製薬メーカーの講演会.AERDをテーマにしたものではないが・・
呼吸器フォーラム in 九州
2016年8月27日ソラリア西鉄ホテルにて
谷口正美先生
ICSを使用していない症例で重症喘息に関連する因子
IgEが高い
真菌に感作されている
ICSを使用している症例で重症喘息に関連する因子
女性
BMIが高い
痰のからむ咳(⇒好酸球性気道炎症が強い)
ENFUMOSA, SARP,相模原病院 いずれのデータも,難治化に関連するものは,長期の罹病期間,女性の肥満者,アスピリン喘息 (肥満の基準⇒日本ではBMI 25以上でもよい?)
難治性喘息は,AERDとATAで分けて考える.
難治化の最重要因子はNSAIDS過敏(AERD)である.
AERDという名称は米国からの提唱.
アスピリンという言葉を入れると誤解が生まれる.ヨーロッパ,日本はN-ERD(ナード)を提唱.ただしこの用語は他疾患との誤解を招くかも.米国からの返事待ち.
N-ERD; NSAIDS-exacerbated respiratory disease
AERDに対するNSAIDS投与の実際
アセトアミノフェン 500mg以上はリスクがある.300mg以下だと発作を誘発しない.
セレコックスはもっとも安全(ハイペンなどはselectivityがやや低い).
セレコックスは世界で3例発作が悪化(喘息症状がありコントロールが悪い症例).
ただセレコックスにて悪化といえるのか?全く大丈夫という専門家の声もある.
ソランタールは効果が乏しくあまり使われない傾向.
湿布について.MS冷湿布,温湿布は安全.
アスピリン喘息は,30歳代で鼻症状にて発症.喘息,NSAIDs過敏性が数年以内に生じる.
鼻症状.好酸球性鼻茸,副鼻腔炎は篩骨洞周辺.したがって嗅神経の障害.匂いがわからないなど.
気管支以外の症状が問題.中耳炎,胃腸炎.異型狭心症の症状もある.胃腸炎は急性腹症のよう.腸管に浮腫.PPIやブスコパンは効かない.ボスミンやステロイドが効く.
アスピリン喘息の病態
2013年日本内科学会誌のシェーマ
COX-2の抑制⇒PGE2(抗炎症作用)の低下
尿中LTE4 非常に高い症例のsourceは鼻茸
○少量のASA(100mg以下)にて誘発される.
○アスピリン誘発後に不応期が数日間生じる.
ウイルス感染を疑いこれまで様々調べてきたが,明らかなものは見つからなかった.
⇒血小板仮説
アスピリン喘息は血小板の活性化が特徴的.
AERDでは血小板とEosの付着が増加(⇒循環血漿中に)
AERDにおいて血小板活性化と尿中LTE4は相関.
血小板はLT産生経路の後半が存在.CyLTRもある.
P2y12のblockerの治験中. パナルジン
ゾレアはアスピリン喘息に良く効く.ほぼ100%.最もゾレアが効くgroupはアスピリン喘息と言い切ってもいい.肺機能の改善効果は乏しいが,自覚症状(鼻症状も含めて)が著明に改善する.
効果の発現が速い,投与したその日に発現することもある.
尿中LTE4,尿中PGD2M(肥満細胞の活性化を示す)のいずれも著明に低下する,ゾレアを投与してもEosは減らない.mast cellに作用している?
特発性蕁麻疹にゾレアが著効する.喘息に対してより効く.非常にquickに効く.投与して翌日に蕁麻疹が消えることが多い.
⇒アスピリン喘息と効果がよく似ている.アスピリンと共通の機序を介しているのではないか?
難治化に関するアレルゲン.1000名以上の患者の解析を相模原病院で行った.
ダニは重症化しにくい.アスペルギルス・レストリクタスは重症化に関与.
ABPAについて
アスペルギルスはプロテアーゼ活性を有する抗原を多種有する.体温で発育しやすい性質.水回りにはいない.換気の悪いところ.喘息症状よりもリモデリングの症状(咳,痰)が大きい.ゼーゼーあまりいわない.ABPAはAsp喘息に比べて気道可逆性が不良.
