2012年5月7日月曜日

5/7抄読会

A palacebo-Controlled Randomized Trial of Warfarin in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
AJRCCM Articles in Press. Published on May 3, 2012
IPF netからの報告(ACE-IPF trial).

Abstruct
肺線維化における凝固系カスケードの重要性を支持するデータが,動物実験およびhumanの研究において示されている.
目的:進行性のIPFの者コホートにおいて,我々はワーファリンの治療域で治療された患者が,死亡率,入院率,FVCの低下率を減少させるという仮説を検証した.
方法:無作為抽出二重盲検試験.ワーファリンはINRが2.0-3.0になるように投与を行った.48週の治療期間に,ワーファリン群,プラセボ群を1:1に割り付けた.
評価項目:primaly outcome measure すべての原因死,入院(非出血性,非随意性),またはFVCの10%以上の低下をきたすまでの期間に基づく複合アウトカム.
secondary outcome 死亡率,入院率,呼吸器関連入院,急性増悪,出血,心血管イベント.
結果:ワーファリン群における死亡率の増加(ワーファリン群14例,プラセボ群3例,p=0.005)により,Data and Safety Monitoring Boardは,予定していた256名の割り付けのうち145例(ワーファリン群72例,プラセボ群73例,p=0.005)の割り付け後にstudyの中止をrecommendした.平均のfollow-up期間は28週であった.
結論:今回の研究では,進行性のIPFにおいて,ワーファリン治療はbenefiteを認めなかった.ワーファリン治療は抗凝固治療における他の適応がない場合は死亡リスクが増加する.

IPFの生存を延長する治療は見つかっていない.
以下の論文は,非盲検試験であるが,ヘパリン,ワーファリンによる抗凝固療法+ステロイドvsステロイド単独の前向き試験を行い,入院を要した56例のIPF患者において一年生存率は抗凝固療法群が良好であった(87% vs. 58%).
Kubo H, Nakayama K, Yanai M, Suzuki T, Yamaya M, Watanabe M, Sasaki H.
Anticoagulant therapy for idiopathic pulmonary fibrosis. Chest.
2005;128:1475-1482
この結果から,ATS/ERS/JRS/ALATガイドラインではその利益,危険性は明確でないが,少数の集団に対する治療選択肢として抗凝固療法を示している.

今回の患者群は進行性のIPF患者である.進行性の定義は,①呼吸苦の増悪,または②生理学的な悪化ーすなわちFVCの10%以上の低下またはDLcoの15%以上の低下,酸素飽和度の5%以上の低下,または胸部画像の増悪のhistoryがあること.
除外基準は,抗凝固療法を行っている,抗血小板治療を行っている,その適応にあること,また出血の存在や,リスクがあること,重症進行性,またはコントロールできない合併症があること.
スクリーニングはbaseline,16週,32週,48週に行う.

結果
ワーファリン投与群で23のprimary endpoint events,プラセボ群で17のprimary endpoint eventsあり(p=0.27)(Table 2, Fig 2A).全原因死はワーファリン群で有意に多かった(14 vs. 3; P-0.005)(Fig 2B).ワーファリン群の14死亡例中11例が呼吸器関連死で,プラセボ群は3例中全例が呼吸器関連死であった(Fig 3, Table 3).またワーファリン群死亡の3例が心血管死であった.プラセボ群において心血管死は認めなかった.出血関連死はなかった.ワーファリン群はすべての原因による入院率と死亡率が増加していた(p=0.034)(Fig 2C).










ついでにJAMAより
Carboplatin and Paclitaxel With vs Without Bevacizumab in Older Patients With Advanced Non–Small Cell Lung Cancer.JAMA. 2012;307(15):1593-1601.
以前の無作為試験は、ベバシズマブをカルボプラチンとパクリタキセルに加えることが進行した非小細胞肺癌(NSCLC)患者の生存を改善することを証明した。しかし65歳以上の患者のサブグループでは,生存の延長が認められなかった.このことから生存に関するベバシズマブのカルボパクリへの上乗せ効果があるかを検討した後ろ向き解析.4168例の非小細胞肺がん・非扁平上皮癌の65歳以上でIIIB期以上のひメディケア受給者を対象とした,後ろ向きコホート解析.
患者は、診断年,と4ヵ月の診断の範囲内で行われる最初の化学療法の種類により3つのコホート分類された:
(1) 2006-2007ベバシズマブ-カルボプラチン-パクリタキセル療法;
(2) 2006-2007カルボプラチン・パクリタキセル療法;
(3) 2002-2005カルボプラチン・パクリタキセル療法。
Main Outcome Measureは生存期間.生存に関するベバシズマブの上乗せ効果は得られず.

情報収集が行いにくい環境にあり,残念ながらサマリしか読めないが,2nd line, 3rd lineの治療がどうだったのか,などが問題になろう.