2016年7月14日木曜日

第406回熊本チェストカンファレンス

2016526日 熊本大学にて

症例1
75歳,女性
22年前にmyoma uteriに対し子宮全摘+片側附属器切除術の既往あり.18年後にLC ope. pT1aN0M0 stage IA.その4年後S8-9に淡い結節影出現.徐々に増大.    

鑑別として
Benign metastasizing leiomyoma (BML)
BMLMyomaope3-20年経過して健診等で偶然発見されることがある.
BMLが悪性転化することはないとされている.

診断は平滑筋肉腫(おそらく子宮)の肺転移.すりガラス様に見える病変は,肺胞の間質に肉腫細胞が浸潤.
肺原発の平滑筋肉腫ではないかというdiscussionあり.

症例2
45歳,女性
咳嗽,喀痰が普段より増強し,近医を受診.肺炎の診断にて同日同院に入院.胸部CT所見より専門的治療が必要と判断され,入院4日目に転院.
右中葉の陰影.浸潤影or結節影.右中葉の気管支が見えない.右下葉には小葉間隔壁の肥厚,小葉中心性粒状影.
WBC 26700/μlCRP 32 mg/dl,プロカルシトニン陰性,
SBT/ABPCTAZ/PIPCにて軽快.しかし退院6か月後chest painにて来院.

診断は放線菌症
Actinomyces israellii

診断は喀痰検査!sulfar granuleの喀出で診断がついた.

 2005年の呼吸器学会雑誌にこんな報告がある.
http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/043040231j.pdf
硫黄顆粒の喀出により診断し得たActinomyces odontolyticusおよびActinomyces meyeri による肺放線菌症の1 例 
抜粋;「当院入院12 カ月前より時折,直径23 mm 大の黄褐色の固形物を痰と共に喀出することが判明した.」

 
今回の治療はSBT/ABPCABPCAMPC 1500mg/day
(治療薬はペニシリンが第一選択で,26週間の点滴投与の後612カ月の内服投与という長期間の治療が原則となる.)レジデントノート20128月号

 硫黄顆粒は炎症巣内で希リン酸カルシウムを取り込んで石灰化した菌糸であり,生体内の組織より証明された場合は放線菌症と診断する根拠となり得る.(前述の症例報告論文より)

 プロカルシトニンは陰性であった.→膿瘍形成時はプロカルシトニンは上昇しにくいとの意見あり.