2012年5月15日火曜日

IgG4関連疾患 N Engl J Med 2012;366:539-51.






IgG4関連疾患の推測される病態(自己免疫または感染の関与?)
自己免疫または感染がIgG4関連疾患における可能性のある免疫トリガー?(Panel A).
IL-4,5,10,13TGF-βがTh2細胞優位な免疫反応により過剰に発現.その後Treg細胞が活性化(Panel B).これらのサイトカインは好酸球増多,IgG4増加,IgE増加とIgG4関連疾患の特徴である線維化の進行に寄与している.大量の炎症細胞浸潤が臓器障害を引き起こす(Panel C).炎症細胞の浸潤は障害臓器の腫瘤状増大と臓器機能障害を引き起こす(Panel D).上皮障害は組織炎症を引き起こし,免疫複合体の沈着を引き起こす.
Th2病態と,Tregの活性化(通常の自己免疫性疾患ではTregの機能は障害される)が特徴.
感染ーH. pyloriの関与の可能性,さまざまな細菌が自然免疫を介してIgG4産生を誘導する可能性.
自己免疫ー膵分泌性酵素などに対する抗体?


IgG4は健常者で全IgGの5%未満のminor population.健常者では0.01-1.4mg/mlと100倍以上の変化がある.
C1qFcγ受容体へのIgG4の結合は弱い.
上図
IgG4の生理学的特徴.
IgG4分子は対照的なhomovalentの抗体として形質細胞より放出される(Panel A).IgG4 heavy chainのジスフィルド結合が不安定なため,ヒンジ部にintrachain ジスフィルド結合を形成するIgG4抗体があり,それは非共有結合により結合したheavy chainを有する(Panel B). in vitroの検討では,IgG4分子の間のFc interactionFab-arm exchangeに先行した中間段階である(Panel C).これらのinteractionは他の免疫関連分子からのFc部のshieldingにより.炎症反応の抑制を行う可能性がある.IgG4は他のIgG4分子とexchanging half-moleculesによる非対称性のbispecific antibodyを形成する.Fab-arm exchangeにより,抗原とのクロスリンク能や,免疫複合体形成能を欠く.そうすることによって,他のIgG4抗体と他のアイソタイプ抗体とともに非効果的な免疫複合体を形成する.

IgG4には面白い性質があるようだ.このbispecific antibodyが形成されると,組織障害ににはあまり関与しないように思えるが・・・・.

本文中には以下のような記載もある.

IgG4抗体の過剰増加に関し考えられる説明が2つある.
1に、この抗体は組織破壊的な免疫グロブリンとしてふるまう可能性がある.
2に、IgG4の過剰は、単に未知の原発性炎症性刺激に応答した抗体が過剰発現している可能性.

どちらなのだろうか?さらにbispecific antibody形成は疾患とどう関係するのか?
それについての記載は・・・


Fab-腕交換による二重特異性(bispecific)免疫グロブリンを形成したIgG4抗体の比率が高く、そのような抗体は組織破壊性免疫応答に関与しそうにないようである。しかしながら、このbispecificityが活動性IgG4関連疾患患者で形成される程度は、不明である。多くの割合のIgG4抗体が単一特異性(monospecificity)を保持し,抗原を結合して、破壊性炎症に関与する可能性がある。