アスペルギルス陽性率は西高東低.
「線維化期」⇒実際は線維化ではなく末梢の嚢胞性変化が特徴.
ABPAはAsp1,2に対するIgE抗体の特異性が高い.⇒まだ保険適応なし.
中高用量ICS吸入中のBAで新規にアスペルギルスに感作されるcaseが2000年以降にある.
EGPA
好酸球性細気管支炎をきたしやすい.
過敏性は軽度で,可逆性が低い,咳,痰,息切れの症状が主.
Mepolizumabが非常によく効くだろう.Eos低下,ANCAも低下.国際治験中.
最近,大発作症例は減っているが,女性,ペット飼育,喫煙のある人の割合が増加.
アドヒアランス不良,軽症例.これらの症例は(SABAのみを使って増悪する可能性があるので)あえてSABAを使用せずレリーバーの機能を持ったICA/LABAを処方するのが良いだろう.
2016年8月30日火曜日
2016年8月22日月曜日
KRCCMセミナー特別講演(肺癌)
2016年8月19日
KRCCMセミナー特別講演
ホテルニューオータニ熊本
本年3月承認
Rebiopsy 9例中3例 T790M
exon19 del 2例,exon21 L858R 1例
他にもrebiopsyにてadeno→多形癌の症例あり.
講演2(熊大放射線科)
CTガイド下生検
CTガイド下生検+core needle biopsy 正診率>95%
適応
サイズは肺で≧6mm(最少4mm),その他で≧10mm(10-15mm)
血小板>5万,PT-INR <1.2
薬剤溶出性ステントは原則禁忌
4 000例以上の症例があるが,播種は2例.空気塞栓は2例.
骨生検は合併症がないので,外来で行うこともある.
講演3
産業医大第二外科
田中文啓教授
T790M陰性の場合は,small cell ca.への形質転換や,EMTが起こるので予後不良.
exon21よりもexon 19delの方がafatinibの効果が強い.
第一世代EGFR-TKI (gefetinib, erlotinib)はリン酸結合部位への競合阻害.
その他 HGF-Met系,down stream signal,形質転換など
On June 1, 2016, the U. S. Food and Drug Administration approved cobas EGFR Mutation Test v2 (Roche Molecular Systems, Inc.) using plasma specimens as a companion diagnostic test for the detection of exon 19 deletions or exon 21 (L858R) substitution mutations in the epidermal growth factor recptor (EGFR) gene to identify patients with metastatic non-small cell lung cancer (NSCLC) eligible for treatment with Tarceva® (erlotinib). The cobas EGFR Mutation Test v2 is already approved for this indication using formalin-fixed paraffin-embedded (FFPE) tissue specimens. The new use is for detection of these specific mutations in circulating-free tumor DNA (cfDNA) isolated from plasma specimens, also called liquid biopsy specimens, to aid physicians in identifying patients who may be treated first with TARCEVA (erlotinib). This is the first “liquid biopsy test” approved for use by FDA. This new test may benefit patients who may be too ill or are otherwise unable to provide a tumor specimen for EGFR testing. Patients positive by cobas EGFR Mutation Test v2 using plasma specimens for the presence of EGFR exon 19 deletions or L858R mutations are candidates for treatment with Tarceva (erlotinib). Patients who are negative by this test should undergo routine biopsy and testing for EGFR mutations with the FFPE tissue sample type.
KRCCMセミナー特別講演
ホテルニューオータニ熊本
講演1(熊大呼吸器内科)
タグリッソ(osimertinib)の使用経験本年3月承認
Rebiopsy 9例中3例 T790M
exon19 del 2例,exon21 L858R 1例
exon21 L858Rの症例で,EGFR mutation (-)に変化した症例あり.
組織は多形性に富む悪性細胞に形質転換他にもrebiopsyにてadeno→多形癌の症例あり.
