2017年3月30日木曜日

第414回熊本チェストカンファレンス

2017年3月16日

教育症例
78歳の女性.主訴は咳嗽.WBCの増多なし.炎症所見は乏しい.
右上葉の腫瘤陰影.
縦隔リンパ節の腫大があり,肺内陰影と縦隔リンパ節は一塊となっている.
リンパ節は内部がlow density(単純CTのみ).
塊状陰影周囲にすりガラス影あり.

2か月後肺内の腫瘤影ははっきりせず.しかし縦隔リンパ節は更に腫大.
縦隔に空洞性陰影?

鑑別診断
肺癌,縦隔腫瘍,異所性甲状腺腫,その他縦隔リンパ節の所見より結核も考えておくべきとの意見あり.

診断は結核
喀痰塗抹G2号,TB-PCR陽性,MGIT陽性.
→気管支結核を合併しているのではないかとの意見あり(同意).

解説
結核のリンパ節病変
CT 像としての報告
1)右気管気管支リンパ節,右傍気管リンパ節に好発 する.これは縦隔リンパ流が右縦隔リンパ管や胸管に注 ぐためとされている 2)内部の乾酪化,膿瘍化壊死病巣に一致して中心部 に不均一な低濃度領域を認める
3)炎症性の血管増生のため造影にて辺縁部が不規則 な厚さで強調される15).
4)結核性縦隔炎に線維化を伴い縦隔近傍の脂肪織が 消失する16)
金地ら 日本呼吸器学会誌 39(11) 2001
http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/039110857j.pdf
空洞→脂肪組織の消失とは驚いた.


症例提示
症例1 74歳,女性
主訴は咳嗽
DMあり.HbA1c 8.0%
WBC 4200/μl,Neu 66.5%, CRP 0.39 mg/dl,sIL-2R 6000

肺内に多発粒状影あり.肺門縦隔リンパ節腫大

鑑別診断
リンパ増殖性疾患,サルコイドーシス,Miliary TB,IgG4関連疾患,

PET-CT :肥厚した胸膜にuptake,両肘,右臀部皮下,左前額部などにもuptakeあり.(触診では可動性あり,圧痛なし,餅のような柔らかさ)
血清ACE, リゾチームも増加.
BALにてLy30%,CD4/8 6.03

skin biopsy+EBUS-TBNAにてSa症と診断.肺,皮膚,心臓に病変あり.

症例2
87歳,男性
関節リウマチにて,MTX, steroid投与(PSL 5mg/day, DXM注 2.5mg 2週間毎)

主訴は発熱
胸部単純X線にて両側肺野に多発性の浸潤影あり.結節のようにも見える.陰影はかなり大きい.
CTRX,MEPM,VCMに無効.
空洞形成あり

bacterial pneumonia, Septic emboli, fungal infection, PCP, 放線菌,Nocardia, TB, tumor(MTX関連リンパ腫など),GPA
(Actinoなら多少抗菌薬が効くでしょうとのコメントもあり)

診断は肺クリプトコッカス症
クリプトコッカスネオフォルマンス抗原 1024倍
経皮針生検生検針よりクリプトコッカス陽性
髄液検査は行っていない.
HTLV-I抗体の測定は行っていない.

cavitationは30%に見られる.
免疫抑制患者の方がcavitationつくりやすい.

RFが陽性だとクリプトコッカス抗原が偽陽性になることもあるとの意見もあった.