2021年3月23日火曜日

アナフィラキシー アレルギー学会2020 教育講演など

食物アレルギーによるものが最も多いが、アナフィラキシーによる死亡は医薬品、ハチ毒が多い。

何故か? 曝露からショックまでの時間は、医薬品が5分、ハチ毒が15分、食物は30分。症状を呈するまでの時間が短い。

バイオマーカー ヒスタミン、トリプターゼの診断意義は低い。

診断

〇抗原がわからない場合

皮膚粘膜症状を必須条件とする。他の臓器症状があると診断。

〇アレルゲンが疑われる場合

〇既知のアレルゲンに曝露

鑑別診断:急性蕁麻疹や血管浮腫。

治療

・下肢挙上 

・アドレナリン0.01mg/kg 大腿外側に筋注 成人最大量0.5mg、小児0.3mg

(*適正量を投与するなら絶対的禁忌は存在しない。)

・酸素 6-8L/min マスク

・0.9%生理食塩水 全開で投与


・ヒスタミン 皮膚粘膜症状の緩和

・ステロイド 効果発現に時間がかかる。2相性の増悪に効果

・β2刺激薬 喉頭閉塞には無効である

・極軽症でない限り、アドレナリンの自己注射を処方する。同時に軽い症状に使用するために経口抗ヒスタミン薬、ステロイド薬を頓用で処方。原因不明で症状を繰り返す場合抗ヒスタミン薬を処方する。

・アクションプランなどの指導。

海外ではエピペンは2本セットで処方。気道閉塞症状、循環器症状、持続する消化器症状があれば使用する。

<アドレナリン処方が必須>

①重症のアナフィラキシー症状が1回でも出現

②特に喘息の様なリスク因子をもつ人

③外食での誤食の頻度が高い

④過去にアナフィラキシーをきたし、原因アレルゲンが同定できない。

<アドレナリン処方の必然性なし>

軽症(皮膚、粘膜症状のみ)


その他

WDEIA 小麦粉による運動誘発アナフィラキシー

運動により閾値を低下させる。運動がなくても症状が誘発される可能性あり。したがって運動しなければ大丈夫とは言えない。日常生活指導に注意。他のFDEIAにも当てはまると思われる。


皮膚症状がなくてもアナフィラキシー起こる

30-60%が特発性アナフィラキシー 必ずしも発症要因を認めない。

できるだけ速やかにアドレナリンim 大腿外側部に。絶対的禁忌無し。皮下や吸入投与は勧められない。

2相性反応。いったん症状が改善して4-12時間後に出現。