽の有意の改善は見られなかった。これといった反応がない場合、我々は治療を中止するだろう。平行して、更に反応性気道の可能性を評価する検査(メサコリン誘発試験とFeNO測定を含む)を開始する。これらの測定結果が正常であり、胃酸抑制の試験がうまくいかないなら、胸部HRCTと鼻鏡検査の適応がある。すべての試験が陰性である場合、我々は慢性咳嗽の基礎となる悪い原因がないことを説明して患者を安心させ、咳嗽反射をコントロールしている神経の異常が最もその問題の根幹であることを説明するだろう。慢性咳嗽に対して現在公認されている治療はないが、限られた臨床試験データでは徐放性低用量硫酸モルヒネ、ガバペンチンまたはプレガバリンまたは言語療法が治療の有益性を支持してる。我々は、各オプションの潜在的利点と副作用について彼女と話し合だろう。我々は、不応性慢性咳嗽は消失するかまたは、時間とともに自然に軽減するだろうと説明し彼女を安心させるだろう。
2017年5月30日火曜日
第416回チェストカンファレンス
5月25日 熊本大学
症例1
70歳、女性
浸潤性乳管癌→chemo後。胸部CTのfollow up中徐々に増大する腫瘤影を認めた。
胸椎の腹側に胸椎を覆うように広がる内部不均一、境界明瞭なtumorあり。
神経原性縦隔腫瘍にしてはlocation、形態が異なる。SUV maxは9程度。
EUS-FNAでschwannoma (H&E) が疑われたが、診断はleiomyosarcoma。リンパ管の平滑筋由来?との考察。
症例2
66歳、女性
検診で胸部異常陰影を指摘。両側肺野に多発性粒状陰影。甲状腺両側対称性びまん性腫大あり(圧痛なし、可動性あり)。
T-SPOT 陽性(陰性Con 0、A抗原 11、B抗原 10、陽性Cont 530)、ESR 26mm/hr
両側肺野に小粒状影。random distributionか。
<感染症>
粟粒結核
<腫瘍>
meta LC(甲状腺腫瘍)、BML (Benign metastasizing leiomyoma)
http://www.ajronline.org/doi/full/10.2214/ajr.176.6.1761409
http://edukobiyori.blogspot.jp/search?q=%E5%AD%90%E5%AE%AE
<その他>
Sarcoidosis、塵肺(考えにくいが)
サイズは数ミリ大、大小不同があるのがポイント。粟粒結核やBMLは考えにくい印象。
診断は
①Minute plumonary menigothelial-like nodule (MPMN)
②甲状腺乳頭癌
③頸部リンパ節結核(②の術中に腫大したリンパ節を摘出し診断。)
★Minute plumonary menigothelial-like nodule (MPMN)について
http://journals.lww.com/ajsp/Abstract/2004/02000/Pulmonary_Meningothelial_like_Nodules__A_Genotypic.8.aspx
下記は日本の肺がん診療ガイドラインからの引用。肺がんと鑑別を要す疾患として記載されている点に注目!http://www.haigan.gr.jp/guideline/2016/1/1/160101030100.html
【腫瘍様病変】
テューモレット
微小髄膜細胞様結節
炎症性偽腫瘍*
限局性基質化肺炎
アミロイド症(アミロイド小結節)
硝子化肉芽腫
リンパ脈管平滑筋腫症
多巣性小結節性肺胞上皮過形成
感染症(抗酸菌症,真菌症,寄生虫症)
子宮内膜症
気管支炎症性ポリープ
肺分画症
肺動静脈瘻
外傷
https://plaza.rakuten.co.jp/xylosoxidation/diary/200806010001/
http://nagasaki-pathology.jp/%e5%91%bc%e5%90%b8%e5%99%a8%e7%97%85%e7%90%86/others/meningothelial-like-nodule