その説明
EMT (Epithelial-Mesenchymal Transition /or
Transformation) 上皮間葉転換CTガイド下生検+core needle biopsy 正診率>95%
適応
サイズは肺で≧6mm(最少4mm),その他で≧10mm(10-15mm)
血小板>5万,PT-INR <1.2
薬剤溶出性ステントは原則禁忌
Needleを進める「道」がない時はhydrodissection
technique 生食,ヒアルロン酸
フロアより空気塞栓の症例が非常に少ないのはなぜか?
腹臥位で行う,呼気で行うか,自然の呼吸をさせながらbiopsy,空気が見えたらO2を吸入させて4-5分安静にする(動かさない!).などの工夫.田中文啓教授
6割がT790M,4割がその他の耐性メカニズム
T790M陽性は,陰性よりも予後が良い.T790M陰性の場合は,small cell ca.への形質転換や,EMTが起こるので予後不良.
exon21よりもexon 19delの方がafatinibの効果が強い.
EGFRの構造について
チロシンキナーゼドメイン 18-21がATP結合部位.第一世代EGFR-TKI (gefetinib, erlotinib)はリン酸結合部位への競合阻害.
第二世代のafatinibはATP binding siteの797番目のシステインに共有結合する.afatinibは正常細胞のATP binding siteにも結合するので副作用が出る.
EGFR mutation (+) → PD →二次変異 T790M (T→Mに)
第三世代にEGFR-TKIは正常細胞への障害が少ない.
タグリッソ耐性のメカニズム
797 C (Cys)→S (Ser) C797S耐性変異その他 HGF-Met系,down stream signal,形質転換など
タグリッソの登場→first lineの第1,第2世代のEGFR-TKIのどれを選ぶか?
afatinib どれほどT790M変異が出るかあまりわかっていないが,gefetinibやerlotinibより少ない.従ってfirst lineは第1世代が良いのでは.
そのあとはliquid biopsyのお話.(最後まで拝聴できなかった)
EGFR mutationの検出:exon19 del,exon21 L858Rは陽性的中率が高い.T790M変異の陽性的中率はやや劣る.
T790M変異の検索:
FDAはexon19 del,exon21 L858R mutationのコンパニオン診断テストである血漿を検体としたcobas EGFR mutation Test v2を承認.このテストで陰性ならルーチンの組織生検を行うべき.
以下の文章はFDAより
http://www.fda.gov/drugs/informationondrugs/approveddrugs/ucm504540.htmOn June 1, 2016, the U. S. Food and Drug Administration approved cobas EGFR Mutation Test v2 (Roche Molecular Systems, Inc.) using plasma specimens as a companion diagnostic test for the detection of exon 19 deletions or exon 21 (L858R) substitution mutations in the epidermal growth factor recptor (EGFR) gene to identify patients with metastatic non-small cell lung cancer (NSCLC) eligible for treatment with Tarceva® (erlotinib). The cobas EGFR Mutation Test v2 is already approved for this indication using formalin-fixed paraffin-embedded (FFPE) tissue specimens. The new use is for detection of these specific mutations in circulating-free tumor DNA (cfDNA) isolated from plasma specimens, also called liquid biopsy specimens, to aid physicians in identifying patients who may be treated first with TARCEVA (erlotinib). This is the first “liquid biopsy test” approved for use by FDA. This new test may benefit patients who may be too ill or are otherwise unable to provide a tumor specimen for EGFR testing. Patients positive by cobas EGFR Mutation Test v2 using plasma specimens for the presence of EGFR exon 19 deletions or L858R mutations are candidates for treatment with Tarceva (erlotinib). Patients who are negative by this test should undergo routine biopsy and testing for EGFR mutations with the FFPE tissue sample type.
