2013年2月18日月曜日

TSCまたはsporadic lymphangioleiomyomatosisに合併した血管筋脂肪腫に対するmTOR阻害薬の有効性

Everolimus for angiomyolipoma associated with tuberous sclerosis complex or sporadic lymphangioleiomyomatosis (EXIST-2): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled trial
Lancet 
Published Online January 11, 2013


注)Everolimus:免疫抑制剤としては商品名 サーティカン®、腎細胞癌治療薬としては商品名 アフィニトール® .

Summary
背景
血管筋脂肪腫は,mammalian target of rapamycin (mTOR)の恒常的な活性化と関連する緩徐性発育腫瘍であり,結節硬化症(TSC)と孤発性リンパ管平滑筋腫患者に通常認められる.
これらの腫瘍の緩徐な発育は、患者の後腹膜出血と腎機能障害を含む重篤な合併症の素因になる。
エベロリムス(ラパマイシン誘導体)は、mTOR complex1に作用することによって、mTOR経路を阻害する。
我々は、結節硬化症または散発性リンパ管平滑筋腫症患者に関連した血管筋脂肪腫において、エベロリムスとプラセボに対する血管筋脂肪腫のresponse rate (RR)を比較した。
方法
このプラセボ対照、第3相二重盲検試験において、結節硬化症または散発性リンパ管平滑筋腫症の診断が確定した18歳以上の患者で(放射線学的評価によって定義される)少なくとも1つの血管筋脂肪腫の長径が3cm以上の患者を,ランダムに経口エベロリムス10mg/day群とプラセボ群に2:1に割り付けた.
有効性の主要エンドポイントは、ベースラインと比較して標的血管筋脂肪腫の容積の総数が少なくとも50%減少した患者の割合であった.
結果
11カ国24センターから118例の患者(年齢の中央値31.0年; IQR 18.0-61.0)が,エベロリムス群(n=79)またはプラセボ(n=39)群に無作為割付けされた。
データ中止時,98例の患者に対して二重盲検試験が進行中だった;中止の2つの主要な理由は、疾患の進行が見られ,その後に有害事象(2例のエベロリムス患者; 4例のプラセボ患者)が出現したためである.
血管筋脂肪腫の
RRは、エベロリムス群42%(79例中33例[95%CI 31-53%])とプラセボ群0%(39例中の0[0-9%])であった(RRの差42%[24-58%];one-sided Cochran-Mantel-Haenszel test p<0.0001).
エベロリムス群とプラセボ群における最も頻度が高い有害事象は、口内炎(それぞれ48%[79例中38例]、8%[39例中3例])、鼻咽腔炎(24%[79例中19例]と31%[39例中12例])とざ瘡様皮膚病変(22%[79例中17例]と5%[39例中2例])であった。
解釈
エベロリムスは忍容性が高く血管筋脂肪腫容積を減少させた.すなわち,結節性硬化症に伴う血管筋脂肪腫の治療法になりうることが示唆された.