https://plaza.rakuten.co.jp/xylosoxidation/diary/201410280000/
症例1
70歳、女性
浸潤性乳管癌→chemo後。胸部CTのfollow up中徐々に増大する腫瘤影を認めた。
胸椎の腹側に胸椎を覆うように広がる内部不均一、境界明瞭なtumorあり。
神経原性縦隔腫瘍にしてはlocation、形態が異なる。SUV maxは9程度。
EUS-FNAでschwannoma (H&E) が疑われたが、診断はleiomyosarcoma。リンパ管の平滑筋由来?との考察。
症例2
66歳、女性
検診で胸部異常陰影を指摘。両側肺野に多発性粒状陰影。甲状腺両側対称性びまん性腫大あり(圧痛なし、可動性あり)。
T-SPOT 陽性(陰性Con 0、A抗原 11、B抗原 10、陽性Cont 530)、ESR 26mm/hr
両側肺野に小粒状影。random distributionか。
<感染症>
粟粒結核
<腫瘍>
meta LC(甲状腺腫瘍)、BML (Benign metastasizing leiomyoma)
http://www.ajronline.org/doi/full/10.2214/ajr.176.6.1761409
http://edukobiyori.blogspot.jp/search?q=%E5%AD%90%E5%AE%AE
<その他>
Sarcoidosis、塵肺(考えにくいが)
サイズは数ミリ大、大小不同があるのがポイント。粟粒結核やBMLは考えにくい印象。
診断は
①Minute plumonary menigothelial-like nodule (MPMN)
②甲状腺乳頭癌
③頸部リンパ節結核(②の術中に腫大したリンパ節を摘出し診断。)
★Minute plumonary menigothelial-like nodule (MPMN)について
http://journals.lww.com/ajsp/Abstract/2004/02000/Pulmonary_Meningothelial_like_Nodules__A_Genotypic.8.aspx
下記は日本の肺がん診療ガイドラインからの引用。肺がんと鑑別を要す疾患として記載されている点に注目!http://www.haigan.gr.jp/guideline/2016/1/1/160101030100.html
【腫瘍様病変】
http://nagasaki-pathology.jp/%e5%91%bc%e5%90%b8%e5%99%a8%e7%97%85%e7%90%86/others/meningothelial-like-nodule
https://plaza.rakuten.co.jp/xylosoxidation/diary/201410280000/
2017年5月29日月曜日
5月27日COPDフォーラム(福岡)
スパイロメトリ
予後との相関が悪い
肺機能は症状を反映しない
呼吸困難の程度と予後:肺機能より予後によく相関する
2011年GOLD
management:気流閉塞を入れた
例えばCopenhagen研究では予後:D>B>C>Aと予後が入れ変わっていた。
2017年GOLD
予後に反映するもの:息切れ>QOL>気流閉塞
したがって肺機能を除いた。増悪の回数を縦軸に。
今年の秋に日本のガイドラインが発表される(ガイドライン=治療のみを記載、治療+それ以外が入る=document="手引き")
欧米のデータがほとんどで、日本人のデータが乏しい。欧米のガイドラインがどこまで使えるのだろうかという問題。
①COPD治療におけるスパイロの意義と症状観点について
②増悪のリスクと予後
③LABA/LAMAの活用について
③薬剤選択のポイント
①増悪をどの程度正確に評価できるか?(unreported exacerbationの問題)
肺機能を軽視するのはどうだろうか?
前のガイドラインのほうが患者を診るうえで安全なのではないか?
肺機能検査(FEV1)は、一部しか見ていない。例えば動的過膨張を評価していない。
4分割の表をいかに広めるか?