2016年8月9日火曜日
FEV1と胸鎖乳突筋
第21回熊本呼吸器疾患ネット研究会
2016年6月9日
山崎記念会館
簡単な身体所見でここまで分かる呼吸器診療
長坂行雄先生
COPDは横隔膜が働かない⇒胸鎖乳突筋が働く。
IP斜角筋群が踏ん張る
努力呼吸 鎖骨の上下の動きを見よ
Petty 1985
COPDの呼吸機能低下のグラフ
健常者 -28ml/yr 日本では-25ml/yr
COPD -80ml/yr 最近では50-55ml/yrずつ減るといわれている。
<0.7 屋内歩行でも息切れ
<0.4 ベッドから動けない。
脈拍が多い →循環器疾患を疑う。
体温が1℃上昇すると脈拍は8-10 /minの上昇?
高齢者は血管内浮腫と脱水を同時に伴うことが多い。
肝の叩打痛(右季肋下で痛みを訴えることが多い)や頸静脈の怒張がなければ利尿薬は不要。
Staring曲線
チアノーゼは自分の爪の色をコントロールとすべし。
右心不全の症状
頸静脈怒張、肝叩打痛、浮腫
活動量の多い人は下肢ではなく顔面に浮腫がでる(顔が大きくなる)
Med J Aust 2010; 192: 262
聴診所見
モノフォニック(単音)なwheeze 一本の笛を吹いたよう。気管支拡張薬のみでよくなる。
ポリフォニック(多音性)なwheeze いくつもの笛を吹いたよう。ステロイドdivなどを行わないとよくならない。
呼吸リハビリの効果
握力が増える。患者さんと握手をして効果をみる。
患者さんが医師を見ない、無関心⇒意識障害など状態が悪い時
区別は難しい。心不全⇒気道過敏性亢進と考えると説明がつきやすい。
2016年6月9日
山崎記念会館
簡単な身体所見でここまで分かる呼吸器診療
長坂行雄先生
FEV1<1L 胸鎖乳突筋の発達 (発達=くぼみができる)
IPでは何故胸鎖乳突筋が発達しない?COPDは横隔膜が働かない⇒胸鎖乳突筋が働く。
IP斜角筋群が踏ん張る
努力呼吸 鎖骨の上下の動きを見よ
Petty 1985
COPDの呼吸機能低下のグラフ
健常者 -28ml/yr 日本では-25ml/yr
COPD -80ml/yr 最近では50-55ml/yrずつ減るといわれている。
FEV1<1.5L HJ II° 坂道や階段で息切れ
<1.0 HJ III° 呼吸補助筋の発達<0.7 屋内歩行でも息切れ
<0.4 ベッドから動けない。
去痰困難 VC<15ml/kg
COPDで-50ml/yrの減少とすると,1.5L→1.0Lになるまで10年。
1.0→0.7Lになるまで6年.
呼吸数x (4~) 5 =脈拍
相対的に呼吸数が多い→呼吸器疾患を疑う。脈拍が多い →循環器疾患を疑う。
肝の叩打痛(右季肋下で痛みを訴えることが多い)や頸静脈の怒張がなければ利尿薬は不要。
活動量の多い人は下肢ではなく顔面に浮腫がでる(顔が大きくなる)
咳について
オーストラリアの咳ガイドラインが有用Med J Aust 2010; 192: 262
聴診所見
モノフォニック(単音)なwheeze 一本の笛を吹いたよう。気管支拡張薬のみでよくなる。
ポリフォニック(多音性)なwheeze いくつもの笛を吹いたよう。ステロイドdivなどを行わないとよくならない。
呼気のみ、呼気+吸気のwheeze →比較的太い気道
吸気のみ →局所的なflow limitation
Fine crackleとcoarse crackle 完全に区別することができない場合もある。どの場所で聞こえるか?どのような疾患で?などが大切
握力が増える。患者さんと握手をして効果をみる。
目力が大切。
患者さんが医師を見る→大丈夫患者さんが医師を見ない、無関心⇒意識障害など状態が悪い時
フロアからの質問
心臓喘息と気管支喘息を区別できるか?区別は難しい。心不全⇒気道過敏性亢進と考えると説明がつきやすい。
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