②急性増悪とは
additional therapyがひるような急性の症状増悪と定義
unreported exacerbationの問題。
日本人は増悪が少ないといわれるが、本当にそうなのか?研究なし。
CAT記載についての質問あり:前回のデータを覚えている人は50%程度との報告あり。
前回のデータを見て記入してもらうのがよい。毎日日記のように記録してもらうのもよいのでは。
③CATについて
CATの点数を押し上げている原因を知っておく。身体活動性低下によるマスキング効果を考慮する。
ボーダーライン(例えばCAT 10点前後)の症例は個別に対応する。
④COPD
年間50mlの低下。LABAはLAMAより肺機能低下の抑制効果が持続しにくい(その中でインダカテロールはやや効果が持続する)。
LABA 12週を超えると効果が低下。
予後との相関が悪い
肺機能は症状を反映しない
呼吸困難の程度と予後:肺機能より予後によく相関する
2011年GOLD
management:気流閉塞を入れた
例えばCopenhagen研究では予後:D>B>C>Aと予後が入れ変わっていた。
2017年GOLD
予後に反映するもの:息切れ>QOL>気流閉塞
したがって肺機能を除いた。増悪の回数を縦軸に。
今年の秋に日本のガイドラインが発表される(ガイドライン=治療のみを記載、治療+それ以外が入る=document="手引き")
欧米のデータがほとんどで、日本人のデータが乏しい。欧米のガイドラインがどこまで使えるのだろうかという問題。
①COPD治療におけるスパイロの意義と症状観点について
②増悪のリスクと予後
③LABA/LAMAの活用について
③薬剤選択のポイント
①増悪をどの程度正確に評価できるか?(unreported exacerbationの問題)
肺機能を軽視するのはどうだろうか?
前のガイドラインのほうが患者を診るうえで安全なのではないか?
肺機能検査(FEV1)は、一部しか見ていない。例えば動的過膨張を評価していない。
4分割の表をいかに広めるか?
②急性増悪とは
additional therapyがひるような急性の症状増悪と定義
unreported exacerbationの問題。
日本人は増悪が少ないといわれるが、本当にそうなのか?研究なし。
CAT記載についての質問あり:前回のデータを覚えている人は50%程度との報告あり。
前回のデータを見て記入してもらうのがよい。毎日日記のように記録してもらうのもよいのでは。
③CATについて
CATの点数を押し上げている原因を知っておく。身体活動性低下によるマスキング効果を考慮する。
ボーダーライン(例えばCAT 10点前後)の症例は個別に対応する。
④COPD
年間50mlの低下。LABAはLAMAより肺機能低下の抑制効果が持続しにくい(その中でインダカテロールはやや効果が持続する)。
LABA 12週を超えると効果が低下。
2017年5月24日水曜日
Severe Refractory Asthmaに対するImatinib(KIT inhibitor) の効果
NEJM 2017;376(20):1911-20.
背景
肥満細胞はステロイド治療を行っても重症喘息患者では気道に存在する。これらの細胞はQOLのt低下や不適切な喘息コントロールを含む疾患の特徴と関連する。Stem cell factorとそのレセプターであるKITは、肥満細胞のホメオスタシスに重要である。我々は重症喘息患者において、KIT inhibitorであるイマチニブの、気道過敏性(重症喘息の生理学的マーカー)、気道の肥満細胞数と活性化効果を評価するための概念証明試験を行った
方法
我々は無作為二重盲検プラセボ対照試験を行った。最大限の治療を行っても気道過敏性を有するコントロール不良の重症喘息に対して24週の試験を行った。プライマリーエンドポイントは気道過敏性の評価であり、PC20の測定によって評価を行った。患者はまた気管支鏡検査を受けた。
結果
無作為化を行った62例の患者の内、イマチニブ治療群はプラセボ群に比べ気道過敏性をより低下させた。6か月時点でメサコリンPC20はイマチニブ群で平均(±SD)1.73±0.60 doubling doseまで増加した。一方プラセボ群は1.07±0.60 doubling doseであった(P=0.048)。またイマチニブ群はプラセボ群に比べ、血清トリプターゼ(肥満細胞活性化のマーカー)のレベルをより低下させた。(2.02±2.32 vs. 0.56±1.39 ng per milliliter, P = 0.02)。気道の肥満細胞数は両群で減少した。筋肉のクランプと低リン血症がイマチニブ群でより多かった。
結論
重症喘息患者において、イマチニブは気道過敏性、肥満細胞数、トリプターゼの遊離を減少させた。これらの結果より、KIT依存性のプロセスと肥満細胞は重症喘息の病態生理に寄与していることを示唆している。
背景
肥満細胞はステロイド治療を行っても重症喘息患者では気道に存在する。これらの細胞はQOLのt低下や不適切な喘息コントロールを含む疾患の特徴と関連する。Stem cell factorとそのレセプターであるKITは、肥満細胞のホメオスタシスに重要である。我々は重症喘息患者において、KIT inhibitorであるイマチニブの、気道過敏性(重症喘息の生理学的マーカー)、気道の肥満細胞数と活性化効果を評価するための概念証明試験を行った
方法
我々は無作為二重盲検プラセボ対照試験を行った。最大限の治療を行っても気道過敏性を有するコントロール不良の重症喘息に対して24週の試験を行った。プライマリーエンドポイントは気道過敏性の評価であり、PC20の測定によって評価を行った。患者はまた気管支鏡検査を受けた。
結果
無作為化を行った62例の患者の内、イマチニブ治療群はプラセボ群に比べ気道過敏性をより低下させた。6か月時点でメサコリンPC20はイマチニブ群で平均(±SD)1.73±0.60 doubling doseまで増加した。一方プラセボ群は1.07±0.60 doubling doseであった(P=0.048)。またイマチニブ群はプラセボ群に比べ、血清トリプターゼ(肥満細胞活性化のマーカー)のレベルをより低下させた。(2.02±2.32 vs. 0.56±1.39 ng per milliliter, P = 0.02)。気道の肥満細胞数は両群で減少した。筋肉のクランプと低リン血症がイマチニブ群でより多かった。
結論
重症喘息患者において、イマチニブは気道過敏性、肥満細胞数、トリプターゼの遊離を減少させた。これらの結果より、KIT依存性のプロセスと肥満細胞は重症喘息の病態生理に寄与していることを示唆している。
2017年3月31日金曜日
膠原病的背景を持つ間質性肺炎 2016夏の呼吸器地方会より
須田先生(浜松)
膠原病的背景を持つIP
IIPsと膠原病肺との関連
UCTD
Kinder 2007
LD-ILD Fisher 2010
AIF-ILD Vij
2011年
そして現在ATS/ERSよりすべてを包括する概念としてIPAF
UCTD
非特異的炎症の項目―たとえば体重減少,CRPなどが入っている.
UCTDの診断基準を満たすのは特発性NSIPで88%,IPFで5% →特発性NSIPはUCTDの肺病変との結論
IIPsにおいてUCTDの診断は予後良好(肺機能の改善)と関連 Kinder Lung 2010.
しかしその反論:CorteらはUCTDの基準をmodify=厳しい基準strict definition
UCTDの比率は・・ strict
definitionでは
IPF 13% NSIP 31%
Broad definition(Kinderらの診断基準)では IPF 36%
NSIP 71%
したがって結論:特発性NSIPはUCTDの肺病変とは言えない.IIPsにおいてUCTD診断は予後と関連しない.
そこで特発性NSIPに限ってみてはどうか? Suda Respir Med 2010
KinderのUCTD診断基準を満たすものは47%であった.UCTD-NSIPとNon-UCTD-NSIPを比較
⇒特発性NSIPではUCTD診断を満たすと予後良好.
同じような論文 ERJ 2015 Nunes H →組織学的にNSIPと診断した症例の検討:特発性NSIPよりもUCTD-NSIPの方が予後が良い.
ではIPFに限ってみてはどうか?
Kim Chest 2015 UCTD strict definitionをみたすもの. IPF 8%, NSIP 26%
UCTD(-)IPF vs UCTD(+)IPF
⇒UCTDをみたすIPFの方が予後良好.
外科的肺生検を施行したUCTD 58例.50%がNSIP,UIPが41%
UCTD-NSIPよりもUCTD-UIPの方が予後不良.UCTD-IPは組織パターンによって予後が異なる.
LD-CTDについて
診断基準の特徴は肺病変が主体ということ.膠原病を疑う症状,症候が診断基準に入っていない.組織所見が診断基準に入っているのが特徴.
Omote Chest 2015 外科的肺生検を行い,LD-CTDの血清学的診断基準を満たした44例について.57%がUIP,NSIPが30%.
LD-CTD-UIP vs LD-CTD-NSIP
組織所見別予後は NSIP>UIPパターン
AIF-ILDについて
診断基準の特徴:体重減少など非特異的な症状が入っている.炎症所見は臨床的に意味のあるタイターや,比較的疾患特異性の高いANCAなどの自己抗体が入ってる.
2005-2008年連続200例 ⇒152例 IPF 29% AIF-ILD 32% CVD-IP 19% (もともと膠原病もどきが集まりやすい病院?)
予後:AIF-ILDはほぼIPFに一致.画像および組織パターンはUIPが多い.
まとめ
各診断基準と予後との関連(IIPs全体)
Corte criteriaのみがGAP scoreで補正すると予後良好と関連
Assayag Respir Med 2015
※IPAF interstitial pneumonia with
autoimmune features
様々な疾患概念を統一したもの.2015年ERJ報告
A臨床的 B血清学的ドメイン,ANCAは入ってない.一番の問題点は,UIPパターンがIPAF診断基準に入ってないこと=画像および組織学的にUIPパターンを除外する方向性が見える.
第1報 Oldham JM ERJ 2016 144例のIPAF.IPF 18% NSIP 30% COP 60%
肺生検を行った7割がUIPであった.
問題点は後ろ向き研究であるということ.前向き研究が必要.
2017年3月30日木曜日
第414回熊本チェストカンファレンス
2017年3月16日
教育症例
78歳の女性.主訴は咳嗽.WBCの増多なし.炎症所見は乏しい.
右上葉の腫瘤陰影.
縦隔リンパ節の腫大があり,肺内陰影と縦隔リンパ節は一塊となっている.
リンパ節は内部がlow density(単純CTのみ).
塊状陰影周囲にすりガラス影あり.
2か月後肺内の腫瘤影ははっきりせず.しかし縦隔リンパ節は更に腫大.
縦隔に空洞性陰影?
鑑別診断
肺癌,縦隔腫瘍,異所性甲状腺腫,その他縦隔リンパ節の所見より結核も考えておくべきとの意見あり.
診断は結核
喀痰塗抹G2号,TB-PCR陽性,MGIT陽性.
→気管支結核を合併しているのではないかとの意見あり(同意).
解説
結核のリンパ節病変
CT 像としての報告
1)右気管気管支リンパ節,右傍気管リンパ節に好発 する.これは縦隔リンパ流が右縦隔リンパ管や胸管に注 ぐためとされている 2)内部の乾酪化,膿瘍化壊死病巣に一致して中心部 に不均一な低濃度領域を認める
3)炎症性の血管増生のため造影にて辺縁部が不規則 な厚さで強調される15).
4)結核性縦隔炎に線維化を伴い縦隔近傍の脂肪織が 消失する16)
金地ら 日本呼吸器学会誌 39(11) 2001
http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/039110857j.pdf
空洞→脂肪組織の消失とは驚いた.
症例提示
症例1 74歳,女性
主訴は咳嗽
DMあり.HbA1c 8.0%
WBC 4200/μl,Neu 66.5%, CRP 0.39 mg/dl,sIL-2R 6000
肺内に多発粒状影あり.肺門縦隔リンパ節腫大
鑑別診断
リンパ増殖性疾患,サルコイドーシス,Miliary TB,IgG4関連疾患,
PET-CT :肥厚した胸膜にuptake,両肘,右臀部皮下,左前額部などにもuptakeあり.(触診では可動性あり,圧痛なし,餅のような柔らかさ)
血清ACE, リゾチームも増加.
BALにてLy30%,CD4/8 6.03
skin biopsy+EBUS-TBNAにてSa症と診断.肺,皮膚,心臓に病変あり.
症例2
87歳,男性
関節リウマチにて,MTX, steroid投与(PSL 5mg/day, DXM注 2.5mg 2週間毎)
主訴は発熱
胸部単純X線にて両側肺野に多発性の浸潤影あり.結節のようにも見える.陰影はかなり大きい.
CTRX,MEPM,VCMに無効.
空洞形成あり
bacterial pneumonia, Septic emboli, fungal infection, PCP, 放線菌,Nocardia, TB, tumor(MTX関連リンパ腫など),GPA
(Actinoなら多少抗菌薬が効くでしょうとのコメントもあり)
診断は肺クリプトコッカス症
クリプトコッカスネオフォルマンス抗原 1024倍
経皮針生検生検針よりクリプトコッカス陽性
髄液検査は行っていない.
HTLV-I抗体の測定は行っていない.
cavitationは30%に見られる.
免疫抑制患者の方がcavitationつくりやすい.
RFが陽性だとクリプトコッカス抗原が偽陽性になることもあるとの意見もあった.
教育症例
78歳の女性.主訴は咳嗽.WBCの増多なし.炎症所見は乏しい.
右上葉の腫瘤陰影.
縦隔リンパ節の腫大があり,肺内陰影と縦隔リンパ節は一塊となっている.
リンパ節は内部がlow density(単純CTのみ).
塊状陰影周囲にすりガラス影あり.
2か月後肺内の腫瘤影ははっきりせず.しかし縦隔リンパ節は更に腫大.
縦隔に空洞性陰影?
鑑別診断
肺癌,縦隔腫瘍,異所性甲状腺腫,その他縦隔リンパ節の所見より結核も考えておくべきとの意見あり.
診断は結核
喀痰塗抹G2号,TB-PCR陽性,MGIT陽性.
→気管支結核を合併しているのではないかとの意見あり(同意).
解説
結核のリンパ節病変
CT 像としての報告
1)右気管気管支リンパ節,右傍気管リンパ節に好発 する.これは縦隔リンパ流が右縦隔リンパ管や胸管に注 ぐためとされている 2)内部の乾酪化,膿瘍化壊死病巣に一致して中心部 に不均一な低濃度領域を認める
3)炎症性の血管増生のため造影にて辺縁部が不規則 な厚さで強調される15).
4)結核性縦隔炎に線維化を伴い縦隔近傍の脂肪織が 消失する16)
金地ら 日本呼吸器学会誌 39(11) 2001
http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/039110857j.pdf
空洞→脂肪組織の消失とは驚いた.
症例提示
症例1 74歳,女性
主訴は咳嗽
DMあり.HbA1c 8.0%
WBC 4200/μl,Neu 66.5%, CRP 0.39 mg/dl,sIL-2R 6000
肺内に多発粒状影あり.肺門縦隔リンパ節腫大
鑑別診断
リンパ増殖性疾患,サルコイドーシス,Miliary TB,IgG4関連疾患,
PET-CT :肥厚した胸膜にuptake,両肘,右臀部皮下,左前額部などにもuptakeあり.(触診では可動性あり,圧痛なし,餅のような柔らかさ)
血清ACE, リゾチームも増加.
BALにてLy30%,CD4/8 6.03
skin biopsy+EBUS-TBNAにてSa症と診断.肺,皮膚,心臓に病変あり.
症例2
87歳,男性
関節リウマチにて,MTX, steroid投与(PSL 5mg/day, DXM注 2.5mg 2週間毎)
主訴は発熱
胸部単純X線にて両側肺野に多発性の浸潤影あり.結節のようにも見える.陰影はかなり大きい.
CTRX,MEPM,VCMに無効.
空洞形成あり
bacterial pneumonia, Septic emboli, fungal infection, PCP, 放線菌,Nocardia, TB, tumor(MTX関連リンパ腫など),GPA
(Actinoなら多少抗菌薬が効くでしょうとのコメントもあり)
診断は肺クリプトコッカス症
クリプトコッカスネオフォルマンス抗原 1024倍
経皮針生検生検針よりクリプトコッカス陽性
髄液検査は行っていない.
HTLV-I抗体の測定は行っていない.
cavitationは30%に見られる.
免疫抑制患者の方がcavitationつくりやすい.
RFが陽性だとクリプトコッカス抗原が偽陽性になることもあるとの意見もあった.
2017年3月29日水曜日
2016年呼吸器学会総会 NTMに関する講演より
記憶が定かでないので誤記の可能性あり
ランチョンセミナー
ランチョンセミナー
NTM
ゴルドネ99%が臨床的にコンタミと考えられている.ゴルドネの診断は培養3回陽性,塗抹1回陽性など診断基準を厳しくすべきか.
M. avium
M. intracellulare
M. chimaera
M. intracellulareの患者にchimaeraあり.しかし日本ではchimaeraはきわめてまれ.
MAC増えている.abscessusも増えている.
M. abscessus ほとんど治療に反応しない.
M. massiliense マクロライドに反応性良い.
Erm遺伝子が,マクロライド曝露により活性化され,マクロライドの結合阻害.
M. abscessus species abscessus 感受性試験で感受性があってもすぐに耐性化.
(参考文献)
Massiliense 菌陰性化88%.AJRCCM 2011: 183;405
NTM
10万対14.7 2014年有病率100を超える.日本は世界でも有病率,罹患率高い
Wallace Chest 2014;
投与中の再排菌 14.1% 73%再感染
治療終了後の排菌 48% 75%再感染
高IFNγ中和抗体陽性 複十字病院の100例以上のMAC症例にて抗体価の上昇なし.
検査の特徴はQFT検査陽性コントロールが上昇せず「判定不可となる」
治療
線維空洞型
NBタイプ
一側肺の1/3を超える
BEが強い
排菌量が多い
喀血など症状が強い
複十字病院
CAM耐性90例 CAM単剤,CAM+キノロン,EBなし,などが6割を超える
5生率 71%
耐性菌の問題: CAM単剤,CAM+キノロン,EBの中止
EB 15mg/kg 視力障害0.3%
北米の報告も似ている.専門医でありながらATS/IDSAのガイドラインに従っていたのは13%,耐性を誘導しやすいレジメンを行っていた.
Opeについて
複十字病院は月2-3例.増加傾向にある.RCTはできない.
新しい薬剤
Arikace
リポゾーマル化アミカシン.吸入で使用. Phase III on going
NB type
CAM+EBのレジメン
午後のシンポジウム
線維空洞型 CAM 1000mg,RFP 600mg,EB 15mg/kg連日
NB型 CAM 1000mg,RFP 600mg,EB 25mg/kg週3回
Chest 2014;146:276-82
180例のNB MAC 菌陰性化率は 連日で88%(76%が副作用で間歇へ),週3回で85%(3%が副作用で連日へ)
Chest 2015;191:96-103
217 NB MAC 菌陰性化率は 連日で76%(46%が治療変更),週3回で67%(21%が副作用で治療変更).週3回⇒EB中止は非常に少ない.
AZMとCAMで菌陰性化率の差はない.菌量の多い患者は間歇両方の効果乏しい.
※間歇療法を考慮する患者:NB type,喀痰塗抹陰性,初回治療,高齢女性,EB試用期間150日
CAM, EB, RFPにMFLX⇒30%程度が菌陰性化.MFLX開始⇒菌量が少ない患者に効果が期待できる.
アミカシン吸入⇒5人に1人が菌陰性化?
L-AMK 44%菌陰性化
クロファジミン:フェナジン色素の1種,脂溶性で抗酸菌DNAに結合.副作用として消化器症状,色素沈着あり.
クロファジミン+EB+CAM or AZM⇒100%菌陰性化
STFX, MFLX >LVFX
NTM講演 近畿中央病院
播種型NTM
診断のポイントQFTが判定不可になるときは,抗IFN-γ抗体の測定を!
HOT Tub lung
BALにてCD4/8がきわめて高い.
HOT Tub lungの4症例.いずれもaviumで,類似の菌遺伝子型.欧米をみてもaviumが多いようだ.
M kansasii
横ばい.男性の喫煙者.地域集積性が高い.堺.薬剤感受性.RFPのデータのみチェックを.RFPが重要.耐性なら専門病院へ.
M. abscessus
中年以降の女性に多い.もっとも予後不良のNTM.IPM/CS, AMK, CAMが有効.現在3亜種に再分類.Massilienseが予後よい.入院させてCAM+AMK+IPM/CS連日投与1ヶ月.その後MFX, STFX, FRPM, RFP, EBなどをCAMに併用.外来で前述のレジメンに週2-3回AMK, IPM/CSを行うこともある